手の甲にブツブツが…似ているようで違う手湿疹と手白癬(てはくせん)の違いとは?医師が解説

 手の甲にブツブツが…似ているようで違う手湿疹と手白癬(てはくせん)の違いとは?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-11-29

日々の生活の中で、手の甲など痒くもないのに、ブツブツとした湿疹に気づくことがあります。手湿疹と手白癬は似たような症状が出る場合もよくあり、見分けるのは難しいものです。医師が解説します。

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手湿疹とは?

手湿疹とは、何らかの外的刺激やアレルゲンに接触することによって、手に生じる湿疹のことです。

基本的にはかゆみを伴う水疱や苔癬化など様々な形態の皮疹がみられる病気です。

手湿疹とは、皮膚の炎症によって生じる病変のことであり、代表的には、かゆみを伴う紅斑(こうはん)を生じ、続いて丘疹(きゅうしん)になり、丘疹は水疱や膿疱、びらんなどを形成して、さらに進行すると色素沈着を生じます。

手湿疹は、長期間の刺激やアレルゲン曝露によって引き起こされる皮膚炎であるため、特定の皮疹が見られるのではなく、多彩な皮疹が混在しているのが特徴的です。

手湿疹を治すには、原因となる外的刺激やアレルゲンを避けるとともに、湿疹に対する治療には主に外用薬と内服薬が用いられます。

特に、外用薬は皮膚の炎症を抑えるためのステロイド外用薬、皮膚を保湿するための保湿剤などが使用されます。

症状が改善しない際には、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。

手白癬とは?

手白癬とは、手のひら、指、指の間といった手の部位の毛がない部分に生じる白癬(白癬菌による感染症)のことです。

手に生じた白癬でも、爪に生じたものは爪白癬、毛がある部に生えるものは体部白癬として区別されます。

白癬は全身のさまざまな部位に発生しますが、足白癬(水虫)や爪白癬(爪水虫)が多くを占めており、手白癬は比較的まれな病気です。

主に、皮膚が柔らかく湿度が高い指の間から生じることが多く、症状に応じて指(趾)間型、小水疱型(汗疱型)、角化型の3つに分けられることもあります。

手白癬の発症原因としては、白癬菌(皮膚糸状菌)と呼ばれる真菌(カビ)の一種が感染することによって起こります。

手白癬では、手がかゆくなる、小さなブツブツができて皮がむける、ジュクジュクする、かさぶたができるなど様々な臨床所見を呈します。

手の爪の中に白癬菌が入り込むと、爪が白く濁る、あるいは分厚くなって爪水虫(爪白癬)に発展します。

手の水虫を治療しないで放置していたことや、治療を途中でやめてしまうことで、手についている白癬菌が、爪にうつることが主な原因と考えられます。

専門の皮膚科医でも、外表上の所見だけで診断することは難しいことがあるため、きちんと医療機関で検査して、適切な治療に繋げる必要があります。

手湿疹と手白癬の違い

手湿疹

手湿疹は皮膚科医が診療する頻度の高い疾患で、その発症原因を確定して、その原因との接触を断つことができれば根治できる疾患であるといわれています。

手湿疹は、何らかの外的刺激やアレルゲンに接触することで、手に生じる湿疹のことであり、接触皮膚炎の一種であり、手湿疹は女性に多いとされています。

この病気は、遺伝的な要因ではなく、女性のほうがこれらの仕事の場以外にも家事などで手の皮膚にさまざまな刺激を受けやすく、手湿疹は水仕事の多い家事を行う主婦にも多くみられることから、主婦湿疹と呼ばれる場合もあります

手湿疹
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主に、皮膚所見として、紅斑や丘疹など、さまざまな皮疹が認められるのが特徴のひとつであり、手湿疹は、慢性的な刺激や長期間アレルゲンに曝露されることで、接触性皮膚炎となり、炎症が慢性的に継続することで手の皮膚が厚くなって苔癬化を生じます。

手白癬

一方で、手白癬は症状に応じて3種類に分けられ、そのほとんどは角化型です。

指(趾)間型においては、赤みがかった湿疹(紅斑)や患部のジュクジュク、カサカサなどが指の間にみられますし、患部は指の間から指の腹や手のひらに広がり、小水疱型に移行します。

小水疱型(汗疱型)は、指(趾)間型から患部が広がった状態です。

通常、かゆみを伴う水ぶくれのような発疹ほっしんが生じますし、あせもに類似した皮膚のカサカサができることもあります。

角化型においては、強い炎症はなく、手のひら全体の皮膚が硬くなる症状(過角化)を主な症状とするタイプであり、特にしわの部分に角化と鱗屑りんせつ(皮膚の表層にある角質層がはがれた状態)が目立ちますが、一般的にかゆみ症状はほとんどみられません。

手の湿疹やかぶれ症状が悪化して痛みなどが悪化する、かゆみがひどくて患部をかきむしってしまう場合には、早急に医療機関を受診して適切な治療を実施することが重要です。

医療機関を受診する場合に、お勧めする主な受診診療科は、皮膚科です。

まとめ

日々の生活の中で、手の甲など体表部分がかゆくないのにもかかわらず、ブツブツとした皮疹に気づくことがあります。

皮膚疾患によってさまざまな症状がありますが、違う疾患なのに似たような症状が出る場合もよくあり、専門的な知識がないと見分けるのは難しいものです。

手湿疹と手白癬の両者においても、手の皮がむける症状が出るのは似ていますが、手湿疹はいわゆる手荒れで、手白癬はカビの一種が原因となり、それぞれ特徴的な所見や症状も若干異なります。

心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診して相談しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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