人にうつるイボとうつらないイボ、何が違う?「たかがイボ」と放置してはいけない理由とは|医師が解説

 人にうつるイボとうつらないイボ、何が違う?「たかがイボ」と放置してはいけない理由とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-03-29

イボには複数の種類があることをご存知でしょうか イボにはウイルス性のものもあり、他の方に感染する可能性もありますし、他の部位に飛び火して広がる可能性もあります。だからこそ、できたイボの原因が何なのか知らなければいけません。また、皮膚科など専門医療機関にかかる必要があるのかも理解しておく必要があります。医師が解説します。

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人にうつるイボとは

人にうつる可能性があるイボの原因となるウイルスは「ヒトパピローマウイルス(略称:HPV)」、「伝染性軟属腫ウイルス」の2つです。

HPVというと子宮頸がんの原因として知られていますが、子宮頸がんの原因となるHPVとは異なる型のウイルスであり、HPVが原因のイボは様々な場所にできて、主に手指・顔・腕・外陰部・肛門が代表的です。皮膚に小さな傷ができることで感染し、部位によって異なる形のイボを作りだします。

もう1つのウイルスである伝染性軟属腫ウイルスは、主にアトピー性皮膚炎の子供にできることの多いウイルスです。軽度の痒みがあるため、子供が掻いてしまい周りの皮膚にうつってしまう可能性があり、感染源はプールである場合が多いです。

HPVが原因のイボは、さらにそれぞれ異なる形のイボを作り出します。

例えば、HPVのイボで代表的なのが、「尋常性疣贅」であり、ほとんど自覚症状がなく、手足の指に多くみられます。

伝染性軟属腫ウイルスによってできるイボは、いわゆる「水イボ」と呼ばれており、中に白い塊が入っているように見えるのが特徴です。

人にうつらないイボとは

イボとは、皮膚の一部がぷっくりと盛り上がった小さなできもののことを指していて、ニキビや発疹などとは違い、芯がなく、引っ掻いても硬く取れそうにないのが特徴です。

イボは、ニキビや発疹とは違い、さまざまな種類があり、その中にはほくろのようなイボもあり、見ただけでは一見イボだと判断できないものもあります。イボ自体には、特にかゆみはなく、視認か触診で判明することが多いです。

人にうつらないイボの原因には、ウイルス性以外にも老化や紫外線があります。老化・紫外線によるイボは、「老人性イボ」と呼ばれていて、中年時期以降にシミと混ざってできることが多いです。老人性イボはシミと一緒にできることが多くなっていて、指でこするとぽろぽろと取れることもあります。

紫外線が原因で起こる「スキンタッグ」は、他のイボと違って米粒状の細長いイボであり、首の筋に沿ってできやすいため、「首イボ」とも表現されることがあります。

スキンタッグ
紫外線が原因で起こるスキンタッグは、人にうつらないイボのひとつ。photo by Adobe Stock

人にうつるイボとうつらないイボの違いは?

人に感染してうつるかどうかは、イボの種類によって違います。

HPV由来のイボの場合、ほとんどが直接接触による感染です。感染力自体はそれほど強くないため、過度に気をつける必要はありませんが、念のためプールや銭湯などの公共施設を使用するのは避けたほうが良いでしょう。

また、家族に感染させないためには傷ができたら絆創膏を貼るなどの予防をしましょう。

伝染性軟属腫ウイルスの場合はプールからの感染が多いため、もし伝染性軟属腫ウイルス由来のイボができている場合はプールを避けるようにしてください。

「シミと一緒にできる」「米粒状である」のどちらかの特徴ではない場合のイボは、ウイルス性のイボであることが多く、できるだけ皮膚科を受診するようにしてください。

見た目でわかりやすいのは水イボであり、イボのひとつひとつが小さく、ぽつぽつとできているように見えますし、比較的イボのできる範囲が広いのも特徴です。

市販薬で治療をすると逆にイボが大きくなる可能性がありますし、放置すると他の部位にも広がる可能性も懸念されるため、できる限り皮膚科を受診するようにしてください。

一方で、紫外線・老化による老人性イボの場合は、ウイルス由来ではないため基本的には感染せずに人にうつりません。老人性イボは、皮膚に茶色または黒色の少し盛り上がったできものがみられる病気であり、紫外線の影響や皮膚の老化が原因と考えられており、高齢者にみられることが多いです。

老人性イボの場合、できものは色調、大きさ、形状などが人によって異なり、通常の皮膚の色に近いものや黒色に近いもの、数mm程度の小さなものから数cmの大きなもの、少し盛り上がる程度のものからしこり状に飛び出たものまでさまざまです。

外表上の問題以外には健康に害を及ぼすものではありませんが、悪性黒色腫などの悪性の病気と判別が難しいこともあるため、必要に応じて医療機関での診断が必要になります。

まとめ

これまで、人にうつるイボとうつらないイボの違いなどを中心に解説してきました。

たかがイボと放置していると、身体のあちこちに広がり、大きくなって日常生活に支障が出たりすることもあります。

また、家族に感染させてしまう可能性もあるため、できるだけ専門医療機関である皮膚科を受診することを推奨します。

症状を放置するとイボの数が増える、あるいは身体の他の部位に広がる可能性があります。根気よく通院して適切に治療を受けるようにしましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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