人の言葉を受け入れすぎて心が傷ついていませんか?「スルースキル」のすすめ

 人の言葉を受け入れすぎて心が傷ついていませんか?「スルースキル」のすすめ
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相手が何気なく言った言葉が、グサッと心に刺さって抜けない…。ずっとモヤモヤしてしまう…。そんな経験はありませんか?相手の言葉に必要以上に左右されず穏やかな心でいられるヒントが、実はヨガの中に秘められていました。

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「スルースキル」とは?

言葉は私たち人間にとって大切なコミュニケーションツールです。自分の気持ちや考えを相手に伝えることができる便利なものですが、使い方によっては相手の心を傷つけてしまう可能性もあります。だからこそ相手の気持ちや立場を考えて言葉をチョイスしていくことが必要となってきますが、言葉を受け止める側にもコツがあります。それが『スルースキル=受け流し力』です。「傷つくのが嫌だから、人に言われた言葉を全て流してしまおう!」…という訳ではないのです。言葉を一度受け止めたら、その言葉を受け入れることも受け流すこともできるしなやかな強さ、“心の柔軟性”がポイントです。もしスルースキルが作動しないと、トゲのある言葉も全て飲み込んでしまい、心にグサッと刺さってしまうことも…。

実はこの『スルースキル』、現代に生まれたもの?と思いきや、ヨガの考え方についてまとめられた書物の中にも見つけることができます。それでは『インテグラル・ヨーガ』の一説を見てみましょう。

一人の男と聖者の話

昔、一人の男が、ある聖者を怒らせてみたいと思った。そこで男は彼に罵言を浴びせ始めた、「薄汚い詐欺師め!おまえの教えとやらでどれだけの人間が破滅したか、わかっているのか?」

しかし聖者は何も言わずに、自分を罵る相手を見てほほ笑んでいた。

「俺の言ったことがわからないのか?」と、男は言った。

「もちろんわかります。」

「俺の罵りがわかったって?」男は信じられなかった、「じゃあどうして黙っていられるんだ?」

聖者は答えた、「息子よ、たとえばあなたが私に何かの果物を持ってきてくれて、それを私が辞退したとしましょう。そのときあなたはどうしますか?」

「持ってかえらなきゃしょうがないだろう。」

「そうですね」と言って、聖者は続けた、「それと同じで、私はあなたの持って来たものを楽しみません。ですからそれは持って帰ってください―」

 

『インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨーガ・スートラ』より

スワミ・サッチダーナンダ/著  伊藤久子/訳

この中で、聖者は言われた言葉を“受け取らない”という選択をしています。そう、言葉は“受け取る”ことも“受け取らない”こともできるのですね。「全てを受け取る必要はない」と思うだけで、気持ちがふっと軽くなるのが感じられるのではないでしょうか。必要な時にさらりと受け流すこともできる「スルースキル」。心にモヤモヤを感じた時、思い出してみてください。

ライター/のぐち かなこ

専業主婦からヨガ講師へ。大手ヨガスクールにて全米ヨガアライアンスの講義(RYT200/RPYT85)及びヨガレッスンを年間1,000時間以上担当。2018年に独立し〈あんどYOGA〉を立ち上げる。現在もヨガインストラクターの養成に携わりながら、特に産前産後に関するヨガや新米ヨガインストラクターサポートに力を注いでいる。オンライン講座も多数開催中。プライベートでは三姉妹の母。あだ名はかーちゃん。Instagram:@kaacyan123 

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