「眠りが浅い」「寝ても疲れが取れない」解決のカギは睡眠中の『深い呼吸』にあり?睡眠専門医監修

 「眠りが浅い」「寝ても疲れが取れない」解決のカギは睡眠中の『深い呼吸』にあり?睡眠専門医監修
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眠りが浅いと感じている人や、寝ても疲れが取れない人が見直すべきものとは?

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呼吸は自律神経と密接に関係しており、特に睡眠の質に大きな影響を与えます。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つに分かれ、睡眠中の呼吸が浅いと交感神経が優位になり、体が活発な状態になります。これが不眠を引き起こしやすくなる原因です。一方、呼吸が深いと副交感神経が優位になり、リラックスした状態が促進されるため、よりよく眠ることができます。

通常、日中は交感神経が優位で、夜は副交感神経が優位になります。しかし現代社会では、ストレスや緊張が常に存在し、夜も交感神経が優位になりがちです。これが呼吸を浅くし、不眠を引き起こす原因となることが多いのです。

また、中高年になると「若い頃はよく眠れていたのに、最近は眠れなくなった」と感じる人が増えます。これは、副交感神経の働きや呼吸機能の衰えが影響しています。特に副交感神経の機能は、60代になると20代の頃の1/4程度にまで低下するとも言われています。

厚生労働省の2022年の調査によると、日本人成人の約5人に1人、つまり20.6%が慢性的な不眠に悩んでいるとされています。

自律神経は、睡眠にとどまらず、免疫やホルモンバランスにも大きな影響を与えます。そのため、自律神経が乱れると、アトピーやリウマチ、膠原病などの自己免疫疾患、また頭痛や動悸、のぼせ、多汗、便秘、腰痛、肩こり、イライラ、不安、不眠といったさまざまな症状を引き起こすことがあります。こうした自律神経のバランスを整える方法として非常に効果的なのが「深い呼吸」です。

「深い呼吸」がもたらす影響

呼吸には2つの大切な役割があります。1つ目は、全身の約60兆個の細胞に酸素を供給し、それによって細胞が正常に働くように保つことです。2つ目は、細胞が活動する際に発生する二酸化炭素(CO₂)を適切に排出し、体液のpH(酸性とアルカリ性のバランス)を理想的な7.4(ややアルカリ性)に保つことです。pHが適切に保たれると、細胞への栄養供給や老廃物の排出がスムーズになり、細胞の機能や自然治癒力が高まります。このため、病気を防ぎやすくなるのです。

「深い呼吸」を行うことで、二酸化炭素の排出が適度に調整され、血液中のCO₂濃度がバランスよく保たれます。このおかげで血液のpHが理想的な7.4に近づき、健康を維持するために最適な状態が保たれるのです。深い呼吸を実践する方法としては、腹式呼吸やヨガの呼吸法などがありますが、これらは意識的に行うものです。しかし、睡眠中にこれを実践することは難しいため、睡眠中に自然に深い呼吸ができる状態を作ることが大切です。人は一生の約1/3を眠って過ごすと言われており、睡眠中にどれだけ深い呼吸ができるかが、健康にとって重要なポイントとなります。

呼吸は、横隔膜や肋間筋、斜角筋などの呼吸筋を使って胸郭を動かし、肺を活発に換気します。立っているときは胸郭が自由に動くため、呼吸が深くなりますが、仰向けになると枕やマットレスが背中や肋骨を押さえつけ、呼吸の動きが制限されることがあります。特に頸椎や胸郭に圧力がかかると、横隔膜や呼吸補助筋が十分に動けなくなり、呼吸が浅くなることがあります。

呼吸が浅くなる原因

高い枕も呼吸を弱める原因に!

不適切な枕の使用は、首の筋肉や頸椎に負担がかかり、呼吸が浅くなることがあります。枕が高いと頸椎への圧迫や気道の狭窄、首と頭の呼吸筋の機能障害を引き起こし、呼吸を妨げる可能性があります。適切な枕を選択し、正しい寝姿勢を保つことで、これらの問題を防ぐことができます。

自分の体に合った適切な寝具を選ぶことが、深い呼吸を促し、良質な睡眠につながります。眠りが浅いと感じている人や寝ても疲れが取れない人は、まず寝具選びを見直すことが最短にして最善の策かもしれません。

 

監修医師/高島雅之医師

日本睡眠学会総合専門医。たかしま耳鼻咽喉科・内科院長。

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