頭皮にできるイボの正体とは?とったほうがいい?放置してもOK?医師が解説

 頭皮にできるイボの正体とは?とったほうがいい?放置してもOK?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-12-27

脂漏性角化症について医師が解説します。

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頭皮にできるイボの正体とは?

一般的に、皮膚の盛り上がりを「イボ」と称しますが、その種類はさまざまであり、ほくろや粉瘤、あるいはウイルス性のものもあります。ウイルス性のイボのなかで代表的なものが、「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」と言われる手足にできるイボ、あるいは小児に多く見られる「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」などが挙げられます。特に、頭皮など全身にできるイボの正体は、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)である可能性があります。

脂漏性角化症は、「老人性イボ」とも呼ばれるように、皮膚の老化現象によって生じる褐色~黒色の良性腫瘍であり、いわゆる老人性色素斑(シミ)とは異なります。脂漏性角化症の場合、皮膚に茶色または黒色の少し盛り上がったできものがみられるのが特徴であり、ほとんどの場合、痛みやかゆみなどの症状はありません。この病気は、紫外線の影響や皮膚の老化が原因と考えられており、主に40歳以降から高齢者に至るまでに認められることが多いため、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)とも呼ばれています。

脂漏性角化症の原因は、明確に分かっていませんが、加齢によって起こりやすく、皮膚の老化現象によってできる良性腫瘍です。具体的なイボのサイズや個数、発症部位など、個人差が大きいことから、遺伝的な要因があるとも考えられています。また、日常的に紫外線に当たっている場合には、20代など若い頃から発症することもあり、脂漏性角化症が顔、頭部、首筋、手足など、紫外線によく当たる場所に好発することから、紫外線も発症要因のひとつとされています。

老人性いぼ
顔、頭部、首筋、手足など、紫外線によく当たる場所に好発することから、紫外線も発症要因のひとつとされている。photo by Adobe Stock

脂漏性角化症は、とったほうがいい?放置してもOK?

脂漏性角化症は、原則的に良性の病気であり、必ずしも治療を要するものではありませんが、自然に消滅することはまずなく、年齢を重ねるにつれてイボが増えていく傾向があります。脂漏性角化症では、痛みやかゆみなどの症状がほとんどないため、放置していても特に問題はありませんが、自然に消えることがなく、顔など目立つところに発症しやすいことから、美容的に病変部の除去を希望される場合が多いといわれています。

イボの特性を判断して、万が一悪性の病気が疑われる場合は、病理組織検査のために手術で切除することもありますが、外表から悪性でないことが顕著な場合には、美容の点で気になる場合において、凍結療法、レーザー治療、電気外科的治療などの専門治療を実施します。凍結療法では、液体窒素などを用いて病変を凍結させ、1~2週程度で自然と剥がれ落ちるのを期待する治療法であり、通常は数回の処置が必要になりますし、切除手術を行う場合でも、局所麻酔を用いた日帰り手術で治療可能なことが多いでしょう。どの治療を行うかは、基本的には患者の希望に応じて主治医との相談で決められますが、無麻酔で治療可能な凍結療法が行われることが多い現状があります。

イボの種類が異なれば治療法が異なり、さらに「できもの」の中には悪性のものもあるため、いずれにしても治療選択には専門医師の判断が重要です。

まとめ

これまで、頭皮にできるイボの正体、脂漏性角化症は切除したほうがいいのか、あるいは放置しても大丈夫かなどを中心に解説してきました。

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)(別名:老人性いぼ)は、早ければ30歳代から、主には40歳以降に出現し、80歳以上の高齢者ではほぼ全ての人に現れるともいわれているように、加齢とともに増加する皮膚の良性腫瘍です。

脂漏性角化症は、紫外線が発症に関わっていると考えられていることから、予防のためには日焼け止めなどで紫外線を防ぐことが大切です。基本的には、脂漏性角化症は治療の必要はありませんが、見た目の問題から治療して切除したいと考える際には、皮膚科や形成外科など専門医療機関を受診して相談しましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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