孤独が生み出す【セルフ・ネグレクト】その兆候とリスクは?私たちができる対処法|臨床心理士が解説
これまでは高齢者に多いとされてきた、【セルフ・ネグレクト】。生活環境や栄養状態が悪化しているのにも関わらず、それをなんとかしようという気持ちが薄れてしまう、生きるための基本的な行為を放棄するような状態のことです。それが今、若者たちにも増えてきていると言います。セルフ・ネグレクトに陥らないためにできることを、臨床心理士の視点から解説します。
なぜセルフ・ネグレクトに?
セルフ・ネグレクトは、認知症などによる判断機能の低下によって、高齢者が陥りやすいものとされてきていました。ところが、それが若者にも広がりつつあります。セルフ・ネグレクトは、失恋、浮気、離婚、裏切りなどによって人との繋がりが絶たれ、強い孤独を感じる時に起こりやすいと言われています。そういった意味では、このコロナ禍という環境も要注意です。コロナの感染リスクを避けるために、人との接触や外出の機会が制限され、生活する上で必要最低限のことしかしなくなったという人も多いのではないでしょうか。女性の場合は、化粧などの身だしなみを気にする機会がなくなるといったことから、どんどん自分へのケアが疎かになっていく、社会人の方であれば、仕事が減ったことによって収入が減る、あるいは仕事が見つからないことで長い間社会と断絶されるという強いストレスから、セルフ・ネグレクトになるケースが多いです。セルフ・ネグレクトの状態が続くと、住環境の乱れ、健康状態の悪化や生きる希望を見失い、最悪の場合は自殺を選ぶといったリスクも高まってしまいます。
セルフ・ネグレクト、こんな人は要注意
様々な出来事がきっかけで起こりますが、程度は人によっても異なります。特に、偏った思考や極端な思考、あることに執着しやすいタイプ、ネガティブな感情との付き合い方が分からない人は、セルフ・ネグレクトの状態を悪化させやすいと言われています。また、日常的に人とのつながる機会が少ない人も要注意です。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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