【知って得する解剖学】膝を痛める原因は? 膝の負担を軽減「膝裏を柔らかくする」エクササイズ
ヨガに役立つ解剖学の知識を中村先生が伝授する連載。テーマは「関節」。動きの支点となる関節の構造と使い方をマスターして、体の伸び、ポーズの安定性を実感しましょう。
膝を痛めないためには、お皿を圧迫しないアライメントと膝裏の柔軟性が大切
ウトゥカターサナで「膝をつま先より前に出さないように」と指導されることがあると思います。なぜだか知っていますか?ウトゥカターサナは、お尻と太腿で体を支えるポーズですが、膝がつま先より前に出るとお尻が働かず、太腿だけで支えることになります(下のNG写真)。空気椅子のようなこの姿勢は、大腿四頭筋とつながっている膝のお皿を圧迫し、内側の軟骨を傷つける原因になります。なかでも注意したいのは、膝裏が硬くて伸びない人。アーサナ中に限らず、普段でもお皿が圧迫されている可能性があるからです。膝を守るためには、ウトゥカターサナではお尻を後ろに引いて、上半身を前傾させましょう。これで膝がつま先より前に出ることが防げます。さらに、膝裏の柔軟性を十分に保っておくことも重要です。
膝の関節【膝関節】
太腿と下腿の間にあり、脚の曲げ伸ばしをするところ。基本的には屈曲と伸展しかできず、ねじれには弱い。
太腿と脛骨、膝蓋骨(お皿)からなる。膝蓋骨は大腿四頭筋の腱の中にあり、大腿四頭筋に過度な負荷がかかると圧迫されて壊れやすくなる。
膝裏の柔軟性を確認してみよう!
脚を伸ばして座り、足首を曲げる。膝と床の間のすき間をつぶすように膝を伸ばす。すき間に手を入れて、押す感覚があるかチェックしてもOK。膝裏をつけられなかった場合は下のエクササイズで柔らかくしよう。
膝裏をつけられる=柔らかい
膝裏をつけられない=硬い
手で確認
膝裏を柔らかくするエクササイズ
楽な姿勢で座り、丸めたバスタオルを膝裏に置く。タオルを押しつぶすように片膝を伸ばし、10秒保つ。反対の脚も。
ウトゥカターサナが深まる!
足指を床から上げてお尻を後ろに引く。こうすると膝がつま先より前に出にくくなり、足のアーチも保てる。
膝に負担なし!
足指を床に下ろして腕を上げる。お尻と太腿で体重を支えているので、膝に負担がかからない。
NG:膝に負担がかかる
膝がつま先より前に出ていると、太腿と膝に負担がかかる。足のアーチもつぶれてポーズが安定しない。
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。UTLにて長年ヨガの解剖学の講師を担当。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。「TAKT EIGHT」主宰。
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