【ヨガ療法の先駆者マイケル・リー考案】自己探求を助ける「フェニックス・ライジング・ヨガセラピー」

 【ヨガ療法の先駆者マイケル・リー考案】自己探求を助ける「フェニックス・ライジング・ヨガセラピー」

ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!マイケル・リーがブリア・タヴァコによるインタビューで語った、彼が考案したヨガセラピーについて紹介しよう。

広告

「三角のポーズを数分間保持すれば人生がすっかり変わるよ」。1984年より前にこう言われたとしても、まともに取り合わなかったかもしれない。でも、まさにそのとおりのことが私に起きたのだ。
ある日、友人でもあるヨガ講師のドン・ステープルトンの指導でポーズをしているとき、体が熱くなって強い感情がこみ上げてきた。私は子供の時、校庭で年上の男の子たちに殴られたことがあるのだが、長いこと葬り去っていたその記憶が蘇ってきたのだ。私はその強烈な記憶から目を逸らそうとしたが、ドンが支えてくれたおかげで心を今に留めることができた。

そんなことを経験をした後、心に浮かんだことを書き出すジャーナリングをしてみると、幼少時のあの出来事以来、自分が権力のある人や体が大きい人など自分よりも力があると思った人におびえて避けてきたことに気づいた。それが足かせになっていて、私は自分の能力を発揮できていなかった……。ひとたびそのことが腑に落ちると、自分のなかで何かが変わった。私は指導的な立場にいる人や革新的な人たちとそれまではできなかったような形でつながるようになったのだ。私はしだいに強くなっていき、意識のレベルも高まり、人との関係でもうまく立ち振る舞えるようになっていった。

ヨガでのあの体験の1年後、私はフェニックス・ライジング・ヨガセラピー(PRYT)を立ち上げた。ヨガと深い自己探求を組み合わせることによって私が学んだことを皆さんにもお伝えするためだ。結局のところ、私はこのふたつを組み合わせて自分の世界を変えることができた。ヨガだけでも心理療法だけでもそれほどの結果は出せなかっただろう。
PRYTでは呼吸法、ゆるやかなポーズ、瞑想、誘導されて行う自己探求を組み合わせて用いる。そのなかで、自分の心と感情の本質をつかむために、身体的限界を無理せずに受け入れるのだ。PRYTは心理療法(会話療法)に取って代わるものではなく、自分を深く理解するべく身体的経路をつくり出すセラピーになっている。
私は自分自身の経験を分析し、注意深く実験を行い、ヨガの指導法を用いることを通じて、ポーズと呼吸法で心身を整えて意識を深める方法を考案した。私の生徒たちはPRYTによって、自分の思いや考え、信念、癖が人生にどれほど影響を及ぼしているかよくわかるようになっていくだろう。

方法論

フェニックス・ライジング・ヨガセラピー(PRYT)の1回のセッションは、6つの段階から構成されていて、ヨガの八支則に基づいて進められる。また、仏教原理、心理学、神経科学、トラウマ研究も取り入れられており、自分自身の経験を踏まえて自分にとって何が正しいか決めることに重きが置かれる。PRYTでは、セッションを受ける人の心や精神が常に体に結びついているように、3つのものを用いる。それが呼吸と身体意識と「エッジ」である。境界線、瀬戸際を意味する「エッジ」とは、少し不快な感覚を覚えながら今に留まることを習得することを指す。

PRYTのクラスの6つの段階

(1)呼吸と動き
このウォーミングアップ(3~5分間)では、呼吸音を聞きながら呼吸に合わせて力強い動きを行うことによって、体と呼吸を結びつけ、ポーズと瞑想を始められるように心と体を整える。スクワットのほか、(吸う息で立ち上がり)腕を上げながら体を目覚めさせて(吐く息で膝を曲げて)腕を下げる動きなどを行う。毎回しっかり息を吐いて、肺から空気が出るときに「ハー」という大きな音を出す。

(2)エッジ(境界線、瀬戸際)をうまく使う
PRYTでは、身体的、精神的、感情的に不快な感覚を覚えているときに、心を今に留めることによって心の動きを鈍くするよう働きかける。ポーズで不快感や違和感を覚えている間は、雑念が静まって、体の感覚と今に意識を向けられるようになる。このように地に足がついているときには、自分が自分自身や世界をどう見ているか確認したり、その見方を否定したりできる。さらに、自分の癖がわかり、行動を引き起こしている根本的な原因も突き止めることができる。三角のポーズをしているときに私に起きたこととほぼ同じことをここで再現している。
芽生えたばかりのこの意識を頼りに自分の行動の特徴を探り、行動を変えていくと、自分の内側に変化が生じるだけでなく、社会での生き方や人との関わりも変わってくる。このような変化が生じると、ポーズでは耐えられる程度の不快感を覚えるところまでストレッチが深まるようになる(この状態をエッジと呼ぶ)。また、呼吸に集中してその場に留まってエッジを経験することにより、不快な感覚のなかでも自分を支えられるようになる。PRYTでは、立位の側屈、後屈、ウトゥカターサナ(チェアーポーズ)などのポーズを利用して、エッジという身体的経験を確立し、その可能性を探り、最終的に受け入れられるようにする。
やりすぎでも不十分でもないちょうどよい場所を見つけられると、感じるために必要な集中力を得ることができる。今経験していることに的を絞ることによって、次の段階で自分のなかにしっかりした中心軸をつくることができる。

(3)思考の低下
PRYTの基準では、思考の流れが遅くなって感情が湧かなくなったら、正式に「思考が低下した」と考える。この段階で何らかの考え、感情または感覚が湧いてきたら、それを追いかけたり、それを中心に物語をつくり出したりせずに、ただ観察するよう自分自身に働きかける。PRYTでは、何が湧き上がってきても受け入れて信用し、体と呼吸を通じて今に留まることが求められる。思考の低下に役立つポーズには、ブジャンガーサナ(コブラのポーズ)やナーヴァーサナ(舟のポーズ)のバリエーションなどがある。どれも集中力、開放性、力強さが試されるためだ。

(4)瞑想
この段階はヴィパッサーナ(あるがままに見ること)に着想を得たもので、講師に誘導されながら座った姿勢で呼吸に意識を集中させた瞑想を行う。呼吸に意識を集中させて体を激しく動かした後は、瞑想状態に入りやすくなる。体を動かすと心のおしゃべりを静めることができるためだ。心を静めるエンドルフィンが放出されることも一因である。吸う息と吐く息の間の瞬間に意識を集めて、さらに心を静めることもできる。最後に、ここまで育ててきた意識とともにセッションの終盤に入っていくために、湧き上がってくる感覚と体に意識を集中させる。

(5)内なる声に耳を澄ます
瞑想の終わりに、胸の中心に片手をおいて、体と呼吸のつながりに意識を向ける。そして休みながら、湧いてくる感情やイメージ、考えをしばらく観察する。自分自身を観察することによって、今この瞬間の内なる状態に意識を集中させる。それを終えたら、考えをめぐらす心と向き合う段階へ移る。

(6)行動の本質をつかむ
ここでは、今回のセッションによってマットの外の世界についてわかったことを体に取り込むために認知的技能を用いる。具体的には、今回のセッションで何に気づいたか、気づいたことを用いて日常生活で何を生み出せるか、自問してみる。この6の段階かセッション終了直後にジャーナリングを行うと、一連の経験を処理して、創造性に結びつけるのに役立つ。さらに、セッション終了後には、セッションのなかで湧いてきた感情や認識、ひらめきを記録する。記録する際には、講師は生徒の意識をさらに深めるために、言葉や絵で自由に記録するよう促す。ポーズで頑張りすぎていることに気づいた場合は、その気づきについてジャーナリングを行うと、生活のなかでも同じように無理をする癖があることに気づくかもしれない。PRYTでは、講師が生徒になぜそうなるのか考えさせて、その理由を理解したうえで外の世界に出ることと、そのときに自分を思いやることを指導している。

次のページでPRYTを試してみよう

広告

photos by Christina Lane, Eleanor Williamson
model by Tania Medel
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.74掲載

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部ロゴ

ヨガジャーナル日本版編集部

ヨガジャーナル 日本版編集部



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは
フェニックス・ライジング・ヨガセラピーとは