発がんリスクが指摘されるも長年使用、FDAが食品添加物「赤色3号」の使用禁止を発表


アメリカ食品医薬品局(FDA)は2月7日、食品に使用されている合成着色料「赤色3号」の使用を禁止すると発表した。この決定は、同染料が動物実験で発がん性を示したことを受けたもので、食品安全や健康を訴える団体からの長年の要請が実った形となる。
赤色3号禁止の理由とは?
合成着色料の赤色3号は1907年に食品への使用が承認され、主にキャンディ、スナック菓子、マラスキーノチェリー(カクテルなどに使われる甘いサクランボ)などに使用されてきた。しかし、1980年代に行われた研究で、高濃度の赤色3号を摂取したオスのラットに腫瘍が発生したことが報告されている。FDAのジム・ジョーンズ副局長は声明で、「FDAは、人間そして動物に対して発がん性が確認された食品添加物を承認することはできない」と述べ、今回の禁止決定が「法的な要請に基づくもの」であると強調した。実は、FDAは1990年に赤色3号を化粧品や外用薬への使用から除外していた。それにもかかわらず、食品や経口薬には使用が認められており、「なぜ口紅では禁止されているのに、子ども向けのお菓子には使用できるのか」との批判が長年続いていた。
アメリカ国内では、食品メーカーは2027年1月までに赤色3号を製品から除去しなければならず、経口薬を製造する企業には2028年1月までの猶予が与えられている。食品業界の中にはすでに赤色3号を排除し、ビートジュース(赤カブの汁)や紫芋、ラディッシュ、赤キャベツ由来の色素を使用する動きもある。

すでに欧州などでは食品用途での使用が禁止されている
消費者団体や一部の議員らは、この決定を歓迎している。米食品業界の代表組織「消費者ブランド協会」は、「食品安全は業界にとって最優先事項であり、企業はFDAの規制に従う」との声明を発表。また、全米菓子協会も、「消費者と食品業界は科学に基づいた規制を求めており、FDAの指針に従う」とコメントした。また、食品安全団体「公益科学センター(CSPI)」のピーター・ルーリー代表は、「30年以上も前にすべき決定が、ようやく実現した」と評価した。さらに、環境保護団体「環境ワーキンググループ(EWG)」のメラニー・ベネシュ副代表は、「この有害な着色料が食品から取り除かれることは、消費者にとって大きな勝利だ」と述べた。赤色3号はすでに欧州、オーストラリア、ニュージーランドなどでは食品用途での使用が禁止されている。ただし、一部のマラスキーノチェリーには例外的に使用が認められている。アメリカ国内では、カリフォルニア州が2027年1月から赤色3号の使用を禁止することを決定。さらに、テネシー州やアーカンソー州、インディアナ州でも、学校給食をはじめとする食品から特定の人工着色料を排除する動きが広がっている。

今後の影響は?
FDAは現在、他の人工着色料についても調査を続けており、特に子どもの行動への影響が指摘されている赤色40号などについても議論が進む可能性がある。カリフォルニア州で食品添加物の規制を進める民主党議員ジェシー・ガブリエルは、「FDAが規制強化に動いたのは、我々が連邦政府に圧力をかけた成果だ」と述べ、今後もさらなる規制を求めていく考えを示した。「これは重要な一歩だが、まだ始まりに過ぎない」とジェシー・ガブリエルは強調している。
出典:
FDA bans Red No. 3, artificial coloring used in beverages, candy and other foods
The FDA banned Red 3 food coloring. A scientist explains the dye’s history and health risks
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