「わからない」不安と向き合う:養子を決意したメアリーの場合

 「わからない」不安と向き合う:養子を決意したメアリーの場合
YJ US

親になることはさまざまな大きな決断と問題の連続だ。時には“わからない”ことが答えへと導いてくれる。

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目が覚めた瞬間、私は階段をそっと降り、子ども部屋へ入った。窓からベビーベッド越しに光が差し込んでいる。私は部屋の至る所に鎮座する、ガネーシャや象の彫像を一瞥する。私たちの前に確かに立ちはだかる、見えないじゃま者を追い払うために置いたのだ。
私は数週間のうちに母になる予定だ。ほとんどの人と同じように、環境を整え、ワクワクし、怖れを抱いてもいた。だけど他の人と違う点もあって、それはベビーとともにいないということ。私は大きくなるお腹にヘッドフォンを当てることもなかったので、心地よいバイブレーションを聴くこともなかった。ベビーのキックも感じなかった。“ベビーがいる”という確かなサインがなかったのだ。

その理由、それは夫のマットと私が、里親になるから。今私たちは電話を待っているところだ。電話のベルがなる毎に、本能的に胸に手をやった。「これがそうかもしれない」。親になる人たちは皆、小さな命が生まれてくるまでどんな子に会えるかわからないとはいえ、私たちはうちの里子になる子のため1週間、数カ月、1年、希望を持ってさらに長い間準備し、ついに、家族の一員となる赤ちゃん―または子ども―を迎えることができるのだ。そして今、想像をはるかに超えた期待を抱いたのち、できることは待つことだけ。

マットと私は昨年、親になるための旅をスタートした。私たちに子どもができないと知ったとき、人工授精(IUI)と体外受精(IVF)を推奨する不妊治療の専門医にかかった。間もなく予約時にファイナンシャル・アドバイザーが同席するようになり、高額の料金を提示された。私たちは妊娠のため何度も挑戦していたわけではないし、友達に薦められた他の専門家にも会っていなかったので、はっきりとはわからなかったが、私たちの行こうとする道のりは正しくない気がしていた。だから不妊治療はやめることにして、でもベビーを迎えるという土台だけができ、話は続いていた。

数日後、マットと歩いているときに聞いてみた、「養子を迎えるのはどうかしら?」

彼は私を大きな目でみてこう言った、「素晴らしいアイデアだ」

「私もそう思う」私はにっこり笑って返事をした。「本当に素晴らしい」

それからの数週間はあっという間で、私たちは私の生徒、そして里親/里子・養子縁組の弁護士であるテイラーにアドバイスを求めた。彼女はもう何年も私のクラスに通っていて、いつでもマットをいちばん前、ど真ん中に敷いているような人だ。人生そうしたもので、すべてを変えてくれる人との出会いは逃してはいけない。テイラーと話したあと、私とマットは里親/里子・養子縁組のあっせん所に行き、里親になる、という重大で、恐ろしくも、素晴らしい決断をした。私たちの住むここロサンゼルスでは34,000人以上の子どもたちが登録されていて、私たちと同じように、この中の何人かもきっと私たちを待っている。

実の親の顔がわからないことに加えて、さらに落ち込ませることがあった。ベビーの年齢も、性別も、人種も、産みの親がどんな検診を受けてきたのかもわからなかったのだ。私たちが里子にする子は実の親と再会することがないはずで、私たちも、完全に私たちの子どもになってくれる子を望んでいた。質問して、回答を得ることはできるが、私たちは“わからないこと”の真っただ中にいて、ただ確かなのは、“信じること”を学んでいるということ。何が起ころうとも、迎える子は私のお腹から産まれ、ずっとこの腕に抱きしめたかった子だと信じること。

その朝、子ども部屋でベビーベッドをのぞき込んで「いったいどんな子がここに眠るのかしら」と思いながら、心のなかで新しいマントラを唱える―わからない―思ったよりずっと希望と心地よさをもたらしてくれるフレーズだ。

ソーシャル・ワーカーと里親/里子のシステムについて話すために会ったとき、注意されたことがある。「あなたは心を奪われると思うけど、傷つくこともたくさんあるわ」確かに怖い、でもこれって人生で起こり得ることの真実では?結局は大切な人のため、困難を乗り越えることに意味がある。

それまでは、こうした困難なことのショックに身構えて過ごしていたが、最近ではわからないことを楽しむことにしている。

里親になることは、ちょっとスカイダイビングの気分にも似ていて、私のある部分は“数えきれない心配”や“もし~だったら”に関わることを欲してもいた。残りの大部分で、今まで私にあるとも思わなかった知恵の泉を活用しながら、1日1日を―というより1時間1時間を―ただ1歩ずつ、正しい選択ができるように進んで行く。目とハートを大きく開き、“わからない”ことの安らぎのなかで。

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Text by MARY BETH LARUE



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