薬剤師タレント、福井セリナさんに聞く「ルッキズム」にとらわれず美容を楽しむヒント

 福井セリナさん(生島企画室よりご提供)
福井セリナさん(生島企画室よりご提供)

慶応義塾大学在学中にグラビアのお仕事を始め、薬剤師の免許を取得、卒業後はタレント活動と薬剤師としてのお仕事を両立している福井セリナさん。現在は漢方薬局で広報兼アンバサダーも務めています。福井さんがパーソナリティを務める文化放送『カラフルブーケ』では、日常では話しづらいジェンダーやフェムケアに関するお話を届けています。福井さんのキャリアやコンプレックスとの向き合い方、セルフケアについて伺いました。

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薬剤師の仕事だけでは見えなかったことも

——タレント活動をしながら漢方薬局でも働いているとのことですが、2つの仕事を両立しようと思った経緯についてお話いただけますか。

学生の頃からグラビア活動をしていて、在学中に薬剤師の免許を取得し、大学を卒業した頃にちょうどコロナ禍に入りました。当時、医療従事者が現場から離れてしまって人手不足であることをニュースで拝見し、せっかく薬剤師の資格を持っている自分が家にこもっていいのだろうか?と疑問に思って、現場に出ようと思いました。

——2つのお仕事をすることでの相乗効果や大変なことはありますか。

私の場合はプラスにしかなっていないですね!全く別の場を行き来することで、経験が掛け算になって、人生にも活きて視野が広がる感覚があります。私には合っていますね。

薬は病気を治す手段として大きな役割を持っていて、薬に関する知識がどれだけ求められているかは外の世界に出てわかりました。医療系で働く人にとっては、自分が持っている知識はだんだんと当たり前なものになって、発信が必要なもので人に伝えることが有益という意識が薄れてしまうんですよね。それは薬剤師の仕事だけしていたら、気づかなかったと思います。

薬や健康に関する情報を発信していくことの重要性を感じて、私の人生にとって使命の一つだと感じるようになりました。

他人と比べるより自分と向き合うことを大切に

——ご自身のYouTubeチャンネルでは、コンプレックスについてもお話されていました。コンプレックスとの向き合い方や解消方法はどのようにしていますか。

パーツに対するコンプレックスは色々とあったのですが、特別この部分というよりは、とにかく自分に自信がなくて、最近の言葉で言うと自己肯定感が低かったですね。以前はもっとふくよかだったのですが、曲線のある体も、切れ長な目も、今思えば魅力的だったと思うのですが、高校卒業から大学生の前半頃までは全部が気に入らなかったんです。

慶応義塾大学に通っていたのですが、嫉妬してしまうくらい綺麗な子や、お金持ちで何でも持っている子も多くて、自分と比べるようになっていました。どんどん自分のことが気に入らなくなってきて、全部がコンプレックスに感じるようになって、負のループ状態でしたね。でも「このまま下を向いていても仕方がない」となんとかしたくなって、アメリカのミシガンに留学しました。

なぜ留学したかというと、自信満々な女の子たちの共通点が全員海外へ留学の経験があったことだったからです。内面から出てくる自信が溢れてすごく輝いていたり、人として関わりたいと思わせるような魅力もあって、自分もそういうふうになりたいって思いました。春休みの間の4ヶ月程度でしたが、人が変わりましたね。

——留学を通じてどんな変化がありましたか。

「人目が気になる」というのは日本人に多い傾向ではあると思うのですが、アメリカでは自分をどれだけ開示してるかがポイントで、自分らしさを表に出すことを留学中にたくさん経験しました。他人が自分のことを気にしていないことが心地良くて、自分らしさをオープンにすることに対する抵抗感がどんどん薄れていって、解き放たれました。

帰国後は自己肯定感が下がる方には向かいにくくなって、自分をどれだけ高めるかを大切にできるようになりました。留学を通じて他人と比較する必要はなく、自分と向き合うことが大事なんだと気づいて、それから美容に力を入れられるようになりましたね。他人と比較しているときは他人との違いばかりを意識して、行動に起こしていなかったんです。

それからは、スキンケアを色々と試したり、運動を頑張ってみたり、とにかく自分にお金と時間をかけ始めて、そうしたら結果が出てきて。努力に対して結果が見えるのが嬉しくて、自信が湧いてきました。

留学中にはメンタルワークにも取り組み、自分の内面にも向き合えるようになりました。私は母子家庭で育っていて、離婚後も両親からは大きな愛情をもらっていたものの、母が忙しくて寂しい思いをしていて、そういう部分から生じた自己肯定感の低さにも気づいて、帰国後はカウンセリングにも通いました。留学での経験を通じて、前向きになれましたし、心が強くなった感覚を得ています。

ルッキズムにとらわれずに美容を楽しむには?

——ルッキズム(容姿至上主義)にとらわれない考えに注目が集まっていますが「綺麗になりたい」というのも素直な気持ちだと思います。ルッキズムに陥らずに美容を楽しむための工夫やコツはありますか。

すごく難しい狭間ではありますが、自分にとっての美の軸をブレずに持っていることが大事だと思います。自分が本当に表現したい美しさや、自分の良さを曲げてまで他人の評価を追及することはもう絶対にしたくないと思っています。

みんな「可愛くなりたい」って言いますが、一人ひとり「可愛い」というイメージは違うはずですよね。そのイメージと自分を掛け算したときに、どういう美の可能性があるかワクワクする分にはいいと思うのですが「みんながしているから私もまつ毛パーマしなきゃ」とか「ネイルが剥げていたら汚く見られちゃうかもしれない」みたいにマイナスを補填するような美を私はあまり好まないですね。

私の場合、美容とは自分自身という土台を最大限に活かせるかだと思います。ルッキズムに左右されると、自分に似合うかというより「こういう目が流行しているからこっちにしたい」という発想になって、流行は変化するものなので満たされることなく、どんどん心がつらくなってしまうと思うので、本当に自分が目指したい美がどこにあるのか考えるのはオススメです。

——福井さんのSNSを拝見していると、ヨガを始め、色々な方法でセルフケアを実践しているようですが、大切にしていることはありますか。

ヨガは呼吸法が自分に合っていると感じています。私は仕事が忙しくなってくると呼吸が浅くなってしまうんですね。ヨガのストレッチに合わせて呼吸をすることで、ヒーリングタイムになっています。

最近は食養生について学んでいて、バランスの良い栄養たっぷりの食事を摂ることが最大のセルフケアだと感じるようになりました。

——食養生はどのようなことをしていますか。

今までは体型をキープすることに特化して、「とりあえず野菜を食べておこう」といった感じで、カロリーが少なくて満腹感を得られるものを選んでいたのですが、最近は和の食材の頭文字である「まごわやさしい」を意識しています。野菜ばかり食べていても痩せはするのですが、30歳が近くなって、栄養があってバランスの取れた食事の大切さを感じ、食養生を通したセルフケアを実践しています。

※後編に続きます

福井セリナさん(生島企画室よりご提供)
福井セリナさん(生島企画室よりご提供)


【プロフィール】
福井セリナ(ふくい・せりな)

1994年生まれ。新潟県出身。慶応義塾大学薬学部在学中に薬剤師免許を取得。
タレント活動と並行して薬剤師としても働き、漢方薬局の広報兼アンバサダーも務める。
文化放送『カラフルブーケ』パーソナリティ。arweb・週プレnetで連載中。

●Instagram: @serina.beauty_
●X(旧Twitter):@serina_fukui
 

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雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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