「感じたままの自分を、肯定していい」HIKO KONAMIさんがサウンドバスを通して伝えたいこと
「自分は今幸せだ」。そう実感できる人はいったいどのくらいいるのでしょうか。怒り、悲しみ、劣等感、疲労…。そんなストレス社会で悩み続ける人々のため、音を使ったメディテーションによって人々の心を癒し続ける、サウンドセラピストのHIKO KONAMIさん。今回は、先進的なメディテーション法、ヒーリング法として注目されているサウンドバスとはどのようなものなのか、HIKOさんのこれまでの経験やサウンドセラピストとしての想いをうかがいました。
瞑想状態へ自然と導く「サウンドバス」
ストレスケアや仕事の効率化、安眠のための手法としてこの日本でもメディテーションやマインドフルネスの認知度が高まっていき、様々な書籍や講座も多く見られるほどブームになりました。しかしながらその実践が一過性のものとなってしまい続かなかったり、どこかで注意がそれて瞑想出来なかったりなど、“無”となることの難しさを実感している人も多く存在します。筆者自身、心身のコンディションが悪いと瞑想できないことがあり、それに対して悩みも生じていた中、HIKOさんのサウンドバスと初めて出会いました。サウンドバス(Sound Bath)とは、直訳すると「音浴」。まるでお風呂に入っているかのように音に心と身を委ねることで深いリラグゼーションへと導くもの。その効果はアメリカで医学的にも証明されており、心身が休まり自然と瞑想状態へ入ることができます。
クリスタルボウルをはじめ、さまざまな楽器を用いて音は奏でられます。参加者は目を閉じ、ただその音に耳を傾けているだけ。楽な姿勢で座ってもいいし、仰向けで寝転んでいてもいいのです。最初のうちは耳に入ってくる音楽ともとれない音の振動に敏感に反応していた意識が、次第にその音の流れに包まれて一緒に空間を漂っていくような感覚になりました。奏でられる音はまるで魔法がかかっているかのように、空間に、耳に、体に、そして心の奥底までもを包み込んでいくのです。一般的な音楽とは何かが違う、このサウンドバスの繊細な音の振動は、脳をしっかりと休息させ、それまでの心のざわめきが不思議に思うくらい、すっと解消していました。これは何度もヨガを通じ、座して瞑想を試みてきた筆者からすれば、目からうろこの体験。そんなまるで魔法使いのように音によって人々の心を癒すサウンドセラピストHIKO KONAMIさんとはいったいどんな方なのでしょうか。
「何者かにならなくてはならない」という焦りの中で
―――サウンドセラピストになる以前のHIKOさんについて教えてください。
仏教の家庭で生まれ、子どもの頃から音楽が身近にある環境で育ち、ずっと音楽と共にある青春時代を送っていました。結婚を機に2005年からニューヨークに移り住んだのですが、すぐに別居、離婚と当初の予定が大幅に変わってしまい、その後の自分の道を見失ってしまって。迷いの日々の中でさらに深く音楽について学ぼうと学校に通いながら、ボランティアとして音楽療法に携わり、子どもたちに身体的なアプローチで音楽を伝える指導をしていました。そんな音楽の可能性を追及していく中で、この土地の仏教にも触れ、日本では感じることができなかった仏教の素晴らしさに改めて気づき、メディテーションを自分のプラクティスとして取り入れるようになりました。これが、今の“音楽と瞑想”のベースになっています。
―――サウンドセラピストになろうと思ったきっかけは何だったのですか?
もともとアンビエントの曲が好きというのもありましたが、それ以上に音楽療法のボランティアの時、音楽を使った自閉症の子とのコミュニケーションでその子の顔がみるみる笑顔になっていく姿にとても感動したのが大きかったと思います。人の心を癒す、人を笑顔にするという音楽の大きな力を感じたんです。そこから、自分も音楽を使って何かできないかと考えるようになりました。ですが現実はそう簡単なことではなくて…。ニューヨークに渡ってから自分というものを確立できずにもがき続けていました。結婚して、特に何かの目標があってこの地に来たというわけではなかったのですが、周りにいる日本人は大きな夢を抱いて学ぶ若者か、もしくは日本ですでに何らかの成功を手にした人ばかり。彼らと自分とを比べて、いつしか劣等感ばかり感じるようになっていました。「このままの私でいてはだめだ、早く私も何者かにならなくては…」という強い焦燥感に駆られ、そのことばかりに思考が向いていました。そんな中で、交通事故に遭ってしまいました。その時は幸い大事には至らなかったものの、いろいろなことがうまくいかない状況を何とかしたいという気持ちが大きすぎて、治療もきちんと受けずまたさらに自分を追い込むようになっていました。
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