「子供がみかんの皮を食べてしまった!食べても問題ない?」管理栄養士が回答【食のQ&A】

 「子供がみかんの皮を食べてしまった!食べても問題ない?」管理栄養士が回答【食のQ&A】
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冬に旬を迎えるみかんは、日本人にとってなじみ深い果物ですね。手で皮がむけて手軽に食べられるため、毎日のように口にする人も少なくないでしょう。そこでちょっと気になるのが「みかんの皮は食べられるの?」ということ。なんとなくいつもは捨ててしまうみかんの皮ですが、実は栄養豊富で食べられることを知っていますか?この記事では、みかんの皮の栄養とおすすめの食べ方を管理栄養士が紹介します。気になる農薬についても解説するので、参考にしてくださいね。

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みかんの皮、実は栄養満点!

皮がむきやすくて甘みが強いみかんは人気の果物ですが、果肉だけではなく皮も食べられます。「皮は固くて食べにくそう」「苦いのでは?」と思うかもしれませんが、みかんの皮はやわらかく、苦味や渋みも少なくて意外に食べやすいですよ。

みかんの皮は古来より、漢方薬として用いられてきました。みかんの皮を乾燥させたものは「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれ、胃腸の働きをサポートしたり、のどの痛みや咳に効果があるとされています。

実際にみかんの皮には、果肉に劣らず栄養素が豊富に含まれています。ビタミンCや食物繊維などの栄養素は、果肉のみならず皮にも豊富です。加えて「ヘスペリジン」「βクリプトキサンチン」に注目しましょう。

ヘスペリジンはみかんの皮の内側にある、白色の部分に存在するポリフェノールの一種です。血流を改善する作用があるため、冷え性や肩こり、腰痛、肌荒れへの効果が期待できます。ほかにも高めの血圧を下げる、血液中の中性脂肪を低下させるなどの効果があると考えられています。

βクリプトキサンチンは、みかんのオレンジ色のもとになる色素成分です。βクリプトキサンチンには、骨粗しょう症や糖尿病を予防する効果が期待できます。

みかんの皮には、健康に役立つさまざまな成分が含まれています。おいしく、無駄なく食べ切りましょう!

みかんの皮をおいしく食べるには

みかんの皮は食べられる?皮に含まれる栄養やおすすめの食べ方を管理栄養士が紹介
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みかんの皮を食べるなら、まず「焼きみかん」を作ってみましょう。焼きみかんは、みかんを丸ごとトースターで焼く食べ方です。まだ温かさが残る状態で食べると、酸味が抑えられて甘みが増し、よりおいしく感じられます。

一般的にはみかんをそのままトースターで加熱して作りますが、皮が黒く焦げてしまいます。皮ごと食べるには、アルミホイルで包むのがおすすめです。みかんをアルミホイルで包んでトースターに入れ、5分ほど焼いたら上下を返し、さらに5分ほど焼きましょう。加熱すると皮がやわらかくなり、より食べやすくなります。

みかんの皮入りのマーマレードジャムもおすすめです。パンにのせたり、ヨーグルトに添えたりして楽しめます。

はじめにみかんを計量して、みかん重量の50%ほどの砂糖を用意しておきます。皮は千切りに、果肉はざく切りにしましょう。皮をお湯でゆでこぼし、苦味を取り除きます。鍋に果肉と皮、砂糖を入れて火にかけ、ことこと煮詰めればマーマレードの完成です。

皮の食感が苦手、皮を食べることに抵抗がある、と感じる人はジュースにしてみましょう。みかんのヘタや種を取り除き、皮ごとミキサーにかけるとできあがりです。もし苦味が強ければ、はちみつやリンゴジュースを加えると飲みやすくなります。

農薬が心配なときは

みかんの皮は食べられる?皮に含まれる栄養やおすすめの食べ方を管理栄養士が紹介
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みかんを皮ごと食べるときに懸念されるのは、残留農薬です。近年は、海外から輸入されたみかんが多く流通しています。防カビ剤などの農薬が使用されている可能性が高いため、皮まで食べるときは外国産のみかんは避けましょう。

国産のみかんでも、農薬が使用されていることがあります。しかしみかんに限らず、野菜や果物などの農作物に使用される農薬は、基準が厳密に定められています。長期間にわたり農薬が残留した作物を口にしたとしても、健康に影響しない量を基準値に設定しているのです。 

国産のみかんは、調理前に皮を水でよく洗えばまず問題ありません。それでも不安な人は、無農薬や有機栽培のみかんを選ぶことをおすすめします。

みかんの皮には、果肉にも負けないほどの栄養素や健康に役立つ成分が含まれています。この記事で紹介した食べ方を参考にして、みかんの皮まで食べてみてくださいね。

【参考文献】
応用糖質科学 第1巻 第2号「糖転移ヘスペリジンの血流改善作用」
日本農芸化学会 化学と生物 Vol. 55「国産カンキツ類に多いβ-クリプトキサンチンと機能性食品の開発 生鮮物で初めての機能性表示食品」
厚生労働省「残留農薬 よくある質問」

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いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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