筋トレと何が違うの? ヨガで全身の筋力がアップする理由
若者からお年寄りまで、性別も年齢も場所も問わず行えるのがヨガの魅力だ。もっとも分かりやすいヨガの効能の1つが、筋力が高まること。ヨガのプラクティスには、他のエクササイズにはない全身の筋肉を鍛える効果がある。詳しく紹介しよう。
ヨガ実践者がサッカー選手の隣に立つと、この2つの活動では、筋肉への負荷のかかり方が異なっていることがよく分かる。瞬発力と強靭な筋力が必要とされるサッカーでは、選手は筋肉の短縮性収縮を行うことで、短く、強く張った筋肉をつける。短縮性収縮では、筋肉が収縮するときに刺激を受ける。ダンベルを胸の方へ持ち上げるとき、上腕二頭筋が盛り上がる様子を思い描いてみるといい。その後、重力に対抗しながらダンベルを下ろす動きが伸張性収縮だ。この両方の方法で、均等に筋肉を働かせるエクササイズはほとんどない。
だが、ヨガにおいてはこの両方の収縮がカギとなり、2つが同時に起こることも多い。ほぼすべてのヨガのポーズで、対になって働く筋肉の伸張と強化が同時に行われるのだ。例えば、ヴィーラバッドラーサナⅠ(戦士のポーズⅠ)で前の膝を90度に曲げるとき、屈曲した太腿前面の大腿四頭筋は伸張性収縮を行い、重力に逆らって伸びる。一方上半身では、腕の筋肉が短縮性収縮を行い、上腕二頭筋が耳の後ろの方に引っ張られる。このようなバランスのいい筋肉の収縮と伸張が、最終的には短く硬い筋肉よりも長持ちする、ケガになりにくい長く細い筋肉を作るわけだ。
西洋で初めて行われた筋力とヨガを直接検証した医学的研究は、2001年に医学誌 『Preventive Cardiology』で発表された。カリフォルニア大学デービス校の研究者たちが、10人のヨガ初心者を集め、基本的な筋力、柔軟性、肺機能を測定し、8週間ヨガを行ってもらったところ、筋力が31%ほど向上したという。
これは大きな成果だが、研究に問題点がないわけではない、と『Yoga as Medicine』 の著者である内科医、ティモシー・マコールは言う。彼は、筋力やそれ以外の健康状態を測る基準は人によって異なると指摘する。例えば、ヨガをする男性は筋力はあるが体が硬く、一方女性は、柔軟性があっても筋力が不足していることが多いのだ。「ヨガはあらかじめ決められた1つの目的を達成するのではなく、今いる場所からより調和の取れた場所へと導いてくれるものなんだ」と彼は言う。「ヨガは、あらゆる人の要求を満たしてくれるけれど、それには時間がかかるんだよ」。
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