暑くない季節も水分補給が大切!秋冬の水分摂取の必要性と健康リスクを管理栄養士が解説

 暑くない季節も水分補給が大切!秋冬の水分摂取の必要性と健康リスクを管理栄養士が解説
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暑い夏が過ぎ、水分を摂る量が減っていませんか?水分不足は体調を崩す原因となるため、秋冬も意識して水分補給することが大切です。この記事では、秋冬の水分摂取の必要性と水分不足のリスクを管理栄養士が解説します。「夏に比べて水分を摂る量が減ったかも」という方は、水分補給の習慣を見直すきっかけにしてくださいね。

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秋冬の水分不足に注意!

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秋冬になると肌の乾燥が気になる方も多いでしょう。気温が下がると肌が乾燥するのは、湿度が低下して肌の水分が奪われやすくなるためです。

私たちの体は常に、尿や汗により多くの水分を体の外へ排出しています。実は、呼気に含まれる水蒸気や、肌や粘膜からの蒸発によっても水分が失われているのです。これらの自覚なく失われる水分は「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と呼ばれ、成人男性では1日約900mlの不感蒸泄が生じていると考えられています。

夏場は汗をかくため、水分が失われている実感がありますね。しかし、肌や粘膜から水分が蒸発する不感蒸泄は実感を伴いません。したがって、秋冬は気づかないうちに体内の水分が不足している可能性があります。 

2023年の東京都の平均湿度を見ると、7、8月は70%を超えています。ところが1、2月は55%程度であり、さらに20%まで下がることも。湿度が低下して空気が乾燥すると、不感蒸泄も増加することがわかっています。夏同様、秋冬も水分が失われやすい季節であるため、積極的な水分補給が必要です。

秋冬の水分不足のリスクとは

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体内の水分が不足すると、感染症や心筋梗塞のリスクが高まります。 

口と鼻は、感染症を引き起こす病原菌やウイルスの侵入経路です。しかし、鼻から喉にかけて広がる粘膜と、そこに生えたせん毛が病原菌やウイルスの体内への侵入を防いでいます。病原菌やウイルスは粘液に絡め取られ、せん毛の動きにより生じる粘液の流れで胃へ送り込まれて分解されたり、咳や痰として体の外へ排出されたりします。

ところが、乾燥しているとせん毛が正常に働きません。さらに体の水分が不足すると粘液も減り、病原菌やウイルスをスムーズに排除できなくなるため、感染症にかかりやすくなるでしょう。感染症予防には、こまめな水分補給で喉を潤すことが大切です。 

また、冬は心筋梗塞による心停止が増加する季節でもあります。心停止が増えるのは、気温差による血圧の変動や寒さによる血管の収縮とともに、水分不足も原因のひとつとされています。水分が不足すると血液の粘度が高まり、いわゆる「ドロドロ血液」になることで血管が詰まりやすくなるためです。

効果的な秋冬の水分摂取方法は?

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秋冬になると、感染症予防のためにマスクを着用する機会が増えるかもしれません。マスクを着用すると喉の乾燥は防げますが、喉が乾いたと感じにくくなります。さらに、マスクがこまめな水分補給の妨げになるため、水分摂取をより一層意識する必要があります。

一度にたくさんの水分を摂っても、体は一気に吸収できません。そのため、水分補給はコップ1杯200ml程度の量を1日数回に分けて飲むのがよいとされています。冷たい水は体が冷えるので、白湯や温めたミネラルウォーターを飲むのがおすすめです。体の中から温まると代謝アップ効果も期待できます。 

水分が失われやすいタイミングは就寝中と入浴中です。したがって、起床直後、入浴の前と後、就寝前は必ず水分を補いましょう。運動前後やお酒を飲んでいるときも十分に水分を摂取してください。とくに、年末年始はお酒を飲む機会が増える時期です。アルコールには利尿作用があるため、お酒と一緒に水も飲むように心掛けましょう。

また、水分を摂りながら加湿器を使用して湿度を高め、肌からの水分蒸発を抑えるのも有効です。 

秋冬は水分補給がおろそかになりやすい季節です。しかし、水分不足によるこの時期ならではのリスクがあるため、夏同様に十分な水分補給に努めましょう。

【参考文献】
環境省「健康のため水を飲もう講座」
気象庁「東京(東京都)2023年(月ごとの値)主な要素」
国立循環器病研究センター「冬場は心筋梗塞による心停止が増加」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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