60代女性の5人に1人が骨粗鬆症。骨の健康のために不足NGな〈3つの栄養素〉は|管理栄養士が解説

 60代女性の5人に1人が骨粗鬆症。骨の健康のために不足NGな〈3つの栄養素〉は|管理栄養士が解説
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骨粗鬆症が身近な病気であることをご存じですか。実は、60代女性の5人に1人、70代女性の3人に1人、80代女性の2人に1人が骨粗鬆症といわれています[1]。人生100年時代を元気に過ごすために、丈夫な骨は欠かせません。この記事では、骨の健康のために不足NGな栄養素3選を解説します。

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放っておくと危険!骨粗鬆症の恐ろしさとは?

骨粗鬆症とは、骨がもろくなって骨折しやすい状態のことをいいます。知らぬ間に進行する特徴があり、骨折することで、これまで当たり前のように過ごしていた日常から一変、寝たきり状態に転じてしまうこともあるため、注意が必要です[1]。手遅れになる前に骨粗鬆症の予防に意識を向けましょう。

骨粗鬆症は早期予防が命運を分ける!

骨粗鬆症の原因には、予防できるものとできないものがあります [1]。

予防できない原因:加齢、性、人種、家族歴、遅い初潮、早期閉経、過去の骨折など

予防できる原因:食事、運動、喫煙など

骨粗鬆症予防において予防できる原因を早期に取り除くことが大切です。日ごろの生活習慣を見直し、早期予防に努めましょう。

骨の健康のために不足NGな栄養素3選

骨粗鬆症を予防する上で欠かせない栄養素3選を解説します[1,2]。

カルシウム

骨の重要成分であるカルシウムを過不足なく摂取することが大切です。特に、日本人は多くの世代で半数以上の男女がカルシウム不足である可能性があるため、意識してとる必要があります[3]。カルシウムを多く含む食品には、牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品などがあります。間食としてチーズや小魚アーモンドをプラスする、日ごろの食事で野菜の小鉢や納豆、豆腐をプラスするなど、少しのプラスを積み重ねて、カルシウム不足を防ぎましょう。最近では、サプリメントなどでもカルシウムを補給できますが、とりすぎには注意が必要です。

ビタミンD

カルシウムの吸収を促進するビタミンDを過不足なく摂取することが大切です。ビタミンDを多く含む食品には、魚類、きのこ類などがあります。魚の頻度を増やす、汁物や炒め物にきのこをプラスするなど、日ごろの食事でビタミンD補給を心がけましょう。また、ビタミンDは、紫外線によって皮膚でも産生されるため、適度に外に出ることも効果的です。日に当たらない場合や、紫外線対策を徹底している場合には、サプリメントで補給する選択肢もありますが、たくさんとればよいというわけではありません。とりすぎることで健康障害を招くこともあるため、注意が必要です。

たんぱく質

実は、たんぱく質も骨の重要成分のひとつであることをご存じでしたか。たんぱく質を多く含む食品には、肉、魚、卵、豆、牛乳・乳製品などがあります。プロテインドリンクなどでも簡単に補給できますが、とりすぎることで健康障害を招くことがあるため、注意が必要です。どれかひとつの食品に偏らずに、さまざまな食品からを摂取するよう心がけましょう。 

骨粗鬆症
骨の健康のために不足NGな栄養素は「カルシウム」「ビタミンD」「たんぱく質」
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ポイントをおさえて骨の健康を守ろう

不足NG栄養素3選以外に、エネルギー不足による低体重や飲酒、運動不足、喫煙なども骨を弱める原因となります。手遅れになる前に、一日でも早く、人生100年時代を元気に過ごす土台作り、始めてみませんか。

【参考文献】(すべて2024年7月4日閲覧)

[1] 日本骨粗鬆症学会, 骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版

[2] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)

[3] 厚生労働省, 令和元年国民健康・栄養調査

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なかでかおる

なかでかおる

一人でも多くの方の心身の調子を整えるため、食と心の領域で活動中。学術修士では、食行動と動機づけに関する研究を実施。栄養疫学と健康心理学を軸に、食の領域では、特定保健指導やジムでの栄養指導、コラム執筆、研究補助等、心の領域では、コーチングセッションやコラム執筆、研究補助等を行う。



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