「ミートフリー・マンデー」は何曜日にやってもいい|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 「ミートフリー・マンデー」は何曜日にやってもいい|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-07-08
広告

アメリカで長らくお医者さんをやっていらっしゃる日本人の新谷弘実先生が著書『病気にならない生き方』(2005/サンマーク文庫)で興味深いことを書いていらっしゃいました。要約すると「無限に成長しつづける生命体というのはない。肉を食べると、確かに成長が速くなる。しかし成長とはある時点で”老化”に変わるものである。つまり成長を早めるということは、老化を早めるということである」といったことです。なるほど、と思いました。最近の子供たちの成長が早いのも肉食がここまで普及したことが原因だと考えられると先生はおっしゃっていますが、本来その動物がもつ自然の成長リズムに反した早すぎる成長というのは、時として「害」にもなり得るということかもしれません。

またお肉を日頃から食べていると、「成長」どころか「整腸」してくれません。腸は、生き物の肝心かなめの臓器ですね。肉食ばかりしていると腸の壁が固く分厚くなり、本来ならば腸の中をスルスル進むはずの便がうまく通れません。つまり「宿便」とよく言いますが、本来毒素として体外へ排出したいものがやむなく腸の壁にへばりついてしまい、腸内に留まってしまう。これがやがてポリープ、がんへと、皮肉にも「成長」してしまうんですね。「腐る」という漢字がありますが、これは胃や腸などの消化器系を示す「府(はらわたへん)」の中に「肉」がとどまっている状態を表しています。つまり、そういうことなんですね。漢字の不思議です。

気候変動からずいぶんと話が広がりましたが、地球環境のためだけではなく私たち人間ひとりひとりの体内環境のためにも、週にいちど意識的にお肉フリーな日を作るのはオススメできそうな習慣です。「ミートフリー・マンデー」と言っていますが、月曜日ではなくてもいいんです。お仕事やお休みのスケジュールに合わせて、肩の力を抜いてリラックスして取り組める日を一人ひとりが一日ずつ選べばいい。そしたら世界中どこかで「ミートフリー・エブリデイ」です。

1977年、異常なまでに膨れ上がったアメリカの医療費問題を解決するために発表された食と健康に関する有名な「マクガバン・レポート」があります。このレポートでは、多くの病気の原因が肉食をベースとしたハイカロリーの間違った食生活にあったと結論づけ、もっとも理想的な食事というものを導き出しました。それは未精白の穀類、季節の野菜や海藻、小魚を少々といった滋養あふれるメニューからなる「元禄時代以前の日本の食事」でした。これをきっかけに日本食が健康食として世界中で注目されるようになったという、重要なレポートだったのです。

せっかくその食文化が脈々と受け継がれてきた日本という地に生まれついたのですから、大切にしない手はありません。お肉を無理に食べなくてもいい自然な体と心、そして地球環境を、大切に未来へ残していきたいものです。私たちの体にとって良いことは地球にとっても良いことであり、その逆もまたしかり。なぜなら、万物は本来別々のものではなくひとつのまとまった存在だからです。自分の体を大切にすることが、地球を大切にすることにいつも繋がっているーーーーだからこそまず一人一人が自分をちゃんと大切にすることが、広い意味で持続可能な未来のために最も大切なことです。この「人身小天地(じんしんしょうてんち)」という素晴らしい考え方に、今こそ導かれてみませんか。

広告
  • 2
  • /
  • 2

AUTHOR

関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



RELATED関連記事