電子レンジ加熱で栄養は壊れる?壊れない?電子レンジ加熱による変化とは|管理栄養士が解説

 電子レンジ加熱で栄養は壊れる?壊れない?電子レンジ加熱による変化とは|管理栄養士が解説
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藤倉詩織
藤倉詩織
2023-12-09

忙しい日には、料理になかなか時間をかけられないですよね。忙しい日の食事作りで頼りになるのが電子レンジです。時短に役立つ電子レンジ調理ですが、鍋やフライパンで調理するのと比べて、食材の栄養価はどのように変わるのでしょうか?「栄養素が壊れる」というウワサは本当なのでしょうか?今回は、電子レンジ調理での栄養価の変化について、くわしく解説します。

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電子レンジで栄養素が壊れる?調理法別の栄養価のちがい

電子レンジで食材を加熱すると栄養価がどうなるか、気になったことはありませんか?中には、「ビタミンやミネラルが壊れる」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。

そこで今回は、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の中から「電子レンジ調理」のデータがある「じゃがいも」を例に挙げ、加熱方法別の栄養価を比較してみました。

生のじゃがいも100gの栄養価と、生のじゃがいも100gをそれぞれ「水煮」「蒸し」「電子レンジ調理」したときの栄養価を比較し、一部のビタミンとミネラルの数値をまとめたのが以下の表です。

じゃがいもの調理法による栄養価の比較
table by shiori fujikura

「電子レンジで加熱すると、ビタミンやミネラルが失われる」といわれることもありますが、上の表を見てみると、「思ったよりも栄養素が残っているな」と感じませんか?

たしかに電子レンジで加熱したじゃがいもは、生のじゃがいもよりも全体的に栄養価が低くなるものの、そこまで大きな差はありません。

カリウム、リン、ビタミンCに注目してみると、「水煮」「蒸し」調理よりも、「電子レンジ調理」のほうが栄養価が高いこともわかります。

一般的に、カリウムやリン、水溶性ビタミンなどの水に溶けやすい栄養素は、ゆでる(水煮する)と、栄養素がゆで汁に溶け出てしまいます。また、食材の加熱時間が長くなると、熱の影響で減ってしまう栄養素も。

そのため、ゆで水を使わず、短時間で加熱できる電子レンジ調理は、ビタミンやミネラルなどの栄養素を損ないにくい加熱方法だといえるでしょう。

ビタミンB12の減少には注意!

ホットミルク
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電子レンジ調理は、ビタミンやミネラルをキープしやすい調理法だと紹介しましたが、例外もあります。

実は、貧血予防に役立つビタミン「ビタミンB12」は、電子レンジ調理によって大幅に減少しやすいといわれているのです。これは、「電子レンジでの加熱は、ほかの調理法よりも急激に食品の温度が上昇すること」が大きく影響していると考えられています。

とりわけ気をつけたい食品のひとつが「牛乳」です。牛乳のビタミンB12は、電子レンジで加熱すると半分近く減ってしまうといわれています。ホットミルクを作るときは、電子レンジでパパッと加熱するのではなく、鍋でゆっくり温めると、ビタミンB12の損失を最小限におさえることができるでしょう。

【参考文献】
・文部科学省,日本食品標準成分表2020年版(八訂)
・Watanabe F, Abe K, Fujita T, Goto M, Hiemori M, Nakano Y (1998) Effects of microwave heating on the loss of vitamin B(12)
・東京慈恵会医科大学附属病院栄養部 監修,その調理、まだまだ9割の栄養捨ててます!

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藤倉詩織

藤倉詩織

管理栄養士。【予防医療】にかかわりたいという思いから、大学卒業後は健診センターに就職。メタボリックシンドロームや生活習慣病の方への栄養指導・特定保健指導を経験し、現在はフリーランスの管理栄養士・ライターとして活動中。



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