アームバランスでの手首の使い方|理学療法士に学ぶヨガのための解剖学

アームバランスでの手首の使い方|理学療法士に学ぶヨガのための解剖学
Shoko Mastuhashi

ヨガで体を痛めないためには、体の構造と機能を理解しておくことが大切。解剖学の観点から安全にアーサナを行う方法を、理学療法士でヨガインストラクターの中村尚人先生に教えていただきました。今回のテーマは、アームバランスでの正しい手首の使い方!

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アームバランスでの正しい手首の使い方

ヨガのアーサナでは手で体重を支持することも多く、手首を痛める人が少なくありません。普段、手首を反らせた状態で体重を支えるということがまずないからです。そもそも類人猿にとっての「手」は、体重を支えるというよりは木にぶら下がるためのものでした。バッグを握らず指に引っ掛けるようにして持てるのはそのためです。

正しい可動域で手首を使い、負担が軽減

では、アームバランスのポーズを負担なく行うにはどうしたらいいのでしょうか。それには正しい可動域で手首を使うことです。甲側に真っすぐ反るのではなく、親指側に少し回旋させて反らせる(背屈・橈とうく つ屈)のが正しい動かし方です。つまり、マットに手をおいたとき、中指ではなく人差し指が中央になる位置にします。こうすると、手首を反らせたとき親指側に回旋するので、体重がかかったときの手首の負担が軽減されます。

生まれながらに手首が硬い人もいる

ちなみに、骨格的に手首が硬くて90度以上反らせることができない人もいます。前腕の筋肉のストレッチをしても手首が曲がりにくい人は、ハンドスタンドで無理をしないようにしましょう。

キーマッスル「内在筋群(ないざいきんぐん)」とは?

手のひらの中にある深層筋群で、手のアーチをつくっている。この筋肉がしっかり働くと、手で床を押すポーズが安定する。

内在筋群
内在筋群/Illustration by Misako Nakagawa

アームバランスポーズ「バカーサナ」のキーマッスルを意識した練習法

手首を背屈・橈屈させ、10本の指でしっかり床を押し、手の付け根の骨に体重をのせてバランスをとろう。

バカーサナ
バカーサナ/Photo by Shoko Mastuhashi

 

STEP1:片脚のカカーサナで指の位置を意識

体重負荷が少ないポーズで手首を背屈・橈屈させる練習。人差し指を正面に向けて手をおき、体重をのせる。

片脚のカカーサナ
片脚のカカーサナ/Photo by Shoko Mastuhashi

 

STEP2:パリヴルッタバカーサナで床を押す

次はグリップの練習。体重をのせたとき前に倒れないように、指が白くなるくらいまでしっかり床を押す。

パリヴルッタバカーサナ
パリヴルッタバカーサナ/Photo by Shoko Mastuhashi

 

STEP3:ヴァシシュターサナで手根骨にのる最後

最後は手の付け根にある「手根骨」に体重をのせる練習。床の反力が得られ、ポーズが安定する。

ヴァシシュターサナ
ヴァシシュターサナ/Photo by Shoko Mastuhashi

 

教えてくれたのは...中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。UTLにて長年ヨガの解剖学の講師を担当。医療とボディーワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。「TAKT EIGHT」主宰。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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Photos by Shoko Mastuhashi
Text by Yasuko Ito
Illustrations by Misako Nakagawa
yoga Journal日本版Vol.53掲載

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バカーサナ
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