新学期に不安を感じるわが子にできることは?現役スクールカウンセラーが解説

 新学期に不安を感じるわが子にできることは?現役スクールカウンセラーが解説
Adobe Stock
南 舞
南 舞
2024-04-01

入園、入学、進級など、春は子どもたちを取り巻く環境が激変する季節。筆者はスクールカウンセラーをしていることもあり、この時期は『新学期に向けてナーバスになっているわが子に対して、親としてどんなことができるのでしょうか?』と言った相談を受けることも多いです。そこで、新学期を目の前にお子さんが不安に思うこと、それに対して親御さんができることを心の専門家、臨床心理士が解説します。

広告

子どもたちが新学期に向けて感じる不安とは?

新しい学校に行く、新しいクラスになるなど、新しい環境を目の前に、ワクワクしているお子さんばかりでなく、ナーバスになっているお子さんも意外と多いものです。お子さんによって不安や緊張になる要素は様々ですが、以下のようなことで悩むお子さんが多いようです。

□新しいクラスの友達や先生とうまくやっていけるのかという不安

□慣れない場所への緊張

□春休みでゆっくり過ごせていた時間が終わる寂しさ

□イレギュラーなことが起きてしまうことへの懸念

□自分の時間が持てなくなることへの抵抗

□集団行動の苦手さ

□勉強についていけるのかという不安

『これが不安』という不安の要因がはっきりしている場合もあれば、いくつか複合している場合もあります。いずれにしても、お子さんの悩みに合わせた対応をしていくことで不安を和らげた状態で新学期を迎えることができるかもしれません。そこで、新学期を前にご家庭で取り組めそうなことをいくつかご紹介します。

子どもの不安や緊張を和らげるのに役立つ方法とは?

どんなことが不安なのかとその理由を聞く

お子さんによっては、どんなことで不安になっているのかを言葉にすることができる場合があります。その場合は、不安を感じていることやその理由について聞いてみましょう。もし言葉にするのが難しい場合は、『こういうことかな?』と噛み砕いてあげる、あるいは無理して明らかにしようとせずに『何となく不安なんだね』と不安な気持ちを認めてあげましょう。不安の正体が分からなくても、親御さんが自分の感じている不安を理解しようとしてくれたという体験をさせてあげることが安心感につながったりするものです。

登校・登園のリハーサルをする

新しい場所に慣れるのに時間がかかり、不安を感じやすいお子さんの場合は、事前に登校・登園する道を確認するのも有効です。『こうやって行くんだ』とか『ここで過ごすんだ』というイメージを持つことができると安心感に繋がります。また『お父さんやお母さんと一緒にこんな話をしたな』という体験を思い出すことがお子さんにとってお守りがわりになり、頑張ろうという気持ちを喚起させることができます。

事前に学校や園に情報を提供する

『こんなことが不安になっている、なぜ不安になってしまうのか、どんなことをすると不安が軽減するのか』といった情報を事前に学校や園に共有しておくのもおすすめです。事前に伝えておくことで学校や園としてもサポートしやすくなりますし、その後、学校や園からお子さんの様子を聞いて、家庭でのサポートに生かしやすくなると思います。

1日のスケジュールの見通しを持たせる

新学期になると時間割りなどが分かると思いますので、『この曜日はこんな流れだね』とか『この時間に着替えるんだよ』など、1日のスケジュールを一緒に確認し、見通しを持たせてあげると良いです。学年が上がるにつれて授業の時間が増え、それが憂鬱だというお子さんも少なくないので、授業の時間が長かった日には好きなことをする時間を長めに設定するなど、モチベーションを保つ工夫をしてあげるとなお良いと思います。

学校や園で困った時の対処法を準備しておく

『分からなければ先生や友達に聞きなさい!』というのは、なかなかハードルが高いことだったりします。例えば、先生にSOSを出すサインを決めておく、分からなかったことをノートやワークの端っこに書いておく、担任の先生意外に相談できる大人の存在を確認するなど、困った時に対処する方法を事前に確認しておきましょう。

変わらない環境や無理しない機会を用意する

新しい環境の中で過ごしていくというのは、とてもエネルギーのいることですよね。エネルギー不足にならないために、充電する機会を確保することも心がけましょう。例えば、環境に慣れるまでは新しい習い事をしない、疲れているようだったり、本人が希望する場合は習い事を休ませるなど、自分にとって変化がない環境があること、無理をせずにゆっくりできる機会があるというのは、お子さんにとって安心材料になります。

困った時は周囲を頼って

新しい環境に対して起こる不安は、残念ながら完全に取り除くことはできません。でも、お子さんと話をして準備をすることで、不安を軽減し、安心の環境を作ることはできます。とはいえ、家庭の中だけでは難しいこともあると思いますので、そんな時こそ担任の先生とこまめに情報共有してみる、あるいはスクールカウンセラーなどの専門家に相談してみましょう。お子さんのためにどんなサポートができるかを一緒に考えていくことができます。お子さんが少しでも安心して新しい環境に慣れていけるようお祈りしています。

広告

AUTHOR

南 舞

南 舞

公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。



RELATED関連記事