体調不良の原因は、食べ過ぎにある?「食べない」という食養生|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 体調不良の原因は、食べ過ぎにある?「食べない」という食養生|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-05-06

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、こんにちは。暦の上では「立夏」。夏を迎えています。春は植物たちがすくすくと芽を出し伸びやかに成長していきましたが、この時期になると今度は動物たちも徐々に活動を開始します。二十四節気では「蛙始鳴(かえるはじめてなく)」や「蚯蚓出(みみずいずる)などがあります。眩しい日差しを受けて地面を闊歩し、今ここのいのちを輝かせていく愛らしい生き物たちの様子が鮮やかに浮かびますね。また「竹箏生(たけのこしょうず)」というのもありますから、竹が美しい時期でもあります。風にゆれる竹林の静粛で青々としたエネルギーは、新年度のせかせか、そわそわした状態から疲れの溜まりやすい私たちをふと立ち止まらせ、癒してくれます。

さて、ここ最近は雷が轟いたり、風が荒れていたり。盛夏のようなお天気雨が続いたりと、なんだか妙な気候でした。静岡県のほうでは竜巻と思しき大きな突風が吹いたようですが、辺りの家々や美しいお茶畑が無残な姿になってしまった映像を見て気候変動の影響ではないのかと胸が締め付けられました。

くるくる変わりがちな空模様と呼応するようにして、私たち人間の体調も不安定になりがちかもしれません。人間は大昔から季節や天候と共にあったと言っても言い過ぎではありません。住む場所によっても大きく変わってくる、この季節と天候。衣食住といいますが、それぞれの場所で、巡りゆく季節や天候に沿った衣服、住居、食事をベースとして健康を作ってゆく暮らしを私たちの祖先は営んできました。

暑いときは熱を逃しやすい身軽な服を着る、寒いときは肌を風から守るために何枚も着込んだり、動物の皮を羽織ったり。暑い土地の人は風通しの良い家や木陰のそばに住んだり、寒い地域の人は家を幾重にも頑丈にしたり。食事もそういった暮らしの知恵のひとつとして、日々の体調管理に私たちも大いに役立てていけるものなのです。

体調不良の原因は、食べ過ぎにある

「食事で体調管理」というと、では何を食べるべきで、何を辞めるべきか?まずそういったことが思い浮かぶのではないかと思います。世間に溢れる食品の広告などを見ても、大抵こういったことがオススメ情報として大量に流れています。もちろん「何を食べる」はとても大切なことですが、「どう食べる」も大切にされるべきではないだろうか?と常日頃思います。いつ誰と食べるのか、どのくらい食べるのか、どのような態度、環境で食べるのか…などですが、見落とされがちな点がひとつあります。つまり、食べないという選択もありますよ、ということです。

体調が思わしくないとき、きつくても少々無理して体に良いものを食べようとしませんか?もちろんそれで体力がついたり、気持ちが安定したりすることがあると思います。経験上そう判断できる場合は食べた方がいいこともありますが、私たち現代人は総じてグルメだの美食だので慢性的な食べ過ぎの傾向にありますから(特に東京に暮らしているといつでもアクセス可能な豊富な食のバラエティに時々目がくらくらします)、体調が不安定なときは体を休めてあげるために無理して食べる必要はないと、私は思うことがあります。逆を言えば、普段から適量以上のものを食べ続けているから慢性的な体調不良に陥りやすい、ということではないでしょうか。

これまで自分なりのペースでゆるく食養生を実践してきましたが、最適解なんていうものはいくらやっても分かりません。それは長い生涯をかけて自分で発見していくことができればよく、焦っても何も得られません。人は皆それぞれ違うのですから、あくまで情報は参考程度なんです。

ただひとつだけ言えるかな…と思うのは「腹八分で少食にしていると、毎日体調も心持ちも安定する」ということ。そして、ストレスが溜まると過食気味になってしまうこと。何かが思うようにいかない、噛み合っていない。そういったストレスから食べすぎてしまったな…というときは必ずといって次の朝の体調が思わしくないのです。これは若さ溢れる二十代頃までは全く感じませんでしたが(笑)、三十代に足を突っ込んだや否や猛烈に感じるようになったことです。思ったより早かったな…という所感はさておき、気づいたら対処していけば良いですね。

何を薬とするか。それは人それぞれです。逆に言えば、その人が薬と思えばそれは薬です。プラシーボ効果なんていうのもありますから、私たちは理屈が介在できない神秘的な余白を常に持っている生き物です。年代も、仕事や運動量も、暮らし方も違う私たちは、もっとおのおのが個性を見つめ、その個性を大切にする暮らしをしなくてはいけません。それは人間だけでなく、私たちが生きる地球という環境のためにもなります。個といいますが、それは独立して存在している個ではなく、あくまで連綿とした果てしない繋がりの中で生かされている個なのですから。

世の中に溢れる情報の海を彷徨うのではなく、自分自身を見つめて、何が必要か?と日々問いかけること。その中に、無理やり食べる必要はない、ということも含まれています。それぞれの余白を大切にしてあげましょう。

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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