後編|発達障がいを描く漫画家ぴーちゃん「『自分を許す』作業を繰り返すことが、鬱抜けのきっかけに」
自身の発達障がい(ADHD)や鬱について、SNSを中心にPOPなイラスト漫画で発信をし、注目を浴びているイラストレーターのぴーちゃん。今年1月には、コミックエッセイ『ぴーちゃんは人間じゃない?ADHDでうつのわたし、働きづらいけどなんとかやってます』 (イースト・プレス)を刊行するなど活躍の幅を広げている。「発達障がい」を抱える生きづらさとどのように向き合っているのか? なぜ自身の発達障がいや鬱についての漫画を描き続けるのか、前編・後編に分けてその想いをお伺いしました。
「自分を許す作業」を続けていたら「鬱抜け」していた
ーー前回の記事で、主治医から「発達障がいの二次障害で鬱になっていると言われた」というエピソードを教えていただきましたが、鬱から抜け出したきっかけはどんなことだったのでしょうか。
「きっかけはあんまりないのですが、このままじゃいけないと思って、自分の自信に繋がるような事を色々やりました。その積み重ねでいつのまにか鬱抜けしてたという感覚があります。高い目標をドンと置くのではなく、本当に小さい所から、例えば昼間にコンビニに行けるようにするとか、「出来て当然」とされるところからクリアしていくことをどんどん積み重ねていきました。そのうちに、あれもこれもできるようになったという自信につながり、気づいたらずっと元気だなという感じになったと思います。」
ーー小さな目標を積み重ねていくという方法は、お医者さんからアドバイスもらったものなのでしょうか?
「自分でトライし始めたことです。人に言われてやってみようと思ったことはあまりないです。鬱抜けのために何かをやろうと思った時に、ギアになるものがなくて、エンジンが壊れてかからないような感じだったから、まずその状態を理解して受け入れることが大事だと思いました。「何かを稼働するのにすごく時間がかかるし、やる気もそんなにない」という今の自分を認識して、そういう状況下なら出来なくても当たり前と捉えてるようにしました。行動して「失敗しても自分に言い訳ができる」というやり方が自分に合っていたと思います。感覚的には少しずつ自分を許していく作業をやっていたら、鬱抜けしていたという感じです。」
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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