体に異変が起きているサイン?口内炎が起こる原因と市販の治療薬の使い方|薬剤師が解説

 体に異変が起きているサイン?口内炎が起こる原因と市販の治療薬の使い方|薬剤師が解説
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「口内炎ができて痛い」「食べ物や飲み物がしみて食事を楽しめない」といった悩みをお持ちではありませんか? 「口内炎」と一括りに呼ばれているものの、実際にはいくつかの種類があり、症状や原因が異なります。この記事では、口内炎の種類別の原因や症状、市販の治療薬の使い方などを解説します。

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口内炎とは?

口内炎は、口内の粘膜に起こる炎症の総称です。ほほや唇の裏の粘膜、のど、舌など口内のあらゆる粘膜にでき、何度も再発を繰り返すため、痛みや不快感からQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を低下させる厄介な病気です。

口内炎が起こる原因は?……口内炎の種類によって原因や症状が異なる

口内炎
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口内炎は、外的刺激、ウイルスや菌の感染など、原因によって種類や症状が異なります。おもな口内炎の種類には、次のようなものがあげられます。

アフタ性口内炎

口内炎の中で最も多いのが、アフタ性口内炎で赤く縁取られた円形の小さな浅い潰瘍(アフタ)ができて痛みます。口内全体のあらゆる部位にでき、何度も再発を繰り返します。明確な原因は不明ですが、疲労やストレスの蓄積で免疫力が低下したときに起こりやすいといえます。

外傷性口内炎

外傷性口内炎は、口内を嚙む、やけどをする、入れ歯の不具合などの外的刺激が原因で起こります。粘膜に傷がつくと、そこに細菌が繁殖して炎症が起こり、カタル(粘膜の表層の炎症)、びらん、潰瘍などの症状が起こります。とくに舌の縁にできやすいのが特徴です。

ヘルペス性口内炎

ヘルペス性口内炎は、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染が原因です。HSVは成人の7割が感染しているといわれますが、口内炎を発症するのはその1割程度です。

ヘルペス性口内炎は、幼児に多く見られ、乳幼児期に感染すると体に残り、大人になってから再発することがあります。症状は、口の粘膜上の水疱や、歯茎の炎症、発熱などで、免疫が低下している時に発症しやすいといえます。

カンジタ性口内炎

カンジダ性口内炎は、真菌(カビ)の一種である「カンジダ」が増殖することで発症します。カンジダは皮膚や口の中にある常在菌ですが、免疫力の低下をきっかけに、ほかの常在菌よりも優位になることで発症します。また、唾液の分泌の低下により、口内の殺菌作用が低下すると菌が繁殖しやすくなります。

カンジダ性口内炎になると、頬の内側や唇の裏側に白い苔状の薄皮ができ、剥がれたあとに赤く腫れます。

口内炎ができたときの対処法

生活習慣を改善し、免疫力を高める!

どの種類の口内炎にも共通して言えることは、疲労やストレスなどにより、体の抵抗力が落ちているときに発症しやすいということです。体の抵抗力が落ちると、粘膜の抵抗力も低下するため、細菌などが繁殖しやすくなり、口内炎ができやすくなります。

そのため、まずは“疲労やストレスを溜めない”ようにすることが口内炎の改善につながります。逆の言い方をすれば、口内炎ができたときは、疲労やストレスなどが溜まり、“体の抵抗力が落ちているサイン”といえます。十分な睡眠やストレスの発散など、体の抵抗力を回復させることが大事です。

また、食生活を見直し、栄養バランスの良い食事を摂ることも必要です。とくにビタミンB群は、口内炎の予防や改善に効果があるといわれています。また、粘膜の潤いを保つビタミンA、ウイルスや菌に対する免疫力を向上させるビタミンCを積極的に摂るようにしましょう。

・ビタミンB群……牛乳、チーズ、卵、魚、豚肉、レバー、大豆製品など。

・ビタミンA……人参、かぼちゃなどの緑黄色野菜、うなぎ、レバーなど。

・ビタミンC……みかんなどの柑橘類、いちご、ブロッコリー、パプリカなど。

口内炎を治療する市販薬の選び方

部位や状態に合わせて適切な治療薬を選ぶこと

口内炎を早く治すには、市販薬を利用するのも有効です。患部に直接使用するタイプの市販薬には、パッチ(貼り薬)、軟膏、スプレーの3種類があります。部位や状態に合わせて、使いやすいものを選びましょう。

パッチ

患部に直接貼り、食べ物などの刺激による痛みを防ぎます。凹凸の少ない部分に1~2カ所、口内炎ができた場合に使うと良いでしょう。医療用医薬品に使われる「トリアムシノロンアセトニド」という効き目の高いステロイド剤を配合した製品も市販されています。

軟膏

患部に直接塗布します。凹凸のある部分にできた場合や面積が大きい場合に使用します。塗布すると口内の水分を引き寄せてゼリー状になる付着性の高い軟膏や、パッチ同様、ステロイド成分を配合したタイプもあります。

スプレー

患部に噴射して使用します。指や綿棒が届きにくい部位にできた口内炎に使うと良いでしょう。

なお、パッチや軟膏は、使用する前に口内の水分をティッシュなどで軽く取り除くと、より付着力が高まります。

その他にも、トローチやうがい薬、洗口液などで口内を殺菌したり、口の中の菌や汚れを洗い流したりして口内を清潔に保つことも大事です。

【パッチの製品例】 
「口内炎パッチ大正A」・「口内炎パッチ大正クイックケア」(大正製薬)、「トラフル ダイレクトa」(第一三共)、「アフタッチA」(佐藤製薬) など。

【軟膏の製品例】
「口内炎軟膏大正クイックケア」(大正製薬)、「サトウ口内軟膏」(佐藤製薬)、「トラフル軟膏PROクイック」(第一三共) など。 

【スプレーの製品例】
「チョコラBB口内炎リペアショット」(エーザイ)、「トラフル クイックショット」(第一三共)、「アズショットのどスプレー」(白金製薬) など。

まとめ……口内炎はストレスや過労など体の不調のサイン

口内炎
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口内炎は、ストレスや疲れが溜まって体の抵抗力が低下したときに起こりやすい疾患です。再発することが多いので、十分な睡眠、ストレスの解消、栄養の摂り方など生活習慣を改善し、免疫力を高めることが予防や改善につながります。また、市販の口内炎治療薬の使用も有効です。どの薬を使えばよいか分からない場合は、薬剤師に相談して適切な薬を使用してください。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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