生のトマトとトマト缶、栄養に違いはある?加熱した場合は?管理栄養士が解説

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トマトは食卓や外食でよく目にする、身近な野菜のひとつです。生のトマトをサラダにして食べる以外に、トマト缶を使ってパスタソースや煮込み料理を作ることもありますよね。生のトマトとトマト缶、栄養価に違いがあるのか気になりませんか?そこでこの記事では、管理栄養士が生のトマトとトマト缶の栄養の違いを解説します。トマトの栄養を効率よく摂りたい方は必見です!

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生のトマトとトマト缶の違い

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サラダなどでよく見かける生のトマトと、煮込み料理などに使われるトマト缶。どちらも同じトマトですが、実は品種が違います。

そのまま食べることが多い生のトマトはピンク系(桃系)と呼ばれます。一方、トマト缶に使われるのは赤系といわれるものです。 

ピンク系トマトは皮が薄くて果肉がやわらかいため、生食に向いています。トマトには、収穫されたあとも熟成が進み、甘みが増す性質があります。店頭に並ぶときに食べごろになるように、ピンク系トマトは完熟する前に収穫されるのが一般的です。

缶詰に使われる赤系トマトは、畑で真っ赤に完熟してから収穫されます。そのため酸味がありますが、味は濃厚でうまみもたっぷり。加熱するとさらに味わい深くなること、また果肉が厚いことから、煮込んで調理されることが多いトマト缶には赤系トマトがぴったりなのです。

栄養価が高いのは?

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次は、生のトマトとトマト缶の栄養を比べてみましょう。

100g当たりの栄養 トマト     ホールトマト缶
エネルギー(kcal) 20 21
たんぱく質(g) 0.7 0.9
脂質(g) 0.1 0.2
糖質(g) 3.7 3.1
食物繊維(g) 1.0 1.3
カリウム(mg) 210 240
ビタミンE(mg) 0.9 1.2
ビタミンC(mg) 15 10
βカロテン(μg) 540 570


缶詰を製造する際、加熱工程により凝縮されるため、トマト缶のほうが栄養価は若干高めです。しかし加熱により失われてしまうビタミンCは、生のトマトのほうが多く含まれています。 

トマトはリコピンが豊富なことで知られていますね。リコピンはトマトの赤色に含まれる色素成分であり、抗酸化作用による健康効果があることで注目されています。リコピンが多いのは、トマト缶といわれています。

缶詰に使われるトマトの多くはイタリア産です。イタリアは地中海気候に属する地域であり、トマトが育つ夏は降水量が少なく、強い日差しが照りつけて気温も上昇します。厳しい気候から自分の身を守るために、トマトは抗酸化物質であるリコピンを大量に作るのです。トマト缶に含まれるリコピンの量は、生のトマトの約3倍といわれています。 

リコピンが持つ抗酸化作用とは、体に有害な活性酸素を除去する働きのこと。老化や動脈硬化を防ぎ、生活習慣病を予防する効果が期待できます。またトマト缶には、同じ抗酸化作用を持つビタミンEβカロテンも多く含まれます。効率的に栄養を摂取するなら、トマト缶の利用を検討しましょう。

リコピンの吸収率を高めるには?

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トマトに豊富なリコピンは、加熱すると体への吸収率が高まるとされています。

色素成分であるリコピンが存在するのは、トマトの細胞内です。加熱すると、細胞を包む細胞壁が壊れてリコピンが流出するため、吸収率がアップするのです。 

トマト缶は、缶詰に加工する過程ですでに加熱処理されています。さらに煮込んで調理すると、リコピンはより吸収しやすくなるでしょう。トマトを生で食べるよりも、缶詰を利用したほうがリコピンの吸収率は2〜3倍もアップすることがわかっています。

リコピンは脂質と相性がよい成分なので、油を使って調理すると吸収率はさらに高まります。 

生のトマトはみずみずしい味わいを楽しめることが魅力です。しかしリコピンなどの栄養素を効率よく摂るなら、トマト缶をおすすめします。缶詰は長期間保存できることもメリットです。家庭にトマト缶を常備して料理に活用し、健康増進に役立てましょう。

【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
カゴメ「オススメは朝or夜?トマトの栄養リコピンを効率良く摂る方法」
一般社団法人 全国トマト工業会 「トマトの栄養/トマトのちょっといい話」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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