子供の健康的な心身の成長を促す夏休みの過ごし方とは【臨床心理士が提案】
夏休みの計画を立てていますか?今年の夏はコロナによる制限も少なくなり、旅行や外出の計画を立てている方も多いと思います。お子さんがいる方は子供中心の計画になるかもしれませんね。遊びの予定を入れるのなら、その体験を子供や自分自身の気持ちを満たすような内容にすることで、お互いにとって有意義な時間になり、親子関係もよくなると思います。自分自身がわくわくすること、楽しいと感じることも取り入れて、家族みんなでメンタルヘルス対策をおこないましょう。今回は、どのような遊びを選べばいいのか、どんな風に遊べばいいのかポイントを紹介します。
遊びは最高のリフレッシュです。遊びはメンタルヘルスにおいてとても重要なことで、子供にとって遊びは学びの機会であり、ストレスや傷つきからの癒しにもなり、創造性や対人関係の発達、健康的な心身への成長にもつながります。それは大人にとっても同様です。遊びでリフレッシュするだけではなく、普段の生活で満たされない気持ちをいやすこと、親子関係を構築することにもつながります。
遊びを選んだり、どんな風に遊ぶか考える際は、子供の感情欲求をベースに考えましょう。
アメリカの心理学者ジェフリー・ヤングによると、子供の頃に満たされるべき「5つの感情欲求」があると言います。それは以下になります。
1. 愛されること、認められること、分かってもらえること(他者との安全なアタッチメント)
2. 上手にやりたい、有能な人間になりたい(有能性)
3. 自分の思いや気持ちを表現してもいい(欲求と感情を表現する自由)
4. 自由にのびのびと楽しく遊ぶ、生き生きと遊ぶ(自発性と遊びの感覚)
5. ルールを守りながら自分をコントロールする(現実的な制約と自己制御)
これらの感情欲求が満たされないと、生きづらさにつながるような価値観や対人関係のパターンができてしまいます。子供の健康的な発達を促すために、5つの感情が満たされるような遊びを選んだり、遊び方になるように工夫をしましょう。
1. 愛情を感じられること
子供が愛されていることや分かってもらっていることを実感できるように、子供の遊びをあたたかく見守ったり、遊びを通して気持ちを共有したり、相手の気持ちに共感を示しましょう。遊びの内容はどのようなものでもいいです。例えば、カードゲームやボードゲーム、公園の鉄棒やジャングルジムでもいいですし、ゲームでもいいです。子供が関心のあるものを中心に選びましょう。
2. 自信につなげること
子供が遊びを通して「上手にできた」「やってみたらできた」「取り組むことができた」という感覚をつかめるように、ハードルが低いものから始めたり、見本を見せたり、励ましたりしながら遊びに取り組ませましょう。何か結果が残らなくても、勇気を出してチャレンジしたことを褒めたり、取り組んだ過程を褒めたりと、意識して自己効力感や自信が高まるような声をかけをします。言葉だけで誉めず、子供の遊びに注目して関心を寄せること、何か質問をして教えてもらうことも有効です。
3. 気持ちを自然に表現できること
普段は自分の気持ちを表現するのが苦手な人でも、遊びを通してなら素直な感情が出しやすくなります。遊びを通して、「やったー!」と喜んだり、負けてイライラしたり悔しくなったり、気持ちが動くような遊びを選びましょう。例えば、積み上げたジェンガが倒れた時は誰でも驚いて「わあ!」と思わず叫んでしまいせんか?そんな子供から出てきた感情は否定せずに、ありのまま受け止めましょう。受け止めるといっても、「びっくりしたね!!」「嬉しいね!」「わー悔しいね!」と言葉にしてあげるだけでもいいですよ。
4. のびのびと遊ぶこと
子供がのびのび、生き生きと遊べるように子供が好きなもの、興味がある遊びを選びましょう。親も興味があることの方が一緒に楽しめると思いますが、あくまで子供中心で、子供の自主性を育てる機会にしましょう。そして、子供の選んだものは否定せずに、一緒に取り組んでみましょう。親自身が生き生きと楽しんでいる様子を見せることも子供にとっては良い刺激になりますよ。
5. ルールを守ること
遊びを通して、自分を律する力を育てること、ルールを守るものだと覚えることはとても大切です。例えば、順番を守って交代でカードを引く、ゲームのルールにそって取り組むなどです。一見簡単なことでも、決められたことを守ることが自分をを律する力になります。その際に、子供の心から湧き上がる自然な感情は否定せず、「本当はもう1回やりたいよね」「やり直しできたらいいのにね」「ずるしちゃいたくなるよね」 と言葉にしながらも「ルールだから仕方ないね」と決められたことを守りましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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