【医学博士が解説】「お米は太る」はホント?ウソ?「老けない・痩せやすい体質」を作る糖質の摂り方

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【医学博士が解説】「お米は太る」はホント?ウソ?「老けない・痩せやすい体質」を作る糖質の摂り方

「糖質を摂ると太る」と思い込んでお米を食べない人も増えている昨今。しかしお米に含まれる糖質は、生きるためにはなくてはならないエネルギー源。誤解されがちなお米の価値を医学博士の岩崎真宏さんが解説します。

お米は太る?のウソ・ホントを解説

「食べると太りそう」というイメージからお米は悪者にされがちですが、まずは歴史をさかのぼって日本人とお米の関係を見ていきましょう。

「日本では少なくとも弥生時代からお米のもとになる稲を栽培していた記録が残っています。栄養学という科学が存在しない昔から、お米は体にとって必要であることを体感的に認識していたからこそ、日本人は太古からお米を食べ続けてきたわけです。戦前の日本人はエネルギーの60%を糖質から摂っていましたが、その時代の人に肥満体型はあまり見当たりません。戦後、お米の消費量は減っていますが肥満が増えているのは、食の欧米化によって肉、卵、乳製品など動物性の食品に含まれる飽和脂肪酸の摂取量が増加したためです。お米中心の食生活に動物性の脂質が加わったことで肥満が増えたので、お米自体は決して悪者ではなく、食べる頻度や量などバランスを考えて食べることが大切なのです」(岩崎真宏さん)

稲
弥生時代から栽培、食料として大事にされてきたお米/写真AC

お米を食べても太らない「摂取量」と「摂取タイミング」

では太らないお米の食べ方では、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。糖質の『摂取量』がポイントになります。

「糖質(炭水化物)と聞くと「太る」と思いがちですが、糖質いろいろ種類があり、それぞれ特徴が違います。果物に含まれている果糖などのように、これ以上分解できないという小さな単位の単糖。砂糖など二糖は単糖類が2つ結びついたもの。それから単糖類がたくさん結びついたもので多糖があり、お米の主成分でんぷんがこの多糖になります。同じ糖質でも、消化吸収が速く血糖値が急上昇しやすい単糖や二糖に比べると、お米のでんぷん(多糖)はゆっくりと分解消化されて、玄米などでは食物繊維も含むため血糖値の上昇が穏やかなので私たちの身体に負担をかけず、腹持ちもよくて体脂肪にもなりにくいという特徴があります。

でんぷんは消化によってブドウ糖に変化しますが、肝臓の働きのひとつに、ブドウ糖を「グリコーゲン」として変換し一定量貯蔵する仕組みがあります。ストック量には上限があり、個人差がありますが、例えば平均的な体型の女性であれば一食でストックできる糖質の量は約65g、お茶碗一杯分(約150g)の糖質は約55g、食パンは2枚程度(6枚切り/約55g)。このストック量(糖質65g)から溢れてまうとその分が体脂肪になるということなので、食べ方を気を付ければ糖質をゼロにする必要はありません(疾患などがある場合は除きます)」(岩崎真宏さん)

お米
1食あたりお茶碗一杯分のごはんであれば、糖質太りを気にする必要はありません/写真AC

1回の「糖質摂取量」に加え、『糖質を摂るタイミング』にも太らない秘訣があります。

「肝臓にストックした『グリコーゲン(貯蔵にために変換されたブドウ糖)』は少しずつ分解されて減っていきます。どのくらいの時間をかけて減るかというと、ブドウ糖は摂取してすぐにグリコーゲンになるわけではなく、食べてから消化吸収と血液循環をして貯蔵されるまでには2時間ほどかかり、2時間以降から1時間ごとに血糖として10~15gずつ減少します。例えば、朝食で65gの糖質を摂ったら2時間は『グリコーゲン』は減らずにそのまま、食後2時間以降から10~15gずつ減っていくということになりますので、昼食は少なくとも4時間後以降が望ましく、食べる時間帯によって食べる量も考える必要があります。

グリコーゲンは、残量が30~60%になると体脂肪の燃焼が活発になるので、こうした仕組みを理解し、糖質の食べる量とタイミングを調整しながら食べることが、太りにくいばかりか痩せやすい体質を手に入れる鍵になります。また、お米は調理をしても脂質を含むこともなくそのまま食べれるのでカロリーが増えず量を調整しやすいので管理しやすいという点でもダイエット中におすすめです」(岩崎真宏さん)

糖質は怖くない!?糖質について正しく理解しよう

低血糖症状の危険性

「ブドウ糖は、人の活動に必要なエネルギー源として使われます。健康で動ける体を保つには血糖値を90~100mg/dlに維持する必要があるため、摂取したブドウ糖はグリコーゲンに変換されて肝臓に蓄えられ、食後少しずつ分解することで血糖値をコントロールしているのです」(岩崎真宏さん)

しかし無理な糖質制限によってグリコーゲンのストックが減ると、筋量の低下や代謝の低下など不具合も起こります。

「体は肝臓に蓄えたグリコーゲンが底をつく前に、筋肉を分解してたんぱく質(アミノ酸)を肝臓でブドウ糖に変換してエネルギー源として利用します。しかし肝臓グリコーゲンの枯渇が続きたんぱく質の分解が進むと、筋量は減り、歩く、走る、物を持つといった日常動作に支障をきたし、さらに悪化すると咀嚼ができなくなるケースもあります。そうなると今度は体脂肪を分解してケトン体に変換して利用します。

体はこのようにブドウ糖に代わるエネルギー源を総動員し、なんとか血糖値を保とうとしているのです。血糖値の維持は生きるために必須であり、ブドウ糖が欠如すると体が筋肉まで分解してしまう…それほど、生命を維持するために大切な栄養素なのだということを知っておきましょう」(岩崎真宏さん)

インスリンの働き

糖質を摂取し食後に血糖値が上昇すると、それに反応してインスリンというホルモンが膵臓から分泌されます。インスリンにはどのような働きがあるのでしょうか。

「インスリンには、①ブドウ糖を肝臓と筋肉にストックする。②筋肉のエネルギー源になる。③たんぱく質(アミノ酸)が筋肉に取り込まれるのを促進して筋量を増やす。といった役割があります。インスリンが分泌されることで筋肉の働きが維持されるほか、肝臓のグリコーゲンが減少した際に筋肉を分解して血糖値を維持できるのです。インスリンを分泌できるのはブドウ糖だけなので、極端な糖質オフダイエットは、生命を維持する体の機能に支障をきたす可能性があります

極端な糖質制限の生活を続けるとベースのインスリン分泌(基礎分泌)さえ低下して、インスリン基礎分泌による筋力維持効果が失われて筋力が低下、老化も加速し、美しくいるためのダイエットのはずが、痩せているだけで若々しさや健康美とは程遠い状態になってしまいます。またインスリンは血管の柔軟性を保つ働きがあるので、分泌量が減ると血管が硬くなり細胞に栄養素や酸素が行き届きにくくなり、冷え性や肌の乾燥・皺などの原因にもなります」(岩崎真宏さん)

さらにインスリンは、血管新生と言って既存の血管から新たな毛細血管を作り出す力も備えた優れたホルモンでもあるのですが、例えばトレーニング中に糖質制限をしていると、インスリン不足により血管新生が行われず筋肉に栄養が十分に行き渡りません。栄養不足の筋肉は弱く肉離れを起こしやすくなるもの。プロテインだけ摂って糖質をカットしている人は注意が必要です。

TIPS:精製された白米は、食べないほうがよい…はホント?

精製された白米と玄米を比べると、玄米のほうが食物繊維が豊富なので血糖値の上昇もゆるやかになります。ただ、単純に血糖値が上がりやすいから白米は食べてはいけない、玄米を食べたほうがよいということではありません。例えば、便秘中に不溶性食物繊維が豊富な玄米を摂ると、便が詰まっている状態でさらに消化しづらいものを食べることになるので、腸に負担をかけ便秘を悪化させる原因になります。また、玄米を食べると下痢や便秘になる方、胃腸が弱い方、お年寄りなど咀嚼力が弱い方は、白米を食べるほうがよいでしょう。玄米の食感や味を好きになれない方も、美味しくストレスなく食べられる白米を選ぶほうがよいでしょう。もちろんダイエットなど別の目的の場合には白米より玄米の方が相性がいいこともあります。どんな食材も目的や状況に合わせて食品を選ぶことが大切です。

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目的や状況に合わせて食品を選ぶことが大切です/写真AC

お米をはじめとする糖質は、糖の種類、頻度や量などを考えて食べれば太ることはありません。今の体の状態に必要な栄養素を理解し、偏ることのない健康的な食生活を送りましょう。

教えていただいたのは…岩崎真宏さん
医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病気の治療だけでなく健康やスポーツなど多様なライフスタイルの中で栄養の大切さから栄養学の道に進む。医学の視点から生活習慣病のメカニズム研究を行い、病院で管理栄養士として働き、食生活を改善し必要な栄養を摂ると細胞レベルで体が変わることを知り、臨床でも食事を変えると治療薬の効果が上がることを実証する。医学的根拠のある栄養学を伝え、それを実践できる土壌を作ろうと独立。運動指導者、医療スタッフ、保育士、介護士、アスリートなどを対象にヘルスケア人材の育成と雇用創出、コンテンツ開発を行う教育事業を開始し、病気になってからではなく、健康なうちから使いこなせる栄養学を発信している。2017年には一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。「活用すること」に特化した栄養の知識を習得する栄養コンシェルジュ資格の発行と、資格取得後の活動の場を提供。ライフスタイルに合った食生活の提案に留まらず、環境問題、農業の活性化、地域活性化などさまざまな社会的課題に取り組んでいる。

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text by Ai Kitabayashi

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