【手首・手関節の解剖学】「手首」の硬すぎ・柔らかすぎを改善する簡単ワーク
ヨガに役立つ解剖学の知識を中村先生が伝授する連載。テーマは「関節」。動きの支点となる関節の構造と使い方をマスターして、体の伸び、ポーズの安定性を実感しましょう。
手首の硬さ・柔らかすぎを改善して手で支えるポーズを安全に
プランクやチャトランガダンダーサナが苦手、やるたびに手首が痛くなってしまうという人は、一度手首の柔軟性をチェックしてみましょう。手で体重を支えるこれらのポーズは、体幹の強さだけでなく、手首の柔軟性と筋力が大きく影響します。実際にアームバランスで手に体重をのせたときは、手首が90度まで曲がります。手首が硬いと、ここまで曲げられないので、体がはじかれて支えられず、無理に行うと手首を痛めます。
一方、手首が柔らかすぎる人は、可動域に対して筋力が伴っていないことがあり、それがグラグラする原因です。手首が硬い人は、手から前腕にかけての筋肉のほぐしを、柔らかすぎる人は、握力を鍛えることで改善します。
また、手と腕が外にくの字に曲がらないことも大切。安全な手の置き方を覚えて。
手首の関節【手関節】
腕の骨と手の骨の間で、いわゆる「手首」とよばれるところ。床に手のひらをつけたとき曲がる部分。
関節に接している手の骨は、手根骨という8個の骨の集合体。小さな骨に分かれていることで、さまざまな方向に手を動かすことができる。
手首の柔軟性をチェック
両手を合わせたときの手首と肘の位置をチェック。
【正常】上からお腹にあてた位置で見たり、正面から見て確認。肘より手首が少し下がるのが正常可動域。
【硬い】肘より手首が下がらない人は手首が硬い。
【柔らかすぎる】手首がだいぶ下がる人は柔らかすぎる。
柔らかすぎる人のワーク
爪先が白くなるくらい指に力を入れてダウンドッグをすることで握力が強化できる。カップハンズだとより強度がアップ。ただし、指が反る人は指立ちしないこと。
POINT:このように爪先が白くなるくらいしっかりマットをとらえる。
硬い人のワーク
腿の上に手のひらを返し、前腕の筋肉をもみほぐす。手首の反る角度は柔軟性に合わせて。PC作業が多い人は、硬くなっているのでよくほぐして。
手首を痛めない手の置き方
手をつくときは人差し指をセンターにし、真っすぐ腕がくるようにする。脇が締まり手首に負担がかからない。
人差し指を真ん中にして手をつき、肘を伸ばす。小指側に重心が逃げる(尺屈)と、肘が開いてしまうだけでなく、手関節の小指側にある軟骨(TFCC)を痛めるので注意を。
【OK】
【NG】
チャトランガダンダーサナが深まる!
手でしっかり床を押して脇をしめたまま肘を曲げる。手首に正しく体重がのることで負担なくポーズが保てる。
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。UTLにて長年ヨガの解剖学の講師を担当。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。「TAKT EIGHT」主宰。
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