まさか自分たちカップルが不妊?悩む前に知っておきたいこと【不妊治療の現実】
妊娠や不妊について学んだ記憶はありますか? この連載では、不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ、また妊活ヨガセラピストとして活動するわたなべまさよさんが、妊娠を望んでいる人が知っておきたいこと、また不妊治療の現状を連載形式で綴っていきます。いつかお母さんになりたい人はきちんと知ってこれからのライフステージをデザインしてゆきましょう。
え!まさか自分が不妊?
そろそろ赤ちゃんをと思って避妊をやめたものの、なかなか妊娠しないとき、まさか私が不妊?※1と不安や焦りが生じてきます。その悩みを感じているカップルは3組に1組。
妊活は妊娠しやすい時期(排卵日)に合わせてセックスするタイミング法でからスタートするのが一般的です。排卵日の特定は、毎朝基礎体温を計ったり、排卵検査薬を試したりしますが、この日!と自分で正確にに見極めるのはむずかしいものです。そのため医療を介さないタイミング法は、排卵日に精子がスタンバイする排卵日の2日前がよいとされています。できれば排卵日を迎える頃まで、毎日は難しくても1日おき、または2日おきに行うと妊娠の確率はぐんと上がりますが、分かっていても日々の慌ただしさやストレスで疲れると、なかなか難しいのが現実でしょう。
ですがそれ以前に、そもそもセックスはあったのか、というところが問題になります。
加速する日本のセックスレス化
妊活とセックスを切り離して考えることはできませんが、今日本でセックスレス※2のカップルが年々増えているということが調査結果※3が出ているのです。結婚しているカップルのセックスレスの割合は51.9%。男女によって意識のちがいがありますので見てみましょう。
セックスレスが原因で不妊になるカップルの一方で、妊活や不妊治療によってセックスレスになるパターンもあります。子どもがほしいのだから夫も協力するのが当然でしょと夫は妻からのプレッシャーを感じ、成立せず。排卵日に向けて準備してきた妻は怒り爆発という悪循環は、当然夫婦関係にも影響します。また、治療だけに頼ったり、愛情表現では授からないという事実を連想してしまうと避けてしまったり。排卵に合わせた義務のようでつらい・・・となる前にタイミング法はいつまで、と期間を決めておくのもひとつの方法です。
ですが、セックスレスでも仲の良いカップルはたくさんいます。触れてはいけないことではなくてふたりにとっての性について、オープンに話す機会があるといいですね。
不妊治療をはじめるとき
何とか医療の力を借りずに授かりたい!とタイミング法に取り組んでも妊娠しないとき、病院に行った方がいいのかな?と思い始めるものの、不妊治療はハードルが高い気がしたり、抵抗があって戸惑う人も。また、情報は溢れ過ぎていて自分にとってベストな情報を見つけるのは難しく感じてしまいます。
不妊治療施設は妊娠のために特化した機関。女性のためではなくカップルのための医療機関です。不妊の問題は女性にあると思われがちですが、男性にも潜んでいて様々なパターンがあるのです。
妊娠しない原因を調べるためにはカップルで不妊治療をスタートすることが妊娠への近道。検査しても原因が分からない場合は、妊娠するために有効と考えられる方法を科学的な治療法で進めていきます。年を重ねるごとに体やお金の負担も大きくなるので、治療のスタートは早過ぎるということはありません。
ですが、子どもを望む気持ちは同じでも、そこへ向かう道のりのイメージはパートナーと差があって当然です。妻は妊娠するためにいろいろな情報を収集して夫に熱く伝えるかもしれませんが、その勢いに圧倒されて夫婦間で温度差が浮き彫りになり、お互い孤立した気分になる場合も。
あらたまっているようで持ちかけにくい話題かもしれませんが、ふたりの子どもについてどんなイメージを抱いているかお互いの思いを知り、すり合わせながら自分たちに合った妊活を見つけていくことが大切です。
※1.不妊(日本産婦人科学会より定義)妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態
※2.セックスレス(1994年日本性科学会により定義)特殊な事情が認められないにも拘わらずカップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上なく、その後も長期に亘ることが予想される場合
※3.一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センターによる調査ジャパン・セックス・サーベイ 2020 https://www.jfpa.or.jp/pdf/sexservey2020/summary.pdf
※4.男女の不妊原因割合グラフ:WHO(世界保健機関)1998年発表から
ライター/わたなべまさよ
妊活ヨガセラピスト[不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師]不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。長期の不妊治療で体と心のバランスを崩したときに毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで妊活講座の講師やヨガとカウンセリングを併用した妊活ヨガセラピーを行っている。「おやすみ前のリラックスヨガ」22時から20分間オンライン(Zoom)で土曜日をのぞく毎日開催。LINE登録で1ヶ月体験無料。詳しくはホームページまで
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