環境活動家・養蜂家のハニーさんインタビュー|「わたしたちが美しく健康になれば自然が喜ぶ」その理由

 環境活動家・養蜂家のハニーさんインタビュー|「わたしたちが美しく健康になれば自然が喜ぶ」その理由
一般社団法人ハニーファーム
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わたしたちが自然の一部としてできること

—— ハニービーセラピーを通してわたしたちが受け取る恩恵や学びはかなり大きいように思えます。けれどなぜミツバチたちはそんなことをするのだと思いますか?

ハニーさん: 少し前までは、与え尽くしの愛の形だと思っていました。けれど、今ふと気づいたのは、自然はわたしたち人間に対して境界線はありません。ミツバチだけでなく、森やその中の命も全てそうですが、自然には”我”がないんですよね。つまりミツバチにとっても、わたしたち人間はミツバチの一部ということ。だから、ミツバチにとっては、人間の痛みや辛さを治しているのではなく、自分を修復しようとしているのではないでしょうか。不自然を自然にしているだけなんだと思います。

——与え尽くしてもらってばかりで申し訳ない気がしてきました…

ハニーさん: 自然界は役割分担がしっかりしているので、「〇〇したから〇〇してくれるよね」と期待したり、見返りを求めることはありません。けれど、結局はきちんと自分のミッションを果たしているので、受け取っているんだと思います。自然界はバトンリレーになっているんです。

わたしたちの食べ物のほとんどは、ミツバチが花に受粉することではじめて育ちます。そして、山があって、森があって、川があって、海があって、そして、ミツバチがいて、それらがなかったら、人間の命は成り立ちません。だから人間も自然の一部として、そこに畏敬の念を持つことが大切です。

日常生活の中で、山や森や、川や海や、ミツバチたちを自分の一部として捉えることができたら、難しい悩み事も少なくて済むはずです。

——人口増加に相反してミツバチの数は減っていると言われていますが、ミツバチの数を増やすことはできるんですか?

ハニーさん: 養蜂家には2種類います。ハチミツをとって売っている養蜂家と、ミツバチを育てて売っている養蜂家です。ですので、ミツバチの数を増やすことはできます。

けれど普通に生活していれば地球全体で命の数って、絶妙なバランスを保つことができているはずなんです。それがしっかり計算されずに進んでしまったから、今アンバランスが生まれているのだと思います。

この世の中の命は全て尊いものです。例えば、メジャーリーガーがホームランを打ったら、それは本当にすごいことなんですが…選手の食べている食べ物は自然からきているわけですし、他にもバットを作った人、ホームベースを作った人、野球場を清掃してくれた人、色々な命がその一瞬を作っているんです。

長年環境問題と向き合ってきて思うことは、みんなが美しく、健康でいることが重要なのだということ。わたしたちの食べるものや取り入れるものが美しくて健康的なものであれば、尿・汗・便・涙として自然に排泄されてもそれはきれいなまま循環されていきます。

地球の尊い命を守るためにできることは、美と健康がキーポイントだと思っています。

—— とてもシンプルですが、何でもかんでも複雑にしてしまうのが人間なような気がします。

ハニーさん: 思考ではなくて、直感に従うようにするといいかもしれませんね。思考は自我で、直感は真我です。そうすれば、自分にとっていい結果に繋がると思いますよ。

ライターの取材後記

山のポーズ、木のポーズ、下(上)を向いた犬のポーズ、蜂の呼吸法…ヨガのポーズや呼吸法の名前を聞くと自然界から名付けられたものが多くあるということに気づく方が多いのではないでしょうか。

あくまでもわたしの持論ですが、これは人間が自然の一部だということを覚えておくためだったのではないかと思います。今よりももっと自然界と人間の距離が近かったであろうヨガが生まれたとされる5000年前に、すでに人々は自然環境と自分を分けて考えはじめるようになっていたのかもしれません。

ヨガのポーズに集中している時ふと自分が自然に還っているような感覚に陥ることがあります。それは、近所の緑のある場所で自然を身近に感じる時、こわばっていた体や心がフッと軽くなる瞬間に似ているということは、最近になって気づいたことです。

ハニーさんの温かさと強さに包まれながら、自然と寄り添って生きることがわたしたちの暮らしを持続可能にしてくれるということを改めて実感した取材となりました。わたしも、ヨガの練習を続け自然界の一部であることを感じ、美しいものを美しいままに、汚れているものはきれいに、壊れたものは修復できるように生きていきたいと思います。

取材協力 - 養蜂家・環境活動家・一般社団法人ハニーファーム 代表理事 船橋 康貴さん

一般社団法人ハニーファーム
一般社団法人ハニーファーム 船橋 康貴さん
 

1960年名古屋市生まれ。経済産業省産業構造審議会専門委員、名古屋工業大学非常勤講師、日本福祉大学講師、省エネルギー普及指導員、愛知県地球温暖化防止活動推進員を歴任。

2012年、一般社団法人ハニーファームを設立。山梨県清里高原へ移住。世界中で激減しているミツバチを守るために、環境のプロとしてミツバチを使った「ハチ育」「ハニービーセラピー(5月〜7月中希望があれば開催)」や町おこしなどを行っている。また現在は「新生ハニーさんリトリート」を実施中。永遠なる内に向かっていくために自然の力を借りるワークを、希望者へ一日一組限定で開催。お問い合わせ:info@honeyfarm.jp

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桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



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