「感じたままの自分を、肯定していい」HIKO KONAMIさんがサウンドバスを通して伝えたいこと

「感じたままの自分を、肯定していい」HIKO KONAMIさんがサウンドバスを通して伝えたいこと
Sound Bath/EAT PLAY WORKS
君嶋瑠里
君嶋瑠里
2020-08-29

「自分は今幸せだ」。そう実感できる人はいったいどのくらいいるのでしょうか。怒り、悲しみ、劣等感、疲労…。そんなストレス社会で悩み続ける人々のため、音を使ったメディテーションによって人々の心を癒し続ける、サウンドセラピストのHIKO KONAMIさん。今回は、先進的なメディテーション法、ヒーリング法として注目されているサウンドバスとはどのようなものなのか、HIKOさんのこれまでの経験やサウンドセラピストとしての想いをうかがいました。

広告

瞑想状態へ自然と導く「サウンドバス」

ストレスケアや仕事の効率化、安眠のための手法としてこの日本でもメディテーションやマインドフルネスの認知度が高まっていき、様々な書籍や講座も多く見られるほどブームになりました。しかしながらその実践が一過性のものとなってしまい続かなかったり、どこかで注意がそれて瞑想出来なかったりなど、“無”となることの難しさを実感している人も多く存在します。筆者自身、心身のコンディションが悪いと瞑想できないことがあり、それに対して悩みも生じていた中、HIKOさんのサウンドバスと初めて出会いました。サウンドバス(Sound Bath)とは、直訳すると「音浴」。まるでお風呂に入っているかのように音に心と身を委ねることで深いリラグゼーションへと導くもの。その効果はアメリカで医学的にも証明されており、心身が休まり自然と瞑想状態へ入ることができます。

クリスタルボウルをはじめ、さまざまな楽器を用いて音は奏でられます。参加者は目を閉じ、ただその音に耳を傾けているだけ。楽な姿勢で座ってもいいし、仰向けで寝転んでいてもいいのです。最初のうちは耳に入ってくる音楽ともとれない音の振動に敏感に反応していた意識が、次第にその音の流れに包まれて一緒に空間を漂っていくような感覚になりました。奏でられる音はまるで魔法がかかっているかのように、空間に、耳に、体に、そして心の奥底までもを包み込んでいくのです。一般的な音楽とは何かが違う、このサウンドバスの繊細な音の振動は、脳をしっかりと休息させ、それまでの心のざわめきが不思議に思うくらい、すっと解消していました。これは何度もヨガを通じ、座して瞑想を試みてきた筆者からすれば、目からうろこの体験。そんなまるで魔法使いのように音によって人々の心を癒すサウンドセラピストHIKO KONAMIさんとはいったいどんな方なのでしょうか。

「何者かにならなくてはならない」という焦りの中で

―――サウンドセラピストになる以前のHIKOさんについて教えてください。

仏教の家庭で生まれ、子どもの頃から音楽が身近にある環境で育ち、ずっと音楽と共にある青春時代を送っていました。結婚を機に2005年からニューヨークに移り住んだのですが、すぐに別居、離婚と当初の予定が大幅に変わってしまい、その後の自分の道を見失ってしまって。迷いの日々の中でさらに深く音楽について学ぼうと学校に通いながら、ボランティアとして音楽療法に携わり、子どもたちに身体的なアプローチで音楽を伝える指導をしていました。そんな音楽の可能性を追及していく中で、この土地の仏教にも触れ、日本では感じることができなかった仏教の素晴らしさに改めて気づき、メディテーションを自分のプラクティスとして取り入れるようになりました。これが、今の“音楽と瞑想”のベースになっています。

HIKO
Hikoさん 広尾の複合施設EAT PLAY WORKSにて

―――サウンドセラピストになろうと思ったきっかけは何だったのですか?

もともとアンビエントの曲が好きというのもありましたが、それ以上に音楽療法のボランティアの時、音楽を使った自閉症の子とのコミュニケーションでその子の顔がみるみる笑顔になっていく姿にとても感動したのが大きかったと思います。人の心を癒す、人を笑顔にするという音楽の大きな力を感じたんです。そこから、自分も音楽を使って何かできないかと考えるようになりました。ですが現実はそう簡単なことではなくて…。ニューヨークに渡ってから自分というものを確立できずにもがき続けていました。結婚して、特に何かの目標があってこの地に来たというわけではなかったのですが、周りにいる日本人は大きな夢を抱いて学ぶ若者か、もしくは日本ですでに何らかの成功を手にした人ばかり。彼らと自分とを比べて、いつしか劣等感ばかり感じるようになっていました。「このままの私でいてはだめだ、早く私も何者かにならなくては…」という強い焦燥感に駆られ、そのことばかりに思考が向いていました。そんな中で、交通事故に遭ってしまいました。その時は幸い大事には至らなかったものの、いろいろなことがうまくいかない状況を何とかしたいという気持ちが大きすぎて、治療もきちんと受けずまたさらに自分を追い込むようになっていました。

どん底で見つけた"しっくりくる"もの

―――ご自身を追い込む中で、さらに2度目の事故にも遭われたのですか?

はい。2度目の交通事故のほうが悲惨でしたね。1度目の事故のあとも物事がうまくいかず精神的にも追い込まれ、いよいよまずいと思った矢先の出来事でした。歩くことも喋ることもできなくなり、生死をさまようほどの大きな事故になってしまったんです。本当にどん底でした。もうすべてがリセット、自分の何もかもを根こそぎ持っていかれてしまったような感じでしたね。そんな状況だったから、その後は自分自身をひたすら癒していかなければなりませんでした。体の治療と合わせ、自分の心を救う手段をあれこれと探していき、色々試す中でやはり自分にとって一番しっくりくるのがメディテーションと音楽だということがわかったんです。そこから以前のようにキャリアのためではなく、もっと自分自身のために学びたいという気持ちが強くなり、New York Open Centerの「Sound and Music Institute」でサウンドヒーリングを体系的に学ぶようになりました。

―――事故の悲惨な状態から立ち直り、現在のHikoさんへとつながる道筋が出来ていったんですね。そこからどのようにサウンドバス奏者となっていったのですか?

Sound and Music Instituteはさまざまな項目の音楽療法が学べる場だったのですが、その中にサウンドバスを演奏される先生がいらっしゃって、サウンドバスとはどんなものかと受講してみたんです。そしたら、何とも言えないくらいにすごい体験をしたというか、本当に感動したんです。「これだ!」とその時思いました。サウンドバスは参加者に対してこうしてほしい、ああしてほしい、こうあるべきなどという説明も要求もなく、練習し努力し続けなければ成しえないものでもありません。メディテーションをやろうとすると、実際なかなか難しいところがあるんですよね。人って頭で考えすぎてしまうところがあって、本来は考えないためにメディテーションをやるんですけど、それでも理屈でどうこうしようとしてしまう。メディテーションの理屈と、自分の心とのせめぎ合いというか…。それがサウンドバスだったらただ聴いて、たったの1回で効果を感じられる、それがとてもすばらしいと思ったんです。Sound and Music Instituteでの学びで得たもの、自分が大好きだと思えるものを自分のヨガのクラスにも取り入れるようになり、またサウンドヒーリングを共に学んだ友人のイベントに出演させてもらったことをきっかけに、自分でもイベントをやるようになっていきました。

Hiko Sound bath
Sound Bathの様子/広尾EAT PLAY WORKSにて

―――ニューヨークでは数千人規模のビッグイベントにも出演されたりと、今やHIKOさんのサウンドバスは人気ですね。ニューヨークでこんなにも多くの人の心を掴んだ理由というのは何でしょうか?

そもそも、ニューヨークではメディテーションが日本と比べてとても盛んです。相互補助の文化と言いますか、助け合いのコミュニティがすごく機能していると思います。ヨガとはまた別で、メディテーションのスタジオもたくさんありますし、ビジネスとしても一大産業となっています。医療で保険が使える日本とは違って、自分のことは自分でケアをしていく必要性を強く持っていて、メンタルヘルスの大事さというのもわかっている。多種多様なウェルネスの一つとして、サウンドバスの関心度も高いのだと思います。

―――最後に、HIKOさんからサウンドバスの魅力や悩みを抱える人々にメッセージをお願いします。

日本人は結構考えすぎていたり、正解を求め過ぎていたりします。みんなが納得するような正解が欲しい、決して間違いたくない、というような傾向が強いと感じるんです。なので“自分の感じたままでいいんだ”というのがもっと増えたらいいのにと思います。短時間でいっぱいこなすことが良いと言われがちですが、まずは自分のことをもっと知るのが大事だと思うんです。ただひたすら無理をし続けながらやるというのでは、結局のところ生産性は上がらないですし、ちゃんと休息をとって、自分を見つめ、ケアする時間もとっていかないと…。周りの人の意見に翻弄されてしまうのではなく、自分自身のための時間をもっと大切にしてほしいなと思います。

今は人が集まるのはなかなか難しい状況ではありますが、いつかぜひ一度実際のサウンドバスを体験しに来ていただきたいですね。今、簡単にYouTubeやアプリでリラグゼーションの音楽を流すことはできますが、それらは音源を圧縮してしまうので可聴域も実はけっこう狭くなってしまうんです。機械から流す音楽だと、実際のその音の豊かな周波数がカットされてしまうので、本当の音を自分の耳で聴くほうが体や心に浸透していきます。 “こう感じるべき”だとか“こうあるべき”という正解はないので、サウンドバスでは“ただ感じたままの自分を肯定する”そんな時間を過ごしていただきたいと思っています。

Profile

HIKO KONAMIさん

サウンドセラピスト、ヨガインストラクター。
幼い時から仏教の教えを受けて育ち、家庭では音楽とともにある日々を送る。2005年に渡米し、NY大学でボランティアとして音楽療法に携わる。2012年、ヨガ指導者の資格を取得しヨガインストラクターとしての活動を開始。2013年、New York Open Center 『Sound and Music Institute』にて音楽を体系的に学び、NYを中心にサウンドセラピスト、ヨガインストラクターとして活動。数々のメディテーションイベントに登壇する。2019年に帰国。拠点を日本へ移し、イベントや企業にてサウンドバス、サウンドメディテーションを提供している。Instagram:@hikokonami

取材協力:EAT PLAY WORKS

2020年7月に広尾にオープンした、食とウェルネスとワークカルチャーが融合した新スポット。「食べて」「遊んで」「仕事して」がコンセプトで、1階と2階がレストランフロア、3階と4階が、EAT PLAY WORKSメンバーとそのゲストのみが利用できるメンバーズラウンジ。5階と6階がルームメンバーのみ利用可能なプライベートオフィスになっている。Hikoさんのサウンドバスメディテーションは、4階のラウンジで開催(メンバー以外も参加可能)。

ライター/君嶋瑠里
ヨガインストラクター(RYT200)/F-Rピラティスインストラクター(BI) ヨガスタジオ、ホットヨガスタジオ、フィットネスクラブ、公共施設にてヨガやピラティスを指導。フィットネスクラブでの活動が多数。機能改善やボディメイクについて勉強中。Instagram:@ruripirarucu

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

HIKO
Hiko Sound bath