風邪じゃない、熱のでないインフルエンザがある?医師が教える「隠れインフルエンザ」の見分け方

 風邪じゃない、熱のでないインフルエンザがある?医師が教える「隠れインフルエンザ」の見分け方
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-01-02

通常のインフルエンザに比べて症状の軽いインフルエンザについて医師が解説します。

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一般的なインフルエンザとはどのような病気か

インフルエンザといえば、高熱や寒気、全身の関節痛といった症状が一般的です。

いわゆる世間で言うインフルエンザ(英語表記:influenza)とは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる気道感染症であり、いまだ現代においても人類にとって最大級に注意を払う必要がある疫病と考えられています。

インフルエンザウイルスは主にA型、B型、C型の3種類に大別されており、人どうしで感染しやすく流行的な広がりを起こすタイプはA型とB型のウイルスであると考えられています。インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染したことで発症することが知られており、その感染する経路としてはインフルエンザ感染者のくしゃみや咳から発出される飛沫内容物に含まれているウイルスを吸い込むことでうつる飛沫感染が挙げられます。また、ウイルスが付着している人の手指や物体に触れることで感染が伝播される形式である接触感染によってもインフルエンザウイルス感染症が成立すると考えられています。

インフルエンザ
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熱のでないインフルエンザとは

毎年、冬になると猛威を振い始めるインフルエンザ。インフルエンザの症状といえば、高熱を思い浮かべる人も多いと思いますが、実際には、高熱の出ない「隠れインフルエンザ」と呼ばれる症状が出ることも少なくありません。すべてのインフルエンザ感染症が重い症状をもたらすわけではなく、風邪症候群とほぼ変わらない場合もあり、なかには自分がインフルエンザに感染したことに気づかない人もいます。隠れインフルエンザの状態は、自分でも気づかないうちに周囲に感染を伝播してしまうため注意が必要であり、早い段階で自分がインフルエンザに罹患していることに気づき、適切な対処をすることが重要です。

38度以上の高熱が出るのが通常のインフルエンザ感染例のイメージですが、隠れインフルエンザ例の特徴として、通常のインフルエンザと比べて症状が軽い点が挙げられます。隠れインフルエンザの場合は、微熱、あるいは平熱の場合がほとんどであり、激しい咳や鼻汁などの症状に苦しむこともなく、風邪や花粉症と見分けがつかないこともしばしば見受けられるため、ただの風邪と勘違いして症状を放置する方も少なくありません。

通常例と熱のでないインフルエンザとの見分け方は?

この隠れインフルエンザは、症状が弱く風邪と区別がつきにくいのが厄介な点であり、自分でも気づかないうちに、周囲へ感染させる、あるいは感染症の症状が重症化することもあります。「隠れインフルエンザ」といわれるタイプは、主にB型インフルエンザが多いといわれていて、熱が低く、咳や鼻の症状が出現しないかわりに嘔吐や下痢などの消化器症状を伴うことが見受けられます。最終的には、患者さんの症状の訴え、家庭内感染を含めて周囲の流行具合、診察所見や検査結果などを総合的に評価して、通常のインフルエンザか、あるいは隠れインフルエンザ等と診断されます。

まとめ

これまで、一般的なインフルエンザとはどのような病気か、熱のでないインフルエンザとの見分け方などを中心に解説してきました。

インフルエンザの典型的な症状は、急に38℃以上の高熱が出て、喉や関節部が痛み、悪寒や寒気がするというものが多いです。通常のインフルエンザ例では、風邪症候群よりも症状の現れ方が急激で、症状が重いのが特徴的ですが、意外なことに軽い症状で高熱が出ない隠れインフルエンザの場合も少なくありません。微熱や鼻汁が少し認める程度の症状であっても、いざ検査をしてみたらインフルエンザが陽性だったという例もあり、軽症でも周囲の人に感染を伝播してしまうリスクはあるので、改めて普段から手洗いやうがい、咳エチケットなどを心がけましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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