名医ディネッシュに聞く!夏に老廃物をためない体をつくるには?
アーユルヴェーダの本場スリランカで活躍する名医ディネッシュ・エディリシンハ先生と、本誌『ヨガジャーナル日本版』でもお馴染みの人気ヨガティーチャー鈴木伸枝先生が、アーユルヴェーダの本質や活用法をわかりやすくアドバイス。2回目は、夏に老廃物をためない体をつくるための方法をご紹介します。
老廃物がたまる原因は、夏の暑さによるホルモンバランスの乱れ
伸枝先生(以下、伸枝):気温の高い夏は、冷たい飲み物や食べ物をとる機会が増え、体に老廃物がたまりやすいように感じます。
Dr.ディネッシュ・エディリシンハ(以下、Dr.ディネッシュ):そうですね。夏は、体に老廃物がたまりやすい季節といえます。老廃物が、なぜたまるのか、体のメカニズムから説明しましょう。気温が高くなると、暑さでホルモンのバランスが乱れ、偏食傾向が強くなります。そのため、冷たいものや甘いもの、辛いものやオイリーなものなど内臓に負担がかかる、体にあまりよくないものが欲しくなるようになります。そして、それらを食べすぎたり、飲みすぎたりすることで、肝臓の濾過機能が追いつかなくなり、肝臓で濾過しきれなかった不要なもの=老廃物が体内に残り、蓄積されていくのです。
夏の暑さでホルモンバランスが乱れている状態を、アーユルヴェーダでは、エネルギーを表す「ドーシャ」のうち「カッパ」の性質が強いと考えます。「カッパ」には、体の動きや働きをスローになる、停滞しやすくするという性質があり、体に老廃物がたまりやすくなったり、太りやすくなったりします。
伸枝:ホルモンバランスの乱れが、ドーシャのカッパの性質を強めているのですね。夏に起こる体の悪循環がよくわかりました。
血漿(ラサ)&血液(ラクタ)が滞り、皮膚や全身に不調が現れる
伸枝:体に老廃物がたまると、どんな症状が現れますか?
Dr.ディネッシュ:アーユルヴェーダの生命活動の判断基準である「ダートゥ」(身体を構成する7つの要素)で、体内に老廃物がたまっている状態を診ると、「血漿(ラサ)」と「血液(ラクタ)」が滞っていることがわかります。「血漿(ラサ)」の停滞は、肝臓の濾過機能の働きの低下を表し、症状としては湿疹や蕁麻疹など、皮膚にトラブルを招くことが多いですね。人によっては、体臭が強くなることもあります。また「血液(ラクタ)」の停滞は、全身の血液循環の滞りを表します。血流が悪くなると、血液の流れによって運ばれるはずの酸素が全身に行き渡らなくなり、体が酸素不足の状態に。その状態が続くと、疲やすくなったり、体が重だるく感じられたり、眠りが浅くなるなどの症状が現れやすくなります。
夏が旬の緑色の野菜や果物を食べて、老廃物の排出を促進
伸枝:では、老廃物が原因でおこる夏の不調を予防、改善するにはどうすればいいでしょう?
Dr.ディネッシュ:まず、食べ物に気をつけましょう。冷たいものや甘いもの、辛いもの、オイリーな食べ物を避け、野菜や果物を多めにとることを意識すると、老廃物を排出しやすくなります。夏は、スイカやキュウリなど、緑色の野菜や果物が、特におすすめです。また、1日2〜3Lの水を目安にこまめに水分補給することも重要なポイント。アーユルヴェーダでは、十分な水分補給を「ラクタ(血液)・クリーニング」と呼び、体にたまった毒素を汗や尿とともに、体の外に排出する効果があると考えます。飲み水は白湯が理想ですが、暑さで飲みにくい場合は、常温の水でも構いません。ただし、冷蔵庫で冷やした冷たい水は避けてください。それから、夏は体を休める時間を増やすことも大切。休養をしっかりとり、体と心をリラックスさせることで、ホルモンバランスを整えることができ、体の不調を予防、改善します。皮膚トラブルについては、シャワーをこまめに浴び、汗とともに排出された毒素を洗い流すことが予防、改善につながります。
伸枝:皮膚トラブルをケアするには、どのぐらいの頻度でシャワーを浴びるのが効果的ですか?
Dr.ディネッシュ:基本的には、1日1回で大丈夫ですが、症状が出ている場合は、汗をかいたタイミングで、1日に2〜3回浴びるといいですね。その際、ボディソープや化学薬品などは使わずに、シャワーの流水だけで洗い流すようにしてください。
伸枝:わかりました。この夏、ぜひ試してみます! 次回は、夏のダイエットについて、ディネッシュ先生にアドバイスをいただきます。
(左)Dr.ディネッシュ
国立コロンボ大学アーユルヴェーダ・メディスン&サージェリー卒業。2009 年にジェットウィン グ・ホテルズのアーユルヴェーダドクターに着任。2016 年よりジェットウィング・アーユルヴェ ーダ・パビリオンズを含むジェットウィングの5つのホテルのアーユルヴェーダ部門のチーフド クターとして、アーユルヴェーダ哲学に基づくバランスの取れたライフスタイルの普及活動、国 内外からのゲストの診療、セラピストの育成活動に心血を注ぐ。
(右)鈴木伸枝さん
指導者養成の講師としても活躍し、1000人以上のインストラクターを輩出。講師育成や、全国のイベント出演、雑誌監修など、活動は多岐にわたる。鈴木伸枝パーソナルヨガスタジオ-Release Space-主宰。instagram@nobue.styleにてヨガの教えをポップな形で日々お届けする、「ヨガモジ365」を配信中。
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