物価高とゴミ問題…美しい島ハワイの"負"に向き合うRe-use Hawai'iの取り組みとは

 物価高とゴミ問題…美しい島ハワイの"負"に向き合うRe-use Hawai'iの取り組みとは
寺岡早織
寺岡早織
2021-06-03

ハワイは全米でもトップクラスに入る物価高の州。その大きな理由は資源を他の州や国からの輸送に頼っているため。その資源がもしハワイの中で再利用できたら、ゴミ問題も資源の価格高騰の問題も両方が改善できます。そのミッションに向けて立ち上がった非営利団体Re-use Hawai'iの取り組みをご紹介します。

広告

ハワイは地球上の多くの人が憧れる美しい島ではありますが、資源不足や物価の高騰という問題を抱えています。ハワイ州は太平洋のど真ん中にあり州内では必要な物資が調達できないため、たくさんの物資を米国本土や他の国からの輸送に頼っています。そのため輸送費が上乗せされてしまい、その結果モノの値段が跳ね上がります。ハワイは全米でNY、サンフランシスコに次ぐ物価の高い街として知られています。

それに加えてハワイはゴミ問題も同時に抱えています。必要な資源が他の土地から送られてきて使用され、不要になったら廃棄される現状。もしこれらの資源がうまく再利用ができたなら、物価高騰とゴミ問題の二つの問題を同時に解決させることができます。

コミュニティのゴミ問題に取り組む Re-use Hawai'i

Re-use Hawai'iは2006年にオアフ島の廃棄物問題の解決のために創設された非営利団体。オアフ島から出る廃棄物の実に3分の1が建築物の取り壊し作業から出ていますが、Re-use Hawai'iは廃棄物の量の削減と再利用を促しています。

Re-use Hawai'iの取り組み①:建造物の解体作業

Re-use Hawai'iでは有資格の解体作業員が建造物の解体作業を請け負っています。解体作業は個人の家から商業施設まで多岐にわたります。依頼者から直接Re-use Hawai'iに依頼をすることも可能です。

新しく建築物を建てるときに真新しい材料を使用するとなると、多くのコストとエネルギーがかかります。建材となる材木を植え育てるところから始まり、加工、運搬輸送などにかかるコストやエネルギーが、今ある建材の再利用により大幅に削減することができます。

Re-use Hawai'iの作業員が行う解体作業は、建材を再利用やリサイクルなどで最大限有効活用できるように、通常手作業で行われます。通常は大きな機械を使って細かく砕かれ、廃棄物として埋立地に持っていかれてしまい、再利用は不可能ですが、Re-use Hawai'iの作業員による解体では最大80%の建材を再利用またはリサイクル可能な状態で回収できます。

2006年からRe-use Hawai'iは州内で600以上の解体作業を行なってきました。2017年にローカルの人に惜しまれながら40年の歴史の幕を閉じたワードウェアハウスもRe-use Hawai'iにより解体され35トンの建材が再利用可能な状態で回収されました。建物は無くなってもその建材はどこかでまた再利用され歴史が受け継がれていると思うと嬉しいですね。

 

建材の利用は全ての人にメリットあり!

建築業者、工務店、建築家

解体作業により出る廃棄物を減らし、廃棄コストを削減することができます。

建物所有者

自宅の家具屋建材などを寄付したい場合は、税額控除の対象となります。

コミュニティ

再利用可能な建築材料を安価に購入することができます。

Re-use Hawai'iの取り組み②:再利用品の販売

Re-use Hawaiiの販売所はオアフ等のカカアコとハワイ島のカイルア・コナの2箇所にあります。ここでは解体作業から出た建材、寄付された家具や建築材料、企業の倒産などにより不要になった物などが市価の少なくとも30-70%の価格で販売されています。ここで買い物をすることにより、単にお金の節約になるだけでなく、環境保護やローカルの経済のサポートともなります。

Re-use Hawaii
Re
Re-use Hawaii

広い店内には家具や建材(洗面台やドア、キッチンのキャビネットなど)、食器などが所狭しと置いてあり、それも驚くほどの安価で売られています。DIYが好きなら少し手直ししたらまだまだ使えそうなものばかりです。

Re-use Hawaii

販売所にはドネーションのセクションがあり、ここから個人による寄付もできます。寄付が可能なものは、家電、家具、建築資材、工具、ペンキ、鏡、ガラスなど多岐に渡ります。

Re-use Hawai'iのミッション

資源を輸送に頼らざるを得ない状態では、輸送元地域の自然災害や不況などによって更なる価格高騰が起きた際に、ハワイの経済にも大きな影響を与えかねません。州外の資源に頼ることでハワイの経済力がさらに弱化するリスクがあるのです。自然保護の観点から見ても、古い建材を再利用することで輸送や生産過程で出るコストやエネルギーの節約にもなります。

限りある資源を大切にし、サステナブルな方法で再利用し、コミュニティーに積極的に還元するRe-use Hawai'iの取り組みは他にもウェブサイトからご覧ください。

広告

AUTHOR

寺岡早織

寺岡早織

2003年からヨガを始め、その後ピラティスを始める。2010年BASIピラティスインストラクター資格(マット、マシン)を取得し、ピラティス指導を開始。結婚を機に2013年ハワイに移住し、その後もピラティス指導を続ける。2015年よりハワイでの日本人向けRYT200の解剖学講師を務める。2018年よりヨガ・ピラティスインストラクターに特化したプロフィール写真のカメラマンとしても活動を開始。趣味は絵を描くこと。 Instagram (ピラティスアカウント):@saori_pilates、Instagram(ハワイ写真アカウント):@saori_hi_photography



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

Re-use Hawaii
Re
Re-use Hawaii
Re-use Hawaii
物価高とゴミ問題…美しい島ハワイの"負"に向き合うRe-use Hawai'iの取り組みとは
物価高とゴミ問題…美しい島ハワイの"負"に向き合うRe-use Hawai'iの取り組みとは