医師監修【お腹の違和感…あなたの腸は大丈夫?】 腸が炎症を起こしている時の食べ方&ケア方法

 医師監修【お腹の違和感…あなたの腸は大丈夫?】 腸が炎症を起こしている時の食べ方&ケア方法
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半田葉子
半田葉子
2022-03-02
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4.腸のケア方法

いただきます
illust AC

【消化しにくいものを控える】

腹持ちの良いものには消化しにくいものが多くあります。消化に時間がかかる食べ物は胃腸に負担がかかります。ここではそんな「消化しにくいもの」をご紹介します。腸になんらかの疾患がある場合は、意識して控えることをおすすめします。

◆食物繊維
一般的に、腸の蠕動(ぜんどう)運動を助け、腸を活発にする役割があり、腸に良いとされています。しかし、食物繊維は消化に時間がかかります。本当に胃腸が弱っている人は避けましょう。
※食物繊維が多く含まれる食材…根菜類、オートミール、干し芋、ナッツ、ドライフルーツ、玄米、大豆、きのこなど

◆油
植物性油、動物性脂両方とも消化に時間がかかるため、胃腸にも負担がかかります。炒め料理や揚げ物を蒸し煮料理に替えてみたり、一度湯通しして油分を落とす、脂身の多い合い挽き肉や豚バラ肉や鶏もも肉を、鶏の挽き肉や赤身、鶏ムネ肉やささみにするなど調理法を意識してみましょう。
※ひき肉は肉の中でも特に油が多いので注意しましょう。料理に油を使わない、しばらく肉を控えるのもお勧めです。

◆動物性タンパク質
私たちのからだに欠かせないタンパク質は調理法で消化具合が異なります。タンパク質は脂の有無にかかわらず、火を通すと硬化し消化しにくくなります。
魚では、刺身が一番消化しやすく、次に煮魚・蒸魚、次いでお酢を加えて調理したものや揚げた魚、焼き魚は意外と消化に時間がかかります。卵に関しても、固く火が通った卵の方が半熟卵の方よりも消化に時間がかかります。
動物性タンパク質は調理方法に気を付けてみましょう。

◆香辛料
辛い物は胃腸に刺激を与えます。健康な胃腸にとって適度な香辛料は良いとされますが、胃腸が弱っている人には刺激が強すぎます。胃腸に炎症が起きている時に、香辛料が傷口に触れることを想像してみてください。考えただけで、胃がきゅーっとしますね。
唐辛子やスパイス、七味などの刺激の強い香辛料は控えましょう。

◆酸
レモンなどの柑橘系やお酢など、程よい酸は胃腸に刺激を送り、腸が活性化されると言われていますが、胃腸が弱っている人にとっては刺激物となります。
胃の中は基本的に胃酸で「酸性」です。「胃酸過多」という言葉を聞いたことがありますか。胃が酸性に傾きすぎると胃が荒れてしまい、逆流性腸炎で食べたものが逆流して酸っぱいゲップがでてしまうことがありますが、胃腸が炎症を起こしている状態での酸は控えましょう。

◆アリシン
アリシンは、白ネギ・玉ねぎ・ニンニクなどに含まれる「強い殺菌力や抗菌作用を持つ成分」です。胃腸が弱い人や身体が弱っている人には負担の大きな成分です。アリシンは火を通すことで成分が少なくなります。摂取する場合は生ではなく必ず火を通しましょう。

◆コーヒー
コーヒーはメリットもたくさんある飲み物ですが、胃腸が弱っている場合は控えましょう。コーヒーを飲み過ぎて胃がもたれた経験はありますか。コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」は胃酸の分泌を活性化させます。特に空腹時や胃が弱っている時に、胃酸が胃の粘膜を刺激してしまう恐れがあります。
※カフェインレスコーヒーでも同じように胃酸の分泌は活発になります。

◆水分
健康のためにと、喉の渇きに関わらず意識的に水を飲んでいる方も多いのではないでしょうか。からだにとって水分は必要ですが、水分を摂り過ぎてしまうと胃液が水分で薄まります。胃液が薄まると食べ物を消化するための胃酸が濃度を保とうと必要以上に胃酸を分泌し始め、胃酸のバランスが崩れます。結果、胃酸過多になってしまったり、水分で胃酸が薄まっている胃に食べ物が入ると消化不良を起こしてしまう可能性があります。水分の摂りすぎにも注意しましょう。

◆牛乳などの乳製品
ヨーグルトやナチュラルチーズの乳酸菌は腸にも良いとされていますが、一方で日本人の3人に2人が牛乳に含まれる乳糖を十分に分解できない「乳糖不耐症」であると言われています。
母乳や牛乳に含まれている乳糖は、小腸で乳糖分解酵素(ラクターゼ)のはたらきによって分解・吸収され、エネルギー源になります。これは乳児の発育には欠かせない栄養源ですが、大人になるにつれ、ラクターゼが減り、乳糖不耐症になることもあります。乳糖不耐症の人は、乳糖が小腸で吸収できずに大腸まで流れ、大腸の浸透圧が高まることにより、大腸の中に水分がたまりやすくなります。
また、大腸の腸内細菌によって乳糖が発酵、それにより酸やガスが発生します。これらの刺激により腸が過剰に収縮を起こし、下痢を悪化させたり膨満感からの腹痛が起きる場合があります。
酪農を古くから行ってきた欧米人と比べ、日本人は乳製品をあまり摂ってこなかったためとも言われていますが、お腹の張りや下痢が気になる場合は症状がおさまるまでは意識して控えてみるのも良いでしょう。

◆食品添加物・農薬
自然界のものではない食品添加物や農薬などケミカルな食べ物は、消化にも解毒にも時間がかかり、多くの酵素を必要とします。気を付けたいのがキムチ。一般的にキムチは発酵食品と言われ、整腸作用が期待されていますが市販のキムチは発酵していない場合も多く、食品添加物が多く含まれています。

◆ストレス
食べ物以外での大きな原因に「ストレス」が挙げられます。食べ物をいくら気を付けてもストレスがあると治りにくいでしょう。
東洋医学で「脾臓・胃」は【思い悩む/憂い】思い悩むと気が固まり、脾・胃を痛めると言われています。心配事・考えすぎは消化機能を低下させます。心配事があると食欲が落ちるのもそのためです。

おはよう
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これら胃腸に負担がかかる食べ物を控え、調理法に気を遣いましょう。

【胃腸に負担がかからない調理法】 ◇煮る ◇蒸す ◇発酵食品 ◇すりおろす/ミキサーにかける ◇水分の多い食べ物 ◇温かい食べ物・飲み物【外側からのケア】

お風呂
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内側からの食べ物と同時に、外側からのケアをすることも大切です。湯船にゆっくり浸かり、内臓をじんわりと奥の方まで温めてあげましょう。また水圧でからだに程よい圧をかけ、内臓を活性化してあげましょう。痛くない程度にお腹をさすったり軽くマッサージをして、お腹をやさしくほぐしてあげるのも効果的です。※痛みの残っている人は刺激になりますので控えてください。まだまだ寒さの残る時期です、腹巻などもしてお腹を冷やさないようにしましょう。

5.まとめ

腸
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食欲がない時や胃腸に違和感がある時、嘔気がある時に、無理に食事を取る必要はありません。まずは胃腸の炎症を抑え、胃腸を休ませてあげましょう。胃腸の炎症は大きな病気にも繋がる恐れがあります。一週間ほど様子を見ても変化のない場合は医療機関での診察をし、お腹の不調の原因をみつけ、根本からのケアを心がけましょう。

医師監修/佐藤瑠美先生
内科医として朝倉医師会病院に勤務。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、感染症専門医、感染症指導医、呼吸器専門医、呼吸器指導医、アレルギー専門医、化学療法認定医、化学療法指導医、抗酸菌症認定医、抗酸菌症指導医、インフェクションコントロールドクター、肺がんCT検診認定医

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半田葉子

半田葉子

バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_



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