ビタミンB1が5~10倍に! 今こそ取り入れたい「ぬか漬け」の魅力を発酵食品ソムリエが解説
漬物大国・日本。梅干しや福神漬け、紅ショウガ、塩漬け、麹漬け…、このほかにもまだ日本には数多くの漬物が存在するのですが、ここ最近、注目を集めているのが、“ぬか漬け”。ぬか漬けといったら、発酵漬物の代表格なのですが、腸内環境を整えるほかにも嬉しい効果がたくさん! 今回は、発酵食品ソムリエの筆者が、ぬか漬けの魅力を語ります。
日本は、世界中でも圧倒的に漬物の種類が豊富な国だと言われています。
野菜に限らず、魚や肉、キノコ、海藻などのあらゆる食材が漬物の材料として使われているのですが、身近なところで言うと、梅干し、福神漬け、紅ショウガのような発酵をともなわないもの。それと、塩漬けや麹漬けといった発酵をともなうものなど、種類も手法も実にさまざまです。
それに加えて、今回のテーマでもある漬物の代表格・ぬか漬けも忘れてはいけません。
ぬか漬けは、乳酸菌や酵母などの微生物によって発酵させた乳酸発酵漬物。ここ最近では、腸内環境を改善するために発酵食品を取り入れる方が増えてきて、ぬか漬けもまたその魅力を見直されてきているのです。
生の野菜と比べて、ビタミンB1が5~10倍に!
さて、ここからは発酵漬物・ぬか漬けについて、少しおさらいしていきましょう。
ぬか漬けは、米ぬかと塩水を混ぜて乳酸発酵させたぬか床に、野菜などを漬け込んだもの。
米ぬかには、炭水化物やタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素がとても豊富。そんな米ぬかを使ったぬか床の中に生息する乳酸菌、酵母などの微生物が、これらの栄養を分解しながら活発に繁殖を繰り返し、乳酸やさまざまな香気成分を生み出します。それが、野菜などに浸透することで、ぬか漬け特有の香り・風味がつくというわけ。
さらには、ぬかにもともと含まれているビタミンやミネラルも野菜に移り、糖質の代謝を促し、エネルギーを作る手助けをするビタミン1においては生の状態と比べて5~10倍にも増加。疲労回復に嬉しい効果を期待できるようになるのです。
そして、食物繊維においては、塩の浸透圧によって水分が抜けることによって、同じ重量の生野菜と比べて2~4倍に凝縮されると言われています。
しかも、この発酵漬物に含まれる乳酸菌は、腸内で善玉菌を増やし、大腸菌などの悪玉菌の繁殖を抑制。生きたまま腸まで届く菌だけでなく、途中で死滅した菌の死骸や野菜に含まれる食物繊維も、善玉菌のエサとなって腸内細菌のバランスを整えてくれる! 私たちの腸の健康のために活躍してくれる、心強い味方なのです。
チーズやアボカドを漬けても美味しい!
何だか、急にぬか漬けが食べたくなってきた!という方も多いのではないでしょうか。
しかし、ぬか漬けは、ぬか床を用意するのも、管理するのも面倒だと思われがち。
そんなときは、スーパーなどでぬか床を購入することもできるので、気軽に、お試し感覚で入手してみるのもよいでしょう。
また、ぬか床に漬けることができるのは、生の野菜だけではありません。
例えば、チーズ。
モッツアレラチーズやクリームチーズを適当な大きさに切り、ラップの上に広げたぬか床で包んだら冷蔵庫で12~24時間寝かせます。
そうすることで、チーズの風味がより芳醇に! チーズは発酵食品ですから、ぬかの力と合わせてダブルの発酵パワーを取り入れることができるでしょう。
そのほかにも、ゆで卵やアボカド(皮をむいた状態)を漬けても美味しく、健康に食べられちゃう。
ゆで卵もアボカドも、半日程度漬ければOK。どちらも、ぬかが浸透しやすいため、1日寝かせるとかなりしっかりと漬かった感が出るでしょう。
好みの漬け具合いを見つけてみてくださいね。
※ 食べるときは、食材に付いたぬかを落としてから。
ぬか漬けには、まだまだ計り知れない魅力がありそうですよね。
みなさんも、毎日の食卓にぬか漬けをプラスして、日々の健康管理に役立ててみてはいかがでしょうか。
AUTHOR
高木沙織
ヨガインストラクター。「美」と「健康」には密接な関係があることから、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。ヨガインストラクターとしては、骨盤ヨガや産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスなどボディメイクをサポートし、野菜や果物、雑穀に関する資格も複数所有。“スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ボディメイクや食に関する記事執筆・イベントをおこない、多角的なサポートを得意とする。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。
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