「自己顕示欲と承認欲求が健やかな形になった」セルフケアを通して七緒さんが感じた、心と体の変化とは

 「自己顕示欲と承認欲求が健やかな形になった」セルフケアを通して七緒さんが感じた、心と体の変化とは
Photo by 七緒|写真と文

「何者かになりたい」「他人から認められたい」と思う方は、決して少なくないのではないでしょうか。そういった欲は人を動かすエンジンになります。一方で、その欲が強くなればなるほど、苦しむことも。「前田敦子の"月月"」を代表作に持つ、写真と文 七緒(なお)さんも、20代の頃は自己顕示欲と承認欲求に固執していたそう。しかし、現在はそういった欲求に振り回されることなく、肩の力が抜けて、楽になったと言います。「セルフケアを重ねて、少しずつ不調が良くなっていく過程で、自分だけでなく、みんなで幸せになった方がいいと考えが変化しました」と語る七緒さん。一体どういったことでしょうか?詳しくお話を伺いました。

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セルフケアは「お守り」

–  まず初めに、七緒さんにとっての「セルフケア」の定義を教えていただけますか?質問の意図をお伝えすると、セルフケアという言葉をよく耳にはする一方で、人によって捉え方が違うものだとも思うんです。例えば、自分をケアするためにやられている方もいらっしゃいますし、ちょっとしたご褒美のようなものだと感じられている方などもいらっしゃいます。

七緒さん: おっしゃる通り、色々なセルフケアがあっていいと思います。私にとっての、セルフケアは「お守り」です。 例えば、私の場合は昔から生理痛が重かったり、アレルギー症状があったり、あるいは毎日生活している中で、心のゆらぎのようなものがありました。そういった心身の不調に対して、セルフケアを取り入れています。お薬だけではなく、自分で心身を整えられる習慣は、忙しい毎日の中で、お守りのように自分を守ってくれると感じます。

七緒|写真と文
Photo by 七緒|写真と文

– いいですね。七緒さんはもともと、出版社の編集者、公務員を経て、現在は写真と文章を書くお仕事をされていますが、実はその裏ではセルフケア歴15年になり、1年半前からセルフケアの発信もはじめられましたよね。

七緒さん: はい、そうなんです。けれど、15年前のことを考えるとおそらくセルフケアという言葉は今のように世間に浸透していなかったと思います。私も、自分がセルフケアをやっているということに気づいたのは、コロナ禍のときによく耳にするようになったからなんです。

– 最初にセルフケアをはじめたのは何かきっかけがあったのでしょうか?

七緒さん: 大学3年生の時、就活が上手くいかなかったことがきっかけになっていると思います。就活の時に、「自己分析」をやる方が多いと思うんですが、私も図書館にこもって、「自分はこれまでどういった道を歩んできたのか」「自分が何がやりたいのか」「自分の強みは?」ということを、ひたすらノートに書いていきました。すると、徐々に「私には、こういう良いところがある」「こういった会社の役に立てられそうだ」といったことが分かってきたんです。そこから、どんどん内定が出るようになりました。それまで、全く駄目だったのに。当時は、「自己分析」と言っていましたが、今で言うところの「ジャーナリング」だったんですよね。

– 頭の中で考えていることを書き出し、見える化することで、整理できますもんね。

七緒さん: そうですね。また、具体的に私が「変わった」という実感があったセルフケアは、社会人になってから。新卒で出版社に編集者として勤めることになったのですが、入社した4月に生理痛で倒れてしまったんです。もともと、生理痛が重い方だったのですが、倒れたのはそれが初めでした。憧れていた出版社に入社できた矢先のことで、体はもちろん辛かったのですが、気持ちもとても沈みました。不甲斐ないし、この先どうしようと思い、色々ネットで調べていく内に、布ナプキンにたどり着いたんです。それまで、使い捨ての紙ナプキンを使っていたのですが、布ナプキンに変えた所、生理痛がだいぶ軽くなりました。その変化を通して体に目を向ける大切さを身にしみて感じました。

– 布ナプキンに変えただけで、生理痛が軽減するのはすごいですね。

七緒さん: もちろん人それぞれだと思いますが、私の体には合っていましたね。それに何よりも使っていて、気持ち良かったんです。紙ナプキンを使っていた時に気持ち悪いなんて考えたことはありませんでしたが、布ナプキンに変えてからはゴワゴワする感触がなくなり、つけ心地の良さにびっくりしました。大切な人に包まれているような感覚があって、とても嬉しくなりました。

– 生理痛が軽減しただけでなく、気持ちの面でも変化があったのはとても大きいですね。生理期間は、気持ちも塞ぎやすい時期ですから。けれど、布ナプキンを手間に感じることはありませんでしたか?

七緒さん: そんなにありませんでした。実は、私はすごく面倒くさがりやで、ズボラなのですが(笑)、布ナプキンのお手入れは案外簡単です。よく、洗濯を面倒そうと思う方がいると思いますが、お湯にセスキ炭酸ソーダを入れて手洗いするだけで簡単に経血を落とすことができます。

–  面倒くさがりやというのは意外です。というのも、セルフケアの中には、わざわざ時間を作ったり、手間暇かけないとできないものも多いと思うので。

七緒さん: いやいや、本当に面倒くさがりやです(笑)私のように、面倒くさがりやでない方であっても、現代は、忙しい方が多いと思います。自分のためにまとまった時間をとることができない方もいるのではないでしょうか。だから私がセルフケアを提案する時は、簡単にできて、続けやすいという視点を大事にしています。

面倒くさがりやの人におすすめ!七緒さんのセルフケアベスト3 

– お忙しい方や面倒くさがりやの方におすすめのセルフケアベスト3を教えて下さい。

七緒さん: 1つ目は「精油の香りを嗅ぐ」ということです。今3歳になる子どもがいるのですが、本当に毎日ドタバタなんです(笑)。すごく可愛いんですけど、疲れたなと思う日も多々あって。だから、一瞬でできて効果が継続するものが一番だと考えています。精油のフタを開けて香りを嗅ぐだけで気持ちがリフレッシュできるので、本当に助けられています。子どもに振り回されて、「もう疲れた…」という時などは、特に。あとは、花粉症対策などでマスクをされる方も多い時期だと思うのですが、マスクの肌にふれない所に精油を一滴垂らすのもおすすめです。例えば、ユーカリなどは鼻水や、目のかゆみなどを軽減してくれることが期待できるので、おすすめですよ。

Photo by 七緒|写真と文
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– 精油の選び方にポイントはありますか?

七緒さん: 100%天然のものを選ぶことです。あとは、自分が信頼できる人や、信頼できるお店から買うというのが一番だと思っています。例えば、オーガニックスーパーだったり、ナチュラルコスメを揃えているお店の店員さんは詳しい方が多いので、聞いてみると親切に教えていただけると思います。あとは、ブランドHPを参考にしてみるのも良いですね。

– 2つ目のおすすめセルフケアはなんでしょうか?

七緒さん: 2つ目は、冷えとり靴下です。私は、社会人1年目から今までずっと続けています。これは、最初にシルクの5本指靴下、コットンの5本指靴下を履いて、さらにシルクとコットンの靴下を交互に重ね履きしていく健康法なのですが、冷えにお悩みの方はぜひ試して頂きたいです。夏場でも冷えている方が増えていると聞きますし、冬も足元からポカポカして気持ちいいですよ。

もしかしたら、何枚も重ね履きすることが面倒くさいという方もいるかもしれませんが、そういう方は絹のレギンスなどを履くのもおすすめです。肌に触れるものを、できるだけ天然素材のものにしておくことは、シンプルに自分の体が気持ちいいですし、暮らしの質をとても上げてくれると思います。

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– 1年中冷えに悩んでいる方は、意外と多いですよね。3つ目は何でしょうか?

七緒さん: 最後は、クレイバスです。入浴剤のように、クレイをお風呂に入れるだけなので、とても簡単です。色々な効果効能はあると思うのですが、私が一番感じているのは、温泉に入った時のように体がポカポカに温まること。芯から温まった状態で1日を終えることができると気持ちがほぐれますし、ぐっすり眠ることもできます。睡眠の質を上げたい方にもおすすめです。

セルフケアで、自己顕示欲と承認欲求が健やかな形に

– セルフケアを実践していく中で、体や心、あるいは暮らしや仕事など色々な変化があったと思います。特に印象的な変化について教えて下さい!

七緒さん: 体で言えば、小さな不調がなくなっていったのはセルフケアのおかげです。先程お話した通り、生理痛が軽くなったのは本当に良かったことの一つです。また、もともと花粉症症状が出やすい体質で。今も継続して薬は飲みますが、花粉症シーズン前に抗アレルギー作用が期待できるハーブティーを飲むようになったところ、だいぶ楽になりました。私は、エルダーフラワーとネトル、ルイボスをブレンドして飲むようにしています。

Photo by 七緒|写真と文
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– 日々見過ごしてしまう小さな不調が積み重なっていくと、大きな病気につながる可能性もありますしね。

七緒さん: そうですね。あとは、心の変化もすごく大きいと思います。実は、5年前くらい前まで、承認欲求と自己顕示欲が、めちゃめちゃ強かったんです。「有名になりたい」という気持ちが先走って、「私が、私が」と考えてばかりいました。今考えると、その時の自分も必要だったと思っています。まだ20代だったので、そういった馬力も必要だったと思うんですよね。なので、その時の自分は否定してないんですけど、一方でずっと苦しかったです。誰かに認められたいという気持ちがすごい強いけれど、じゃあ誰に認められたらゴールなのか、誰かに認められたらその承認欲求はなくなるのか…というように、答えが全く出ませんでした。そういった欲は、今でもあります。ただ、それがすごく健全な形になったという実感がありますね。

– 承認欲求や自己顕示欲に振り回される方は多いと思いますが、おっしゃられる通り健全な形であれば、それは自分を動かすモチベーションや糧になりますよね。具体的に、そういった欲求をコントロールできるようになったのはどうしてなのでしょうか?

七緒さん: セルフケアを重ねて、少しずつ心身の不調が良くなっていく過程で、自分のことだけを考えすぎなくてもいいのかもしれないと思うようになりました。また、5年前から植物療法を学び始めたのが大きな転機だったと思います。植物療法を学んでいく中で、みんなで心地よくなっていくことがすごく幸せだと気づいたんです。実際、ハーブティーを習慣として飲むようになったり、精油を自分の暮らしで活用するようになり、植物の力を借りたり、それを周りの人と分かち合うようになってからは、自分だけに囚われないで、周りも一緒に幸せになった方が、幸せの総量が上がると思えるようになり、気持ちが楽になりました。

*後編へ続く

後編では、セルフケアの発信をはじめて得られたこと、またセルフケアを続けた賜物として出会った鎌倉のご自宅のお話を伺います!

【プロフィール】七緒|写真と文

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写真と文。人や暮らしにまつわる撮影・インタビューを手がける。代表作に「前田敦子の"月月"」。1児の母。鎌倉山の麓に暮らしながら、植物療法士としても学びを深めている。

インスタグラム:@naotadachi

ラジオ(voicy):心地よくきく、セルフケアジャーニー

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