どの病院に行けば妊娠できるの?むずかしい病院選びと治療費のハードル【不妊治療の現実】
妊娠や不妊について学んだ記憶はありますか? この連載では、不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ、また妊活ヨガセラピストとして活動するわたなべまさよさんが、妊娠を望んでいる人が知っておきたいこと、また不妊治療の現状を連載形式で綴っていきます。いつかお母さんになりたい人はきちんと知ってこれからのライフステージをデザインしてゆきましょう。
カップルで取り組んでも妊娠しない!この先どうすれば?
なかなか妊娠しない状態が続くと、検査した方がいいのかな?病院はどこに行けばいいんだろう・・・と不安や焦りが生じてきます。日本で不妊の検査や治療を受けたことがあるカップルは5.5 組に1組。身近になっているはずなのにデリケートな内容なので表面化してきません。
たまたま妊娠していないだけで不妊と決まった訳じゃないし…そんな気持ちでネットを検索してみると膨大過ぎる情報量に圧倒されて、何から手をつければいいか分からなくなってしまいます。
ひと昔前の不妊治療はまずは女性側から検査して問題がなければ男性という流れでしたが、不妊は男女共に原因があることが分かってきて今はカップル一緒にスタートすることがスタンダードに。不妊の情報を目にする機会も増えて20代から治療を受けるカップルも増加傾向です。年齢が高くなるにつれて妊娠・出産の確率は低くなり、逆に流産のリスクは高くなります。そのため体や心、お金の負担も大きくなってしまうので「早すぎる」ということはありません。
妊活 = 不妊治療ではないけど代表的な不妊治療
《一般不妊症治療》
- タイミング法:超音波やホルモン検査などで妊娠しやすい日を特定し、性交渉のタイミングを合わせる
- 人工授精(費用:1万円~5万円):採取した精子の中から元気な精子だけを選んで濃縮し、妊娠しやすい時期に合わせて子宮や卵管に入れる
《生殖補助医療》
体外受精(卵子に精子をふりかけて受精)・顕微授精(精子1匹を極細の針で卵子に注入して授精)(費用:30万円~50万円以上):卵子を採取し、受精させてから子宮に戻す
不妊治療は「治療」と言っても不妊を治すものではなく、不妊の原因を探りながら科学的な方法から妊娠を試みる医療です。
「人工授精」「体外受精」「自然・刺激周期」など言葉の持つイメージによって感じ方は人それぞれ。治療を受ける人の多くは抵抗なく治療に進む訳ではなくて、大なり小なり事情を抱え葛藤しながらチャレンジしています。もしも不妊治療を否定したい気持ちがある場合、きちんと理解することも大切。治療に進むかどうか迷ったときは自分のイメージに偏りがないか、中立な立場の人に相談するのもひとつの方法です。
- 厚生労働省が整備する各地の医師・助産師等の専門家による相談窓口 不妊相談センター
- NPO法人Fine~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~不妊当事者による相談など
ステップアップ(次の治療に進むこと)のハードルは治療費
若い年代はお金のために治療したくてもできなくて、余裕ができた頃には妊娠が難しくなるというパターンも少なくありません。しかも出産率は高くないため何度も治療を繰り返して精神的にも追い込まれてしまいます。
不妊専門施設によって設備や技術にはかなりの格差があります。治療方針も各施設で異なるため、患者側が見極めることはとてもむずかしいものです。実際通ってみて合わない(妊娠しない)から別の病院、また別の病院と転院を繰り返してしまいます。
NPO 法人 Fine(ファイン) ~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~による病院選びのポイントアンケート2020(回答者5,140名)によると、病院選びに「困った」と回答した人は約8割。約7割の患者が2回以上の転院を繰り返すという結果が出ています。
転院先で振り出しに戻るのはつらいこと。本来なら治療スタートから自分にとってベストな治療を受けたい。国がリードして施設ごとの評価基準を定め、ガイドラインを示してほしいものですが、今は各施設が独自に開示する成績や説明会に足を運んで患者自身が判断するしかありません。
知識は自分の味方になります。妊活・不妊治療することになったら最短最速で駆け抜けたいところです。
ライター/わたなべまさよ
妊活ヨガセラピスト(不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師)不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。妊活コンシェルジュファミワンアドバイザー。長期の不妊治療で心と体のバランスを崩したところ、毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで講演やヨガとカウンセリングを併用した妊活ヨガセラピーを行っている。「おやすみ前のリラックスヨガ」22時から20分間オンライン(Zoom)で土曜日をのぞく毎日開催。LINE登録で1ヶ月体験無料。詳しくはホームページまで。
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