下痢止めをすぐに使うのは危険!?下痢が続く…原因と予防、対処法は?アーユルヴェーダの食養生
下痢止めをすぐに使うのは、危険かもしれません。アーユルヴェーダは「解毒」を重要視する、インド発祥のホリスティック医学。症状をただ抑えるのではなく、原因を取り除くために何をすべきか?何をしないべきか?をアーユルヴェーダ著者のアカリ・リッピーが紹介します。
そもそもアーユルヴェーダとは?
アーユルヴェーダとは、インド・スリランカ発祥の世界三大医学の一つ。日本ではオイルマッサージのイメージが強いですが、実際は中医学や食養生に近いもので、自然な方法で病気の治療や予防、健康促進を行うホリスティック医学です。本場のインドやスリランカでは、西洋の病院と並びアーユルヴェーダの病院があり、国民は好きな方の治療を選べます。
下痢の原因とは?アーユルヴェーダでいきなり下痢止めをしない理由
そのアーユルヴェーダで非常に大事にしているのが「解毒」すなわち「浄化」です。私たちは、日常生活の中でたくさんの毒を体内に入れています。残留農薬、添加物、紫外線、排気ガス、ウイルスなど外から入ってくるものもたくさんありますし、ストレスにより内側で発生する毒素もあります。また、毎日行っている食事で、食べ物が消化不良になると、消化が不十分な食べ物のカスが、未消化物として体内に残り、それが毒素になります(サンスクリット語でアーマと言います)。これらすべての毒が血流に乗って全身を巡ると色々な不調や病気が起こるので、アーユルヴェーダではこの毒素を体外へ排泄する治療法が行われます。
ある意味、その治療法の1つが「下痢」なのです。
下痢の原因の大きな一つは、毒の体外への排泄です。
食中毒になると下痢になるということを聞いたことがありますか?体内に入って悪さをしている菌を外に出すために、体は自主的な浄化機能を働かせます。それが下痢です。例えば、脂っこいものをたくさん食べた時に下痢になるのも同じ理由です。消化に負担のかかる食事が、消化器のキャパオーバーとなり、下痢が起こります(他にも下痢の原因はあるので後述します)。
その時に、下痢を薬で止めてしまうと、排泄しようとした毒素が体内に留まってしまうことになります。それでは症状は抑えられていますが原因解決になっていないわけです。なので、アーユルヴェーダでは下痢の原因を調べて、下痢をすぐに止めるべきなのかどうかを冷静に判断します。下痢になると体内から急速に水分が失われ脱水症状にもつながりますから、その場合はもちろんアーユルヴェーダでも下痢止めをします。要は、原因と症状を見てその時に一番的確な方法を選ぶということです。
また上記の原因以外に、ひどい下痢は病気のサインである可能性もあります。例えば、腸炎や過敏性腸症候群などです。その場合は、病気によって対処法を変えていく必要がありますので病院で検査をするなどしてください。またストレスにより腸の活動が過活動になっても下痢になります。他の原因が思い当たらなくて、検査でも異常がない場合は、ストレスが原因になっているかもしれません。
下痢の対処法
では、下痢を予防するにはどうすればいいでしょうか?先ほど書いたように毒素を入れないようにしたり、消化できないほど食べないということが必要なのですが、それ以外にも下痢を引き起こしやすい食べ物・飲み物を控える必要があります。
以下は、下痢の時に特に控えた方が良いものです。
下痢の時に控えるべきもの
- 刺激の強い食べ物
辛い食べ物、塩味の恋食べ物、酸っぱい食べ物(特にピクルスやキムチなど発酵食品)。
- 油っこい食べ物
揚げ物、バターやチーズをたっぷり使った食べ物。
- 冷たい食べ物あるいは極端に熱い食べ物
冷蔵庫から出したばかりの飲み物、氷を入れた飲み物は腸を過度に刺激するだけでなく、消化力も低下させるので、下痢の時以外でも1年を通して飲むべきではないと アーユルヴェーダでは考えます。また、極端に熱い飲み物や食べ物も消化器に負担をかけるので控えます。
- シーフード
エビ、カニ、イカ、タコ、貝類は下痢の時は控えます。
- 牛肉
牛肉は消化に負担が大きく、また腸内で毒素を作ります。
- 牛乳、ヨーグルト
牛乳にアレルギーがあると下痢になるほか、乳脂肪分は消化に負担がかかるし、体内を冷やすので下痢の時は控えるべきです。
下痢の時に食べても大丈夫なもの
では、続いて、下痢の時に食事をするならどういうものが良いかをご紹介します。
- 豆類
レンズ豆、ひよこ豆、枝豆、大豆など。
- 苦味のある野菜
ゴーヤ、ほうれん草、小松菜など。
- 自然な甘味のある食べ物(×白砂糖)
人参、かぼちゃ、白米など。
- 温かい食べ物
スープ、蒸し野菜、少しのオイルで炒めたものなど。
- 肉類の中では鶏肉がベター
- 飲み物の中では白湯と緑茶
慢性的な下痢の場合は、まずは食事を上記のようなものに変え、控えるべき食べ物も参考にしてください。他にも腸内環境を整えるアプローチなども必要なので、また、それについては改めて書きたいと思います。
AUTHOR
アカリ・リッピ―
アーユルヴェーダ著者・セラピスト。本場スリランカでアーユルヴェーダ医師のもと修行。帰国後、1万人の体質改善コンサルをしながら講座で実践的なアーユルヴェーダを指導。著書「アーユルヴェーダが教える、せかいいち心地よいこころとからだの磨き方」 (三笠書房)5刷。都内でサロン経営。大手企業の営業マンだった時の経験を活かし、「忙しい人でも無理なくできる」現代的なアーユルヴェーダを発信。
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