インフルエンザ大流行の兆し|風邪や新型コロナと何が違う?どう対処する?薬剤師が解説

 インフルエンザ大流行の兆し|風邪や新型コロナと何が違う?どう対処する?薬剤師が解説
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全国各地でインフルエンザの感染が、例年にない早さで拡大しています。この秋冬シーズンは、インフルエンザの大流行や新型コロナとの同時流行も懸念されており、厳重な警戒が必要です。この記事では、インフルエンザについて風邪や新型コロナとの違いや対処法などを解説します。

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インフルエンザとは?

インフルエンザは、人がインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。毎年11月~3月頃、冬の時期に流行することが多いので、「季節性インフルエンザ」とも呼ばれます。

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3つのタイプがあり、大きな流行の原因となるのはA型とB型です。特にA型は144種類あり、毎年少しずつ小さな変異を繰り返して流行します。

「今年はA香港型がはやる」とか「去年はAソ連型が流行した」という話を聞いたことがあると思います。その年によって、タイプの異なるウイルスが出現するため、それまでに得た免疫が効かないことが多く、毎年のように流行が起こるのです。

インフルエンザ、風邪、新型コロナの違いとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって起こります。一方、風邪は、アデノウイルスやコクサッキーウイルスなど、200種類以上のさまざまなウイルスの感染によって起こります。

また、2019年から世界中で大流行した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、コロナウイルス2(SARS-CoV-2)というウイルスに感染することによって起こります。

インフルエンザ、風邪、新型コロナは、それぞれ感染したウイルスの違いによって分けられ、症状や重症化リスクなどが異なります。

インフルエンザの症状の特徴

インフルエンザは、普通の風邪よりも強い症状が、比較的急速に出ることが多く、次のような症状が1週間程度続くのが特徴です。

インフルエンザ

・ 38~39度以上の高熱
・ 強い倦怠感
・ 筋肉痛・関節痛
・ 激しい頭痛
・ 強い悪寒

一方、風邪の場合は、のどの痛みや腫れ、鼻水、鼻づまり、せき、たんなど、比較的症状が軽く、安静にしていれば、4~5日程度で回復するケースが多いといえます。

また、新型コロナの場合は、ひきはじめはせきや発熱などが見られ、比較的ゆるやかに微熱、せき、関節痛や筋肉痛、頭重感、倦怠感、味覚・嗅覚の異常を感じる、といった症状が続いたあと、急に重症化して肺炎を合併するなど、入院が必要となるケースもあります。

軽症の場合は1週間程度で回復しますが、肺炎に進展した人の何割かは、集中治療や人工呼吸が必要となる場合もあります。

もし、インフルエンザに罹ったら?

インフルエンザは感染力が非常に強く、毎年11月~3月にかけて流行します。とくに2023/2024年のシーズンは例年にない早さで感染が拡大しており、大流行する恐れも指摘されています。

もし、38度以上の高熱が出るなど、インフルエンザと思われる症状が起こったら、早めに医療機関を受診してください。感染後48時間以内であれば、インフルエンザウイルスの増殖を抑える「抗インフルエンザ治療薬」の効果が期待できます。

なお、今シーズン(2023年10月~2024年3月)のインフルエンザ治療薬の供給予定量(2023年8月末日現在)は約2,145万人分で、昨シーズン(2022年10月~2023年3月)の供給量、約387万人を大きく超え、大流行への備えが進められています。

・ タミフル(中外製薬) 約331万人分
・ リレンザ(グラクソ・スミスクライン) 約197万人分
・ ラピアクタ(塩野義製薬) 約13万人分
・ イナビル(第一三共) 約1,008万人分
・ ゾフルーザ(塩野義製薬) 約356万人分    
・ オセルタミビル(沢井製薬) 約240万人分

また、多くの医療機関では、インフルエンザか別の病気かを短時間で診断する「迅速診断キット」が普及しています。インフルエンザと診断されれば、抗ウイルス薬を使用し、早く治療することができます。

インフルエンザに罹ったときの対処法

インフルエンザに罹った場合は、次のような対処をすると良いでしょう。

①十分な休養をとる

インフルエンザと診断されたら、安静にして十分な休養をとりましょう。体の中ではインフルエンザウイルスを倒すため、体中の免疫機能をフル活動させていますので、その活動に集中できるよう他の活動は可能な限り避けてください。できれば熱が下がるまで、必要最小限の活動(トイレや食事)以外は寝ていることが望ましいです。

②高熱への対処

発熱は体の免疫がウイルスと闘っているために起こる自然な反応です。ですから、無理に熱を下げるとウイルスが排除されず、回復が遅れることがあります。

ただし、高熱(38度以上)が続いて、食事や水分が十分に取れない場合は、脱水の危険も出てきます。また、体力が必要以上に奪われ免疫力が落ちている恐れもあるため、医師に処方された解熱剤を使うようにしてください。市販の解熱剤を使用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

解熱剤を使う以外に「クーリング」も効果的です。脇の下や足の付け根には太い動脈が通っているので、その部分を保冷剤や氷水などで冷やすと解熱効果が期待できます。

③水分・栄養分の補給

熱が高い場合、いつもより多くの水分が体の外に出てしまうため、こまめな水分補給が必要です。お茶や水だけでは体に必要なミネラル分が摂れませんので、スポーツドリンクや経口補水液で水分を補給したほうが良いでしょう。

また、食事は食べられる時に食べられる物を口にするようにしてください。口当たりの良いゼリーやプリン、アイスクリーム、うどんやお粥など、食べやすいものなら何でも構いません。無理をする必要はありませんが、体力を落とさないためにもできる範囲で食事を摂るようにしてください。

なお、どうしても口から水分や栄養分が補給できない場合は、医療機関で点滴を受ける方法もあります。とくに乳幼児や高齢者の場合は脱水を起こしやすいので、半日以上何も口にできない、あるいは口にしても吐いたり下痢をしたりする場合は、すぐに受診しましょう。

④室内の保温・保湿

インフルエンザウイルスは“低温・低湿度”の環境で増えやすくなります。そのため、できるだけ室温を20~25℃、湿度を50~60%程度に保つようにしましょう。また、1~2時間に1回程度は換気することも大切です。また、口の中やのどの乾燥を防ぐために、マスクの着用も効果的です。

⑤外出を控える

インフルエンザの発症後3~7日間は、体内からウイルスが排出されています。そのため、熱が下がったからといってすぐに人の集まる場所に行くと、その人が感染源となって新たな感染を起こしてしまいます。

最低でも解熱後2日間は自宅で様子を見て、その後外出する際にはマスクをして他人にうつさないよう気をつけましょう。

インフルエンザワクチンの接種を!

ワクチンの接種はインフルエンザの予防に有効です。65歳未満の発病予防効果は70~90%、65歳以上では60%程度(接種した人の3分の2)といわれています。ワクチンを接種することで死亡率を少なくし、万一、罹っても軽く済んで早く回復する効果があります。

とくに高齢者や糖尿病などの基礎疾患のある人はインフルエンザに罹ると重症化したり、命の危険に関わることもあるため早めのワクチン接種をおすすめします。

まとめ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、普通の風邪や新型コロナウイルス感染症とは、病原体や症状が異なります。とくに今シーズンは、すでに大流行の兆しが見られるため、予防接種を受ける、人混みを避けるなど、厳重な警戒が必要です。

<参考文献>
厚生労働省 「令和5年度 今シーズンのインフルエンザ総合対策について」
国立感染症研究所 「コロナウイルスとは」

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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