「注意したいけど、パワハラと言われたら?」価値観の違いに悩む時の対処法|公認心理師がアドバイス

 「注意したいけど、パワハラと言われたら?」価値観の違いに悩む時の対処法|公認心理師がアドバイス
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石上友梨
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2023-11-09

世代間における価値観の違いに悩む場合の対処法をご紹介します。

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こんな経験ありませんか?世代間ギャップを感じること

40代事務職のAさんは最近職場でモヤモヤすることが多いです。毎年新卒の若手職員が入ってきますが、最近は価値観の違いを感じることが増えてきました。例えば、朝の挨拶をしないこと、手が空いた際に周囲の仕事を手伝わずにのんびりしていること等です。立場が上の人には挨拶をしているのを見ると、損得感情で自分は挨拶が不要だと線引きされるのかと感じてしまいます。しかし、「挨拶はみんなにするもの」と注意すると「昭和の古い考えを押し付けて」「パワハラだ」と思われそうで言葉に出来ません。上から下への価値観の押し付けはパワハラになるとしても、下の世代の行動によって上の世代が不満やモヤモヤを抱えている場合は何かに当たるのでしょうか?Aさんは朝出勤し、返事が返ってこない職員たちに向けて挨拶をして、今日も小さなモヤモヤを積み重ねています。日々のモヤモヤが重なって爆発しないといいけど…Aさんは吐き出し先を見つけられないままです。

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なぜ世代間で価値観が変化するのか

世代間での価値観の変化は、様々な理由があると考えられます。例えば、その一つには社会の変化が挙げられます。社会は絶えず変化し、技術や経済の進歩、文化の変化などが、世代間の価値観に影響を及ぼします。また、教育や環境も大きな要因です。教育方針は定期的に変更となり、重点が置かれる項目が変わるため、異なる世代は異なる教育を受けます。そして、世代間により家族形態が代わり、ご近所との付き合い方、友人との遊び方、自宅での過ごし方など、様々な変化により異なる環境で成長します。また、世代により影響を受ける歴史的な出来事も異なります。例えば、成長途中の子供たちにとってはコロナウイルスの蔓延やウクライナやイスラエル情勢は、現在の大人以上に価値観に大きな影響を与えることが予想されます。さらに、メディアの影響も重要です。異なる世代は異なるメディアの情報にさらされ、それらが価値観に影響を及ぼします。特にインターネットやソーシャルメディアの普及により、情報の伝達が容易になり、異なる世代間での意識の違いが顕著になっています。これらの要因が組み合わさり、世代間の価値観は時代とともに変化します。

価値観の違いに悩む場合の対処法

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世代間の価値観の違いは、社会の変化や文化の進化によって生じる避けられない現象です。このような違いがもたらすモヤモヤやストレスを軽減するために、以下の対処法を参考にしてください。

価値観の違いを認め合う

どちらの価値観が「正しい」「良い」と判断できるようなものではありません。価値観の違いは様々な変化により生じる自然な現象です。違いがあるのは「当たり前」と受け入れる気持ちも必要です。そして、価値観の違いにより生じた自分のモヤモヤ、イライラした気持ちも当たり前のことです。自分の素直な気持ちを認めてあげましょう。感情と行動は別のことなので、心の中でどのような気持ちを感じていても大丈夫です。それを表出する場合はもちろん対人関係に影響を与えますが、心の中の気持ちは「感じちゃダメ」と否定せずに認めていきましょう。

相互理解を深めること

コミュニケーション不足により誤解が生まれることもあります。お互いの背景や経験について話し合い、異なる視点を尊重することで、価値観の背後にある根本的な理由を理解しやすくなります。どうせ分かり合えないからと諦めずに、適切なタイミングで建設的な対話を行い、お互いの感情を尊重しながら意見を述べることで、問題を解決できる可能性が高まります。尚、自分の感情を相手に伝える際は、「相手を責めないようにする」「マイルドな伝え方を選ぶ」など工夫を心がけましょう。

柔軟性を持つこと

時代の変化に合わせて自身の考え方や行動を柔軟にすることで、「生きやすさ」につながることがあります。それは上の世代が下の世代に「譲って」相手に合わせるのではなく、それぞれが自分の幸せや平穏のために柔軟になることです。そもそも価値観とは、ライフスタイルや環境の変化に合わせて柔軟に変えていくものです。過去は自分のためになっていた価値観も、現在の自分に合っていないのなら見直してみることも必要でしょう。自分自身で現在の価値観について書き出し、見直しをしてみましょう。また、カウンセリングを利用して考え方、価値観を柔軟にしたい場合は、認知行動療法やスキーマ療法という心理療法がおすすめです。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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