【筋肉の豆知識】理学療法士が解説「人体で最もいらない筋肉って?」不要な筋肉の役割と活用法
体の中で、最も不要といわれている筋肉は何だと思いますか? 私たちの体は約600個の筋肉から成り立っています。不要な筋肉とその理由、活用法を理学療法士の堀川ゆきさんに教えていただきました。
必要な筋肉と不要な筋肉
前回は人体で最も必要な筋肉はどれかについてお話しました。
筋肉は大小さまざまな大きさのものが全身に約600個存在します。そのうち最も重要な筋肉をたった1つ選ぶということは、実はとても難題でした。その中でも厳選して重要な筋肉をこちらにいくつか紹介させていただきました。
『理学療法士が考える【人体で最も大切な筋肉】第1位は? ヨガで大切な筋肉を鍛えよう!』
今回は、前回とは逆に人体で最も不要な筋肉とはどれかについてお答えしようと思います。
筋肉はいくつある?
おさらいですが、全身に600個ある筋肉のうち、自分の意思で動かせる筋肉を随意筋といいます。私達が通常身体を動かす際に働く「骨格筋」がそれにあたります。骨格筋は約400個存在します。私達が筋肉と聞いてまずイメージする筋肉がこちらだと思います。
一方で、心臓や内臓や血管の筋肉など、自分の意思で動かせない筋肉を不随意筋といい、不随意筋は約200個存在します。心臓の筋肉は「心筋」、内臓や血管の筋肉は「平滑筋」といいます。
ですので、随意筋だけでなく不随意筋を含めると、合わせて600個以上の筋肉で私達一人一人の身体は成り立っているということになります。
人体で最も不要な筋肉とは?
それはズバリ「長掌筋(ちょうしょうきん)」です。私達の腕の肘から手首にかけてある長細い筋肉です。
親指の腹と小指の腹をくっつけて、手首を軽く曲げてみてください。手首の辺りに目立った腱が見えると思います。それが長掌筋で、肘の近くで筋肉になり、肘の内側の骨までつながっています。
長掌筋は、手首を曲げる動きが主な働きです。手首を曲げるはたらきを持つ筋肉は、
・橈側手根屈筋
・長掌筋
・尺側手根屈筋
の3つがあります。
長掌筋がない?
親指と小指をくっつけて手首を曲げても腱が浮き出て来ず、「あれ?長掌筋がない?」と思った人がいるかもしれません。心配いりません。長掌筋が生まれつきない人もいます。進化型タイプといわれたりもするようですが、その人数は文献にもよりますが、全体の4%とも5%とも14%ともいわれています。日本人より白人の方が多いそうです。
先述した通り、手首を曲げる筋肉は長掌筋以外にもあり、長掌筋の有無で握力や腕力の差はないことも分かっているので、長掌筋が欠損していたとしても全く問題はないそうです。
AUTHOR
堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。
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