ファスティングに失敗する人にこそ勧めたい「アーユルヴェーダ式ファスティング」とは
これから暖かい季節になるにつれて、薄着になる機会も増える人も多いかもしれません。「夏に向けて絞りたい」と毎年この時期には思うけれど「上手くいかない…」という方は、アーユルヴェーダ式ファスティングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
アーユルヴェーダ式ファスティングとは?
ファスティングとは?
ファスティングとは、日本語では”断食”と書くため、完全に食事を断つこととイメージする方もいるかもしれません。けれど、実際はちょっと違います。アーユルヴェーダでいうファスティングは、食べ物、呼吸、思考、すべての感覚を完全に意識して、体内を浄化する方法。ここでいう「食べ物への意識」とは、体に有害な食べ物を避けて、自分自身の体質に基づいた食事を賢く選択することを意味します。 適切なファスティングを行うことで、食べたもを消化吸収する力を調整し、体内から毒素を取り除き、エネルギーを体内に維持し、恒常性の維持に役立てることができます。
アーユルヴェーダ式ファスティングのポイントは「体質・体調に合わせること」
アーユルヴェーダ式のファスティングは完全に食べものを食べないことでも、フルーツジュースだけで過ごすことでもありません。その特徴は、体質や体調に合わせて柔軟に変化させるということ。
クレンジングジュースだけ飲んで過ごして便秘が解消される人がいたり、逆に便秘になってしまう人がいるのは、クレンジングジュースが悪いのではなく、ご自身の体質や体調に合っていないから。特にフレッシュジュースなどは消化に負担がかかりやすいため、消化力の低い人や便秘になりやすい人などには向かないと考えられます。また、野菜などは得に甘みのある野菜と苦味のある野菜、また温めて飲むのか、冷たいまま飲むのか、なども体質・体調に合わせて摂らないと、冷えや便秘に繋がることもあるので要注意。
ファスティングをしてはいけない場合
ファスティングは体を軽くするものなので、若い人、超高齢者、妊娠中、授乳中、生理中の人、低体重や栄養不足の人、慢性疾患のある人は、若干体力を消耗する可能性があります。
持病がある方や薬を服用中の方は、必ず医師に相談し、指導してくれる資格を持ったアーユルヴェーダ・プラクティショナーと一緒に取り組みましょう。
アーユルヴェーダ式ファスティングの方法
1. 体に良くない食品を排除する
ファスティングの第一歩は、砂糖、精製炭水化物、グルテン、市販の乳製品、マーガリンなどの不健康な脂肪、市販の肉、非オーガニック食品、遺伝子組み換え食品、加工食品、残飯、冷凍食品、ファーストフード、カフェイン、アルコールといった食品を排除することから始めるのが簡単。
これらはすべて、甘えや重苦しさを生みやすい物質。これらの食品を丸々カットし、それを数日続けていけば、体が驚くほど軽くなるかもしれません。
2. ベストなタイミングを選ぶ
朝起きたとき、体がだるく、舌に膜が張っているようなら、自分の体質に合ったファスティングをするのに良いサイン。
アーユルヴェーダ式のファスティングは、自分の体質に合った方法で行います(3を参照)。ガス、げっぷ、膨満感、火照りなど、消化不良を感じたら、それは体が何か異常があるというシグナルを送っていると考えられます。「消化器官を休ませ、毒素の排出を促しましょう」という体からの声に耳を傾けて。また、疲労感や重苦しさを感じているときにも断食をすると効果的です。
3. ドーシャを考慮する
アーユルヴェーダでは一般的に、短期間の定期的なファスティングをおすすめしています。例えば、1週間に1回、1ヶ月に1回、季節の変わり目など。
果物や野菜、ジュース、キチャリと呼ばれるアーユルヴェーダお粥など、シンプルで消化の良い食べ物だけの断食は、消化器官を休めて、デトックスし、簡単な栄養とエネルギーを補給することができるのでおすすめ。
ただし、アーユルヴェーダのドーシャ(個々人の体質・体調)によってファスティングの方法は変化させるようにしましょう。季節や年齢、周期などによっても体調は変化しますので、その時々のご自身に合わせて実践して下さいね。
■ヴァータのためのファスティング
ファスティングはヴァータの性質を強めると言われています。ヴァータ体質の人やヴァータのバランスが崩れている人は、水ファスティングや2日以上の断食をしない方がよいでしょう。ファスティングは季節の変わり目か、頻繁に実践するとしても月に1回程度が◎。
健康で活力のある人は、ヴァータを和らげる甘いオレンジ、マンゴー、ブドウのジュースで単品断食をするのがおすすめ。また、ヴァータは、生姜、塩少々、ライムを絞った紅茶や、生姜とフェンネルの紅茶など、体を温めるものを飲んで過ごすのも有効です。
■ピッタのためのファスティング
ピッタが優勢で健康な方は、葉野菜で作った苦味や渋みのある野菜ジュースや、ブドウやプルーン、ザクロなどを薄めたジュースファスティングがおすすめです。
ピッタは消化力が強いことが多いので、水だけのファスティングはしないこと、また一度に3日以内のファスティングが望ましいです。季節の変わり目には3日間の長い断食を行い、それ以外の季節は週に1日のファスティングをすることがピッタには効果的。
ピッタのバランスが悪い人や断食中にイライラしてしまう人は、キチャリでファスティングをして、フェンネルティーを一日中飲むのがおすすめ。
■カファのファスティング
カファが優勢で健康であれば、もっと定期的に、年に数回、3日間まで、お湯、レモンと蜂蜜、リンゴ、クランベリージュースなどのドリングでファスティングをしてもOK。カファはファスティング中には、消化力を高めるために、アーユルヴェーダのハーブであるトリファラを少し加えるのもおすすめです。さらに、カファは季節問わずに、年間を通じて週に1日断食をするとよいことが多いと言われています。
ファスティングの終わらせ方
ファスティングを終えたら、通常の食事に戻さないことが重要で。
例えば終日ジュースファスティングを終えたら、翌日の朝食に果物や少量の温かいシリアルを食べ、昼食はシンプルで消化の良いものを食べます。準備、ファスティング、ファスティング明けに同じだけの時間をかけることが重要。
もしあなたが2日間のザクロジュースファスティングをする準備をしているなら、始める前の2日間は軽めのすっきりした食事、その後2日間かけてゆっくりと固形食に戻していくのが◎。消化器官に負担がかかり、かえって害になることがあるので要注意。
また、ファスティングが終わると、食欲が減り、体に良い食べ物に自然と目がいくようになることも珍しくないので、それを楽しみに頑張って下さい。
成功のための一般的なヒント
・断食の長さは控えめにしましょう。体力や気力が落ちたり、イライラしたり、空腹を感じたりしてはいけません。もし、これらの症状が出た場合は、すぐに固形食を増やすのがおすすめ。
・消化が最も良いランチタイムに食事をしっかりと摂り、朝食は少なめに、そして夕食も少なめにするようにします。
・お腹が空いたときだけ食べるようにしましょう。
・クミン、コリアンダー、フェンネルの種子で作ったお茶(愛称:CCFティー)は、毒素を穏やかに取り除きながら消化の火をサポートするので、誰にとっても有益。
・トリファラもまた、ファスティングに有効なハーブの組み合わせのひとつです。
・週に1日断食をする場合は、毎週同じ日を選ぶと◎。インド占星術に興味がある人は、自分のチャートに合う曜日を選ぶか、自分の生まれた曜日に断食をするのもおすすめ。
・断食中は、毒素が排出され、体が浄化されるため、少し疲れたり、頭がぼーっとしたり、頭痛がしたりすることがあります。これらは大抵の場合はすべて良い兆候で、短時間で治まります。これらの症状が続く場合は、ファスティングを中止し、必要であれば主治医に診てもらいましょう。
・瞑想や日記を書くことは、ファスティング中のプロセスに滋養を与える有用な習慣。
・活動量を減らし、休息をとることを忘れないでください。
ファスティングは強力なホームレメディー
体質・体調のアンバランスによって、その効果は大きく異なりますが、ダイエットはもちろん不適切な代謝による毒素を減らす効果を得ることもできます。アーユルヴェーダでは、空腹感などの自然な衝動を不適切に抑えると、バランスが崩れたり、消化がうまくいかなくなったりすることもあると考えていますので、個々人に合わせてファスティングをすることを覚えておいて下さいね。
AUTHOR
桑子麻衣子
1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。
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