奇跡のオイルと言われるギーって?よくある質問や使い方をアーユルヴェーダアドバイザーが解説
ヨガと姉妹関係にあるアーユルヴェーダ。「謎」「怪しい?」なんてイメージを持つ人も少なくないかもしれませんが、アーユルヴェーダはインド・スリランカ発祥の世界三大医療の一つ。アーユルヴェーダをシンプルに言うと、体に毒を溜めない/毒を排出するという言わば『毒出し』です。 アーユルヴェーダアドバイザーでもある筆者が今回ご紹介するのはアーユルヴェーダの毒出し方法で取り入れやすい『ギー』についてお話をします。
ギーとは?
日本では馴染みが薄いですが、「奇跡のオイル」と言われるオイルが『ギー(GHEE)』。
アメリカで「最も身体に良い油脂ベスト5」では第1位に選ばれ、米国『TIME』誌が選ぶ世界でもっとも健康にいい食品50に選定されたこともあります。
質の良いエネルギー源、そして健康に欠かせない脂質を含むと言われ、発煙点も他の油よりも高いため、バターやその他のオイルの代わりとして様々な調理に安心して利用できるオイルとして注目を集めています。
アーユルヴェーダとギー
5000年続く世界最古の伝統医学であるアーユルヴェーダではギーははるか昔から重宝されてきました。アーユルヴェーダを代表する古典医学書のひとつである『チャラカ・サンヒター』には以下のように記されています。
「記憶力、知性、消化力、精力、オージャス(活力素)、カパ、脂肪を増大させ、ヴァータ、ピッタ、毒素、錯乱、疲労、不幸、発熱を除去し、 全ての油脂類の中で最も優れている。ギーの用い方によっては無数の効果をあげることができる」
(チャラカ・サンヒター第1巻第27章)
ギーに関してよくある質問
ギーは太る?
前述の『チャラカ・サンヒター』には「脂肪を増大させる」とありますが、科学的に見るとギーは不飽和脂肪酸を多く含むと言われます。そのなかの大半は中鎖脂肪酸と言って、脂肪になりにく脂肪です。つまりエネルギーへと変わるというわけです。
ただし、もちろん食べ過ぎてしまったり、体質によっては注意が必要。
例えば、コレストロール値を過去にお医者さんに指摘された方や、胃もたれがしやすい方などは1日小さじ1/2程度に留めるのがベターかもしれません。体調や体質的に心配がないようであれば、1日小さじ1〜2程度と言ったところでしょうか。
あくまでも目安なので、ご自身の感覚を一番大切にして下さいね。
バターと何が違うの?
バターには水分やタンパク質、糖分があります。一方で、ギーはそのような不純物を取り除いた、純粋な乳脂肪。
「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう」乳糖不耐性の人でも安心して口にすることができるケースが多いのです。
また、料理に使いやすいのが特徴。
焼きたてのパンやコーヒー、温めた干し芋などにつけて食べる、というのが定番の使い方ですが、日本食との相性も◎。
例えば、醤油との相性も抜群で、醤油パスタ、醤油卵かけご飯などにギーを垂らすのも美味しい食べ方です。
おすすめのギーの使い方は?
- ココアやコーヒー
ココアやコーヒーを飲むと便意を感じるという方もいますが、カフェインの刺激を与えて便意を感じるというのは持続可能な腸活ではなく、アーユルヴェーダではおすすめされていません。
カフェインは、体を冷やす上に脱水させてしまうので、胃腸を冷やし乾燥させてしまい、かえって腸活的な観点から言うと逆効果になります。とはいえ、頭をスッキリさせてくれたり、頭の回転がよくなったり、目覚めを良くしてくれる効果ももちろんあるので、飲む際はギーを小さじ1程度加えて飲むのがおすすめです。ギーは、消化力を高めてくれる唯一のオイルで、カフェインの刺激をマイルドにしてくれます。
筆者は、今日は頑張り時!というパワーが欲しい時などは、カカオパウダー小さじ1をお湯で溶いて、はちみつ小さじ1、ギーを小さじ1加えて、更に温めたオーツミルクを加えてホットココアを飲むのが定番。頭が冴えると同時に、心がほんわか温めるのでおすすめです。
- スープ
特にポタージュ作りにおすすめです。コンソメを使う系の料理とは相性が良く、わたしはギーでポタージュ作りをするようになってからは、コンソメを使わなくなりました。
- ごはんを炊く
ごはんと一緒にギーを炊くのもおすすめです。おすすめは、1カップのお米をギー小さじ1程度とターメリックパウダー小さじ1で炊くこと。その他にもかぼちゃやさつまいも、にんじんやカブなどと一緒に炊くのも◎。
- カレー
インドやスリランカ、インドネシアのカレーを作る際には、ぜひギーを使って作って下さい。海外のカレーはスパイスをたくさん使用することもあり、もともと消化を促してはくれますが、ギーを使うことで更にアップ。そして甘みもあるので、スパイス+ギー+塩と食材(野菜や豆など)の自然の味だけで充分美味しくなるのも嬉しいポイント。
- 食パン
パン食は乾燥させる性質のため、便秘症の方は控え目にするのがベター。けれどパンは忙しい朝に手っ取り早く食べるため、朝ごパンは日本でも定番のはず。朝ごパンの方でも、消化力をキープするためにバターの代わりにギーをぬるのはおすすめです。
ギーで食卓に彩りを
ギーは、何千年も昔から、今でも南アジアの母たちによってつくられ、インドの儀式(プジャ)などで今でも使われる精神的にも神聖なオイルです。
どの時代、どの宗教でも明日を生き抜く糧として重宝されてきた命を繋ぐ保存食でありエネルギー源でした。アーユルヴェーダでは、薬と同じ類に考えられてきたほど。
料理の仕上がりの美味しさUPとして、健康のためとして、エネルギー源としてて、また自然の循環に従事する人々を支援する手段として…
毎日スプーン1杯のギーを自然と命の恵みに感謝をしながら取り入れてみてはいかがでしょうか。
AUTHOR
桑子麻衣子
1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。
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