20秒触るだけで「股関節の可動域」がみるみる変わる裏技!牛の顔のポーズで脚が組めない原因と攻略法
牛の顔のポーズをやってみたいけど、両膝が前で揃うまで脚を組もうと思うと股関節が張ったり、詰ったりしてちょっと厳しい…という方は多いのでは? 組めない原因は主に殿筋群の柔軟性なのですが、実はある筋肉をゆるめるために、ある場所を指で触れてあげるだけで急に脚が組みやすくなることがあります。その筋肉、そして指で触れる場所とは……!?
脚を組めない原因は?
牛の顔のポーズで脚が組みにくい原因の多くは、大腿骨の前捻角が先天的に大きい前捻股などを除くと、大殿筋、中殿筋、梨状筋など股関節外側から後方の筋群などの軟部組織の柔軟性の低下や短縮が原因といわれています。
基本的には関節の柔軟性を上げたり、筋を長くしていくには地道にヨガやストレッチで引き伸ばしていくことを続けていくしかありません。しかし、ある筋肉の緊張をゆるめると劇的に脚が組みやすくなることがあります。
その筋肉とは「大腿筋膜張筋」です。大腿筋膜張筋は鼠径部の一番外、腰骨の出っ張り(上前腸骨棘)のさらに外側で触ることができます。
大腿筋膜張筋が過緊張していると、脚が組みにくいだけでなく、股関節周辺や膝外側の痛み(ランナー膝)、O脚、X脚などの変形につながったり、外ももが張り出したバランスの悪い体型の原因になります。
大腿筋膜張筋をほぐす必殺技‼
この過緊張している大腿筋膜張筋をほぐすためにストレッチしたりフォームローラーでゴリゴリとやってもらってもいいのですが、今回はツボに指で触れて大腿筋膜張筋をゆるめるテクニックをお伝えします。
テクニックといっても何も難しいことはありませんし、フォームローラーのように痛みもありません。ある場所を、ただ指で20秒ほど触れているだけです。その場所とは、足の薬指と小指の間から足の甲の方に上がっていった「第4・第5中足骨間」です。
大腿筋膜張筋や「腸脛靭帯」という骨盤から膝の下まで続く靭帯が過緊張している人は、この場所が硬くなったり分厚くなっていて、押すと痛みを感じることもあります。
第4・第5中足骨間には東洋医学で「少陽胆経」と呼ばれる「経絡」が流れています。
経絡とはツボとツボをつなぐ通り道のようなもので、少陽胆経はそこからすねの外、太ももの外、脇から首の横、側頭部から目の外につながっていきます。大腿筋膜張筋や腸脛靭帯もこの経絡上にあります。
解剖学的にもほぼ同じ流れで筋肉と筋肉が連結していて、このような連結をトム・マイヤー氏はアナトミートレインと名付けました。
筋肉は骨に付着しているだけでなく、隣り合う筋肉の膜にもつながっていて、一部の筋に緊張が生まれると、その緊張が次々に伝わっていきます。逆に緊張した一部を緩めると、連結した筋すべてが緩んできます。
大腿筋膜張筋はラテラルラインというアナトミートレイン上にあります。ラテラルラインは腓骨筋群、腸脛靭帯から大腿筋膜張筋、大殿筋、外腹斜筋、肋間筋、頭板状筋、胸鎖乳突筋へと連なっていきます。今回はこの原理を使って、遠位から大腿筋膜張筋をゆるめてみましょう。
やり方
①牛の顔のポーズのように両膝を前でそろえて脚を組んでみてください。
②左右脚を入れ替えて比べてみて、組みにくさや膝がどこまでそろっているか、左右の坐骨(おしりの骨)がどのように床についているかを覚えておきましょう。
③両方の大腿筋膜張筋を親指でグッと押してみましょう。
左右どちらか、もしくは両方の大腿筋膜張筋が、硬くなっていたり、痛みを感じたりしませんか?
④第4・第5中足骨間を、足先の方から足首の方に向かって順番に指で押してみてください。
大腿筋膜張筋が過緊張している側(両方緊張している場合は両足)に痛い場所や固まってグミのようになっている場所があるはずです。
⑤固くなっている場所に指で軽く触れます。
強さは指の重さ程度で、触れている指の爪の色が変わらないようにしてください。
反応の早い人だと10秒ほど、遅い人でも2分ほどで硬さや押さえた時の痛みが和らいできます。
⑥もう一度大腿筋膜張筋を指で押してみてください。
⑦牛の顔のポーズのように脚を組んでみましょう。
大腿筋膜張筋の固さが取れたり、脚が組みやすくなって膝を前で揃えられるようになっていませんか?
今回は過緊張している大腿筋膜張筋を緩める方法をお伝えしましたが、大腿筋膜張筋は他の股関節周辺の筋肉がサボっているときに、その筋肉の分も一生懸命働いてしまう健気な筋肉です。
そのために過緊張状態になってしまうことが多いので、原因からアプローチするにはサボっている筋肉を呼び覚ますことが重要です。
AUTHOR
杉山匡人
高校時代の度重なるケガをきっかけに、ケガをしない体を作る方法を学ぶため早稲田大学に入学。卒業後、フィットネスクラブインストラクター、接骨院スタッフ、プロ野球選手のパーソナルトレーナーなどを経験する。 より多くの人を体の悩みから解放するために後進を育てることを決意し、専門学校のアスレティックトレーナーコース長として9年間勤務。解剖学、アスレティックリハビリテーション、ボディワークなどの講義を行う傍ら、あらゆる種目のスポーツ現場でアスレティックトレーナーとして活躍する。 現在、のべ2,500名以上のインストラクターを養成している日本最大級のピラティス団体「PHIピラティスジャパン」「YOGA MOVE」の本部スタジオ「EXECUTIVE7」において日本代表プロ野球選手、元スペイン代表Jリーガーなどのトップアスリートから、モデル、高齢者まで動作指導をする一方で、ピラティス・ヨガインストラクター養成講師をつとめ、多数のトレーナー養成専門学校において非常勤講師として活動。 資格:PHIピラティスマスタートレーナー、YOGA MOVEマスタートレーナー、鍼灸師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、日本赤十字社救急法救急員、栄養コンシェルジュ二つ星 他 講師歴:履正社医療スポーツ専門学校、三幸学園リゾート&スポーツ専門学校、東洋医療専門学校、YMCメディカルトレーナーズスクール 他 メディア:関西電力発行マガジン『withはぴe』「毎日続ける からだメンテナンス」連載 他
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