Netflixヒット作『アイ・アム・マリス』主人公「摂食障害、鬱から私を救ったヨガを伝えたい」

 Netflixヒット作『アイ・アム・マリス』主人公「摂食障害、鬱から私を救ったヨガを伝えたい」
Maris Degener
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ヨガという「癒しの旅」の始まり

入院して拒食症から回復するまでの第一段階では、十分にカロリーを摂取したり、健康的な体重に戻すといった体の回復に重きが置かれた。ヨガに出会った時には、すでに健康面での不安定な状態は脱していた。それでも、初めてのヨガクラスはものすごくきつかった。

多くの点で、ヨガは新たな出発のように思えた。いろいろ乗り越えた後はなおさらだ。私は週にいくつものクラスを受けながら献身的に練習を積み、数カ月後にはスタジオのフロントで働き始めた。ある日ジェニーが、スタジオでヨガティーチャートレーニングを企画しているので、奨学金を出すから参加しないか、と勧めてきた。私はヨガの実践と先生たちを心から敬っていたけれど、その時はさすがにジェニーはクレイジーだと思った。自分の年齢でヨガを教えるなんてありえないと思ったからだ。ジェニーは、トレーニングではティーチング法に加えて、ヨガ哲学とそれを日常生活でも実践する方法を学ぶスタディーグループのような形にするつもりだと説明してくれた。今なら、ジェニーがトレーニングへの参加を勧めてきた理由が理解できる。彼女は、マットの上での75分間の練習以外に、普段の生活でも私がヨガを実践できるように手助けしたかったのだ。

ティーチャートレーニング中に私が初めてクラスを教えた後、ジェニーはあんなにうれしそうな私を今まで見たことがないと言った。私の中で何かが変わった。私が本当にやりたいのは、与えられたものを伝えることだとその時気づいた。

トレーニングの指導者たちは、ヨガティーチャーの仕事とは自分が得た学びを伝えることだと何度も言っていた。つまり最高の教師は最高の生徒でもある。私は実践を伝える導管になろうと思った。指導者たちからそのような謙虚さを教わったおかげで、自分の真の声が聞こえるようになった。私の癒しの旅に最も影響を与えてくれた指導者たちには、共通している点がある。彼らは私に弱さを隠さないのだ。同じ人間として、いつも私と同じ立場で「ああ、私にもその経験がある」と言ってくれる。私の自由を尊重しながら、決して私を「直そう」としない。そして、自分に正直で、美しくて、彼らを見習いたいと思わせてくれる。

映画になった私の「癒しの旅」

私の拒食症との闘いを知る地元の映画製作者から、摂食障害についてのドキュメンタリーをつくるので出演してほしいと頼まれた時、私は断ろうと思った。摂食障害を扱った映画を数多く観てきたが、いつも失望していたし、無駄に心が乱れたからだ。たいていのドキュメンタリーでは細い体が美化されている。完全に治る希望はないと思わせる作品もあった。さらに悪いことに、多くの作品が私の病気を悪化させるきっかけになった(あの女性はXカロリーしか摂っていないの? じゃあ私ももっと食べる量を減らさなきゃ、という具合に)。
私はそれらすべてを映画製作者に話した。彼女は私の話にじっくりと耳を傾けた後、これまでとは違うドキュメンタリーをつくると約束した。私は自分の体重や食事について話したり、病気の時の写真を見せるのは嫌だと伝えた。癒しのきっかけになったヨガとの出会いに重きを置きながら、もっと深い部分を捉えてほしいと思ったのだ。私のヨガティーチャーたちが見せてくれる弱さと、それによっていっそう輝く強さについて思いを巡らせた。彼らがいつもそうであるように、私もありのままの自分を見せたい。だから『アイ・アム・マリス (I AmMaris) 』では、自分の癒しの旅について話した。でも映画で私たちが本当に伝えたかったのは、観る人もそれぞれ自分のための癒しを見つけてほしい、というメッセージだ。
映画を観てくれた人々の感想によると、彼らがいちばん共感したのは、弱さが持つ力だという。私は人が初めて弱さを見せてくれたときに、最も親しみを感じる。だからドキュメンタリーでは、私がその役目を果たした。他の人たちが心を開けるように、まず自分が弱さを見せたのだ。たったひとりでも自分の話を打ち明ける気になったり、自分の経験を振り返る人がいたなら、私は最高にうれしい。だってその人の人生の旅が、あるいは、その人の存在が、また誰かにとって大きな意味を持つかもしれないから。

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by Meghan Rabbitt
photos&styling by Ashley Turner
photos by Lisa Vortman
hair&make-up by Rachelle Blanco & Sonia Reshetnikova
translation by Sachiko Matsunami



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