親の方がまいってしまいがちな子供のイヤイヤ期、どう対処すべき?臨床心理士が考える6つのポイント
「子供の癇癪にどう対応していいか分からない」「外で癇癪を起こされると周囲の目が気になる」など、癇癪に悩んでいませんか?「他の子はもっと手がかからないように見える」「いつまでこの状態が続くのだろう」などと心配していませんか?今回はイヤイヤ期の癇癪の対応についてご紹介します。
「イヤイヤ期」はだいたい2〜3歳頃に訪れますが、個人差が大きいものです。もっと早く始まる子もいれば、長く続く子もいます。この時期は、まだ脳の理性的な部分が発達している途中のため、不快な感覚に引っ張られたり、欲求不満になったり癇癪が起こりやすいのです。言葉も発達途中なため、上手に気持ちを伝えられず、泣いたり身体全身を使ったりして表現します。「子供の主張を大切にしたい」「自主性を育てたい」と思っても、子供の要求にどこまで従うかは難しいものです。「わがままな子になるのでは?」と心配している方もいらっしゃるでしょう。今回は対応のポイントを紹介していきます。
気持ちと行動は分ける
まずは、子供の気持ちと行動は分けて考え、気持ちを共感します。子供は親から共感され分かってもらることで安心を感じます。癇癪を起こしている時は、不快な感情でいっぱいです。安心感は不快な感情を抱える力の基礎となるためとても大切です。子供の気持ちを認めることと、相手の要求に従うことは別のことです。譲る行動と譲らない行動を明確にし、「ご飯を食べる」「お風呂に入る」など健康を維持するためにやるべき行動は促しましょう。
ネガティブな気持ちも認める
子供のネガティブな気持ちを否定したり、見ないようにしたりしていませんか?ネガティブな気持ちは共感されると早く落ち着きます。これは大人も同じです。仕事に行きたくないと愚痴を言った時、「行かないとダメでしょ」「辞めたらどうやって生活していくの?」と言われたら、仕事に行こうという意欲にはつながらないでしょう。そこで「行きたくないよね。一緒にサボりたいよ」と実際にサボらなくても、気持ちに共感してもらうと楽になったり、「しょうがないから行こう」という気力につながるのではないでしょうか。
もし共感せずに、別のもので気を逸らそうとすると、「分かってもらえていないから、もっと伝えなきゃ」と癇癪が激しくなるかもしれません。子供が嫌な気持ちを口に出さなかったとしても、親が想像して代わりに言葉にしてあげることが大切です。代弁してあげることで、モヤモヤとした不快な状態が豊かな感情に分化して、感情発達が進みます。そして、「不快な感情を言ってもいいんだ」「そういう気持ちがあるのはおかしくないんだ」と安心することができます。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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