空気はどうやって身体に入るのか|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
圧力差で空気を取り込む「横隔膜」の働きとは?
空気は、圧力が高いところから低いところへ自然に流れを作ります。天気予報で高気圧から低気圧へ空気が流れ込んでいるように、身体に空気を取り入れる際にはこの圧力差を使っています。その役割を果たしているのが横隔膜です。横隔膜は、腹腔と呼ばれる内臓の詰まった空間と、胸腔と呼ばれる肺や心臓の詰まった空間を隔てる役割を果たしています。体幹を横切って隔てているので「横隔膜」と呼ぶわけです。横隔膜がどのように働くかで、胸腔の容積が大きくなったり小さくなったりして、圧力差が変動するのです。
横隔膜の組織の大部分は筋で、他の筋と同じように収縮します。横隔膜は膜のように体幹を横断していて、弛緩しているときは胸腔側にドーム型にたるんでいます。そのとき、胸腔の容積は小さくなっていて、肺も縮んでおり、空気は外に出て行きます。横隔膜が収縮すると、横隔膜は縮んで降下します。すると、胸腔の容積が大きくなります。そのことで、胸腔の中の圧力が下がって外から空気が流入するのです。
横隔膜ほどではありませんが、その他にも、胸腔を大きくしたり小さくしたりする術はあります。例えば、肋間筋や鎖骨についた胸鎖乳突筋などを使って胸腔を広げるように骨を動かすこと。腹部周囲の筋を使って腹腔の容積を変えること。運動を行う際に身体がより多くの酸素と二酸化炭素の交換を必要とすれば、こういった補助的な役割を担う部分も総動員して呼吸を行うことになります。
教えてくれたのは…得原藍さん
大学時代にアメリカンフットボールの学生トレーナーをした経験から身体運動に興味を持ち、卒業後社会人経験を経て大学に再入学し理学療法士となる。総合病院と訪問リハビリテーションで臨床経験を積み、身体運動科学について学ぶために大学院に進学、バイオメカニクスの分野で修士号を取得して5年間理学療法士の養成校で専任教員を勤める。現在はSchool of Movement®️ IES Directorとして様々な運動関連職種の指導者に対してバイオメカニクスを中心とした身体運動の科学を教えている。
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