深い悲しみを癒すためにすべきこととは|臨床心理士が解説

 深い悲しみを癒すためにすべきこととは|臨床心理士が解説
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南 舞
南 舞
2019-09-13
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悲嘆を癒すためにできることは?

悲しみを癒していくために、私たちが意識しておきたいことがいくつかあります。

悲しみは繰り返すものであると心得ておく

悲嘆のプロセスは、少し回復してきたように思っても、何かのきっかけですぐにまた深い悲しみに沈みこむこともあります。しかし、再び悲しみが出てきても、前と全く同じ状態に戻るのではなく、少しずつ回復に向かっているので、落ち込むことはありません。

無理に話そうとしない、引き出さない

悲しみに向き合う過程では、悲しみや心の痛みを感じながらも、自分なりの【喪の作業】を行っていきます。喪の作業とは、泣いたり人に話したりすることなどを経て自分自身で心理的な回復を行うことです。喪の作業を行うことが回復につながっていくと言われますが、回復に要する時間は、状況や衝撃度、その人の性格や過去の経験などによって、違います。よく「トラウマは吐き出せば大丈夫」「話せば楽になる」と言ったようなことを聞きますが、人によってはそれをすることが心理的な負担になり、余計に悪化してしまうこともあるのです。ですから、話す側にも話を聞く側にも注意が必要なのです。

深い悲しみを目の前にしたら

大きな悲しみを抱えると、「こんなこと人に話してよいのか」「どうして早く元気にならないのか」と自分を責める場面もあるかもしれません。しかし、回復には個人差があるので自分を責める必要はありません。あくまでも「回復には個人のペースが必要」ということを心の中に留めておいてほしいものです。また、そういった状況にある人の話を聞き、「聞いてあげなきゃいけない」「元気づけなきゃいけないのかな?」など迷いも生まれてくることでしょう。そんな時も、無理をしないことです。話を聞けるときは聞いてあげたら良いですし、元気づけることよりも、「受け止めてあげること」が大切であると覚えておきましょう。

ライター/南 舞
臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。

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