パワハラ、セクハラ以外にも「職場で発生するハラスメント」その種類と無料相談窓口|臨床心理士が解説

 パワハラ、セクハラ以外にも「職場で発生するハラスメント」その種類と無料相談窓口|臨床心理士が解説
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佐藤セイ
佐藤セイ
2023-09-13

「ハラスメント」とは、人に不快感や不利益を与える嫌がらせのこと。周知されつつある言葉ではありますが、いざ他者から不快な言動を向けられても「これってハラスメント?」「私が気にしすぎているだけ?」と迷ってしまう人は少なくありません。そこで今回は職場で発生する代表的なハラスメントと、ハラスメントの相談窓口についてご紹介します。

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職場で発生するハラスメントの種類

まずは職場で発生しうるハラスメントについて理解しておきましょう。

パワーハラスメント

パワーハラスメント(パワハラ)は、次の3つの要素すべてを満たす行為です。

①職場での優越的な関係性を背景とした言動

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

③労働者の就業環境が害されるもの

「優越的な関係性」と聞くと、上司から部下、先輩から後輩…といった上下関係によるハラスメントがイメージされやすいかもしれません。しかし、必ずしも職場での地位だけが問題になるわけではありません。

「業務に欠かせない高度な専門知識」「集団」などの優越性を持っている部下や後輩であれば、上司や先輩など地位が上の人に対してハラスメントを行うこともありえます。

パワハラ
イラスト/Adobe Stock

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメント(セクハラ)とは、職場における労働者の意に反した性的な言動により、不快感や不利益をもたらす行為を指します。

主に次の2種類があります。

1.対価型セクハラ

優遇する対価として性的な関係や言動を要求したり、拒否すれば不利益を与えたりするセクハラです。

2.環境型セクハラ

職場での性的な言動により、安心して働ける環境を害するセクハラです。

例えば、

・性的な冗談を投げかける
・性的な体験を尋ねる/話す
・身体に触れる
・性的な画像を見せる/職場に貼る

…などが該当します。

マタニティハラスメント・パタニティハラスメント

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠・出産・育児を理由に女性労働者の就業環境を害すること。また、パタニティハラスメント(パタハラ)とは、育休取得や育児のための時短勤務などを求めた男性労働者の就業環境を害することを指します。

例えば、妊娠や育休取得を理由に降格させる、育休制度を利用させない、不当な言動でおとしめる、退職を迫る…などが該当します。

ケアハラスメント

ケアハラスメント(ケアハラ)は、介護を理由に労働者の就業環境を害する行為を指します。

内容はマタハラやパタハラと似ており、介護を理由に降格させる、介護休業制度を利用させない、不当な言動でおとしめる、退職を迫る…などが該当します。

ハラスメントの相談窓口

ここからは職場でのハラスメントに出会ったときに利用できる相談窓口をご紹介します。

社内のハラスメント相談窓口

パワハラ防止法によって、企業はパワハラ防止のための措置をとることが義務づけられています。その措置のひとつが「相談窓口」の設置です。企業は、社内にハラスメント相談窓口や相談担当者を用意したり、外部機関に相談対応を委託したりと、労働者のハラスメント相談に対応できる環境を整えることが求められています。

まずは社内の相談窓口や制度を確認してみてください。

外部のハラスメント相談窓口

「社内で相談するのは怖い」「社内の相談窓口があまり機能していない」

そんな方は外部の相談窓口を活用してみましょう。ここでは無料で利用できる窓口を4つ見ていきましょう。

労働局・労働基準監督署「総合労働相談コーナー」

ハラスメントを含む「職場でのトラブル」全般に対応している相談窓口です。自治体にもよりますが、面談・電話・メールで相談できます。

労働委員会「個別労働関係紛争のあっせん」

労働者と企業との間で解決できない職場でのトラブルについて、解決をサポートしてくれる窓口です。

法務省「みんなの人権110番」

様々な人権問題に関する電話相談を受け付けている窓口です。もちろん、ハラスメントも人権を害する行為なので対応してもらえます。

日本司法支援センター「法テラス」

法的トラブルに対応する相談窓口です。パワハラ・セクハラ・マタハラ/パタハラ・ケアハラについては企業が対策を講じることが法律で定められていますので、どれも立派な法的トラブルになります。面談・電話・メールでの相談が可能です。

おわりに

心が深く傷つくと、回復までに長い時間がかかります。大切なのは1人で抱え込まないこと。相談窓口もハードルが高い場合は、家族や友人でも良いので相談してみましょう。

参考資料

あかるい職場応援団「ハラスメントの類型と種類」

日本労働組合総連合会(連合)総合男女・雇用平等局「介護離職の現状、介護休業・休暇に関する連合の考え方について」

あかるい職場応援団「ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」

あかるい職場応援団「相談窓口のご案内」

ハラスメント悩み相談室「相談機関紹介」

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佐藤セイ

佐藤セイ

公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。



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