40代からの夏の不調は女性ホルモンと関係が?40代からの「がんばりすぎない不調ケア」とは

 40代からの夏の不調は女性ホルモンと関係が?40代からの「がんばりすぎない不調ケア」とは
磯沙緒里
磯沙緒里
2022-08-07

20代、30代の頃と比べて、年々夏の暑さがつらくなっていたり、夏に疲れが出やすくなっていたりとなんとなくの不調を感じていませんか?今回は、40代からの夏の疲れとその対策についてお話しします。

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夏の不調の特徴とは?

「夏に疲れを感じる」「夏になんとなくしんどくなる」けれど、病院に行くほどではないと思い、不調にじっと耐えている方ってとても多いのです。夏はどうして不調を感じやすいのでしょう?

私たちの身体には、外的環境の変化によるストレスから身体を守ろうと働く「ホメオスタシス」が備わっています。これは、身体の外側での変化(外的ストレス)があっても体温を一定に保つなど、恒常性を維持する働きのことです。ここで重要な働きを担っているのが「自律神経」です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらがバランスを取りながら働くことで私たちは健やかに過ごすことができます。しかし、外的ストレスによって、自律神経が乱れやすくなってしまうのです。

2パターンの夏の外的なストレス

夏の外的なストレスは大きく分けると以下の2つに分類できます。

・室内外の気温差

日本の夏は30度を軽く超える地域が多いため、室内では冷房が効いている場所がほとんどですよね。外を歩いて汗だくになって冷えた室内に入るとほっとしますが、室内外を行き来すればするほどに疲れを感じたり、身体が重だるくなったりしませんか?人間の身体は、気温が変わったところで体温まで一緒に変わりませんよね。これは恒常性を維持しようとする身体の働きのおかげです。

・台風やゲリラ豪雨による気圧・湿度の変化

地球温暖化の影響により、スコールのようなゲリラ豪雨が増えています。また、夏は台風もやってきます。これらがやってくると、急激な気圧の変化が生じます。急な豪雨によって湿度も一気に変化します。私たちの身体は気温だけでなく気圧や湿度の変化を受けても外的ストレスと感じ、恒常性を維持するために働くのです。

このような温度・湿度・気圧の変化を身体が感知すると、身体はストレスを受けたと認識し、恒常性を維持しようと働き、自律神経はバランスを保とうと働きます。特に気圧の変化は影響が大きいですし、気温差に1日に何度も対応することも身体への負担は大きいです。このようにして自律神経のバランスが乱れて不調へと繋がってしまうのです。また、外的ストレスを感知すると前庭神経が興奮し、その情報は脳へと伝達されます。脳がストレスを受けることによって脳疲労状態に陥りやすく、うつ症状などへ派生する可能性もあります。

夏の不調にはどんなものがある?

それでは、夏の不調にはどんな症状が考えられるのでしょう?以下の症状は夏の不調の一例です。

・頭痛

・ほてり、のぼせ、発汗

・めまい、耳鳴り

・首こりや首の痛み

・肩こり腰痛、背面の張り

・疲れやすく疲労が取れにくい

・寝つきが悪く、眠りが浅い

・関節痛や過去の怪我の痛みを感じる

・動機、息切れ

・気分が落ち込みやすく憂鬱になったりくよくよしたりする

・イライラする

・記憶力の低下や物忘れ

いかがでしょうか?当てはまるものはありましたか?

40代からよりつらくなる夏の不調

夏の不調例からお気づきかもしれませんが、夏の不調は更年期の症状と共通するものが多々あります。更年期とは閉経の時期をはさんだ前後10年間、平均的には40代半ば〜50代半ばを指しますが、これも人それぞれです。エストロゲンの減少は30代から始まるため、不調は徐々に現れ始めます。

更年期障害の症状は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が激減することによって生じますが、これにも自律神経が関わっています。エストロゲンの分泌の仕組みとして、脳と卵巣の関係があります。まず脳からの司令によって卵巣はエストロゲンを分泌し、分泌していることが脳に伝達・応答されることでエストロゲンの分泌はコントロールされています。しかし、卵巣の機能が衰えることにより、十分なエストロゲンの分泌ができなくなってしまいます。このことからホルモンのコントロール機能が乱れ、脳は混乱してしまいます。ここで困るのが、卵巣に指令を出している脳の視床下部は、自律神経の中枢でもあるということ。脳の混乱によって自律神経が乱れることにより、様々な不調が現れてしまうのです。

このように、更年期障害の症状と自律神経とは深い関わりがあるため、自律神経が関わる夏の気圧・気温・湿度の外的ストレスによる不調と更年期症状は似ているのです。さらに、自律神経と関わりがある更年期症状は、夏の外的ストレスによって左右されやすく、場合によっては悪化してしまうのです。更年期症状はいずれやってくると思いつつも、自分にはまだ早いと思っている40代は多いかもしれません。しかし、この夏はやけに不調を感じることがあれば、不調を無視せずにまずは身近なケアから始めてみることをお勧めします。

夏の不調、今すぐできる心がけとは?

夏の不調が辛いと感じたら、以下の3点を心がけてみましょう。

1. 質が良く、十分な睡眠をとる

睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めましょう。そのために、ベッドの中でスマートフォンを触ったり、寝る直前までテレビやパソコンを見るのをやめて、少なくとも寝る1時間前にはリラックスして過ごすことを心がけましょう。熱すぎない湯船に浸かることも大切です。これは長時間である必要はなく、10分程度でも構いません。体温が低下する過程でベッドに入ると入眠しやすくなるため、眠りにつきたい時間から逆算して1時間〜1時間半前あたりに入浴するといいでしょう。

2. バランスの取れた食生活を心がける

不規則な食生活は自律神経バランスを乱してしまいます。そのため、規則正しい時間に3食摂るように心がけましょう。この時に、栄養バランスの取れた食事を摂りましょう。更年期世代は、大豆イソフラボンやビタミンEなどの女性ホルモンを整えるために必要な食材を摂取しましょう。とはいえ、なにから始めたらいいかわからない場合は、まずは牛乳を飲む場面で代わりに豆乳にしてみたり、薄力粉の代わりにおからを使用してみるなど、無理のないところから摂取するよう心がけてみるといいでしょう。更年期対策のための商品も多く販売されているので、上手に利用するのもお勧めです。

3. ヨガやストレッチ、ウォーキングなど適度な運動を行う

自律神経バランスを整えるためには、なんといっても適度な運動がお勧めです。運動習慣がない方は、ウォーキングから始めるのがお勧めです。午前中に外を歩くことは睡眠の質を高めることにも繋がります。

しかし、猛暑日は朝早くから既に30度を超えていることもありますので、外をちょっと歩くだけでもしんどくなってしまうかもしれません。その場合は、室内でのヨガやストレッチがお勧めです。夏の疲れを感じて既に不調がつらい場合は、マッサージや呼吸法が良いでしょう。以下をお試しください。

夏の不調を感じる時の呼吸法

不調の最中にあると、呼吸は浅くなっています。以下のマッサージと呼吸法で整えてみましょう。

1. あぐらや椅子に座るなど、楽に座っていられる状態で、肋骨と肋骨のあいだに指を入れて軽くさするようにして満遍なく肋骨の間をマッサージします。

2. 肋骨の際に指先を入れ込むようにして上から下までマッサージします。この時、胸を突き出すとやりにくいため、軽く背中を丸めるといいでしょう。

肋骨マッサージ

3. 肋骨に手のひらを当て、息を吸いながらゆっくりと肋骨を広げましょう。手でも肋骨の広がりを感じます。

呼吸法1

4. 息を吐きながら広げた肋骨を戻していきます。この時、肋骨が締まっていく感覚がわかりにくければ、手を中央に寄せるようにしてサポートしてみましょう。

呼吸法2

5. 5〜10呼吸行いましょう。

夏の不調ケア動画を見ながら一緒に動いてみましょう

時間が取れる場合は、以下の動画をみながら夏の不調ケアを行いましょう。

参考:更年期障害がつらいのは天気のせい?〈話し手〉 佐藤 純 Jun Sato(愛知医科大学学際的痛みセンター/一般社団法人天気痛治療推進協会代表理事)

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磯沙緒里

磯沙緒里

ヨガインストラクター。幼少期よりバレエやマラソンに親しみ、体を使うことに関心を寄せる。学生時代にヨガに出合い、会社員生活のかたわら、国内外でさまざまなヨガを学び、本格的にその世界へと導かれてインストラクターに。現在は、スタイルに捉われずにヨガを楽しんでもらえるよう、様々なシチュエーチョンやオンラインでのレッスンも行う。雑誌やウェブなどのヨガコンテンツ監修のほか、大規模ヨガイベントプロデュースも手がける。



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