夏場が感染ピーク!夏の感染症「プール熱」意外と知らないその症状とうつさないための対策|医師が解説

 夏場が感染ピーク!夏の感染症「プール熱」意外と知らないその症状とうつさないための対策|医師が解説
Adobe Stock
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-07-28

プール熱はウイルス性の感染症であり、例年6月から8月の夏場にかけて流行がピークを迎えます。その症状や感染対策について、医師が解説します。

広告

プール熱とは?

プール熱(別名:咽頭結膜熱)とは、アデノウイルス3型、4型、7型などに感染することで、38℃以上の高熱、のどの痛み、結膜炎などの症状を引き起こす感染症のことです。

主に、保育所や幼稚園、小学校など集団生活をする子どもの間で夏場に流行することが多く、特にプールでの接触などによって感染が広がることが多いために、「プール熱」と呼ばれています。

プール熱の原因ウイルスであるアデノウイルスは、主に飛沫感染と接触感染を引き起こすことが分かっていますし、夏場のプールで、ウイルスに汚染された水が目の結膜に入ることにより感染する場合もあります。

プール熱の代表的な症状と子供からうつさない対策とは?

プール熱は、原因となるアデノウイルスに感染してから1週間程度の潜伏期間を経て、38~39℃の発熱、のどの痛み、結膜炎(目の充血)を発症するのが特徴です。

一般的に、結膜炎は感染が生じた片方の結膜のみに発症しますが、1~2日ほどでもう片方の目にもウイルスが感染して症状が現れて、目の充血、目の痛み、目のまぶしさ、眼脂などの症状が強く出現します。

それ以外にも、頭痛や食欲不振、倦怠感、頸部リンパ節腫脹などの症状を伴うこともあります。

プール熱の原因となるアデノウイルスに対する抗ウイルス薬は現実的には存在しないため、例えば、発熱に対する解熱剤、のどの痛みに対する鎮痛剤、目の渇きや充血に対する点眼薬などを含めた対症療法が主流となります。

ほとんどのケースでは、プール熱は3~5日前後で自然に改善し、後遺症を残すことはほぼありませんが、新生児が感染すると重症化するといわれています。

プール熱の原因となるアデノウイルスは、飛沫感染や接触感染によって感染が拡がるため、飛沫感染を防ぐには、感染者との密接な接触を避けてマスクを着用することが重要です。

また、接触感染は手洗いや手指消毒を徹底すること、タオルや寝具などの共用を避けること、ウイルスが付着している部位をきれいに消毒することが有用です。

まとめ

これまで、夏に気をつけたい感染症「プール熱」は大人もかかるのか、その代表的な症状と子供からうつさない対策などを中心に解説してきました。

プール熱は、「アデノウイルス」によるウイルス性の感染症であり、例年6月から8月の夏場にかけて流行がピークを迎えますので、疾患の特徴や注意点を確認して、確実に感染対策を実施することが重要です。

プール熱の代表的な症状としては、咽頭炎(のどの痛み)、結膜炎(目の充血)、39℃前後の発熱が数日から1週間続く、頭痛、食欲不振などが挙げられます。

アデノウイルスに対する特効薬はありませんが、のどの痛みにはうがいや鎮痛薬、眼脂や結膜炎に対しては、抗生剤やステロイドの点眼薬を使用します。

感染症に伴う症状が長引く、あるいは悪化すれば、最寄りの内科などを受診しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

広告

AUTHOR

甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



RELATED関連記事